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レイズトレードとは・意味

レイズトレード

レイズトレードとは?

レイズトレードとは、英語で「Raise Trade(高める交易)」を意味し、生産地(主に発展途上国)の経済・技術・市場競争力向上をサポートしながら取引を行うことで、生産地の持続的な経済発展を図る交易のかたちをいう。

レイズトレードではこれまで原材料の生産のみにとどまっていた生産地で、通常は先進国で行う商品加工の過程を行い、出来上がった商品を輸出する。そうすることで、生産者側が売る商品の価値を上げ、収入向上につなげるのが目的だ。

生産者の労働に見合った適正な価格で商品を買うフェアトレードでは生産者と買い手があくまで「取引相手」にとどまるのに対し、レイズトレードでは品質向上や加工技術の訓練等を生産者と買い手がともに行う。フェアトレードの概念をさらに発展させ、生産者と買い手がより密接に関わり取引を行うのがレイズトレードだといえる。

同じくダイレクトトレード(より公正な価格で取引を行う目的で、生産者と買い手が中間業者を介さず直接取引を行う)も生産者と買い手の距離が近いが、レイズトレードはそこからさらに一歩踏み込んだ関係性となる。

生産地の産業発展を阻む要因

一般に単価の低い原材料をメインに輸出する発展途上国では収入が低いうえに、技術不足や資本不足、開発力不足などから経済成長が望めず、経済難民も多いのが現状だ。そのほかにも以下のような問題が生産地の産業発展を阻んでいる。

    ・市場へのアクセスと市場知識が十分にない
    ・生産地の能力が国際的に認知されていない
    ・リーダーシップやマネジメント、労働力不足
    ・インフラが限られている(エネルギー、コミュニケーション、道路、水、公衆衛生等)
    ・資本と投資が限られている
    ・関税
    ・言語や文化の違い

またGDPが低く税収が少ないために、教育や健康などに十分投資できないことも経済発展が進まない要因となっている。

レイズトレードで目指すこと

そこでレイズトレードでは、まず生産地のGDPを上げて税収を増やし、それを必要な投資や社会サービス充実にあてることを目指してサポートを行う。

通常、経済先進国は輸入した原材料を加工することで商品に付加価値をつけて販売し、利益を得ている。原材料のカカオを輸入し、それを加工して販売するチョコレートなどがいい例だ。

その「付加価値をつける過程」を生産地側が担えば、より価値の高い商品を輸出できるため収入向上につながる。またより高い技術を身につけ、市場競争に必要な知識を得ることは、未来のさらなる経済発展にもつながっていく。

もちろん生産者がスキルを身につけ品質の高い製品を作ることは、買い手にとってもメリットとなる。

レイズトレードが向上させる3つのこと

具体的にいうとレイズトレードでは、生産地における以下の3つを向上させる。

    1. 認知度を上げる(Raise profile)
    通常、ブランド名の裏に隠されていることが多い生産地のポテンシャルや可能性を市場に認知してもらうことで、貿易と投資の機会を増やす。
    2. 価値を上げる(Raise value)
    商品のプレミアム化、半加工、製造、サービス作り、ブランド化などを生産地で行い、生産地が輸出する商品の価値を上げる。
    3. 富(豊かさ)を上げる(Raise wealth)
    スキルを磨くことで、より価値の高いものを輸出することができるようになり経済的利益が上がる。それにより得た税収は、教育・健康・エネルギー等の向上と発展に回しながら格差をなくし、経済難民を減らす。

レイズトレードの主な事例

レイズトレードの例としては、以下のようなものがある。

    ・マダガスカルで上質なカカオを使い加工されたチョコレート
    ・アフリカで生産からパッケージングまで行われたお茶
    ・モザンビークで生産、皮むき、パッケージングまでを行ったカシューナッツ
    ・ウガンダとエチオピアで生産、焙煎、パッケージングまで行ったコーヒー
    ・ルワンダとウガンダから輸出された上質なホームウェアと雑貨
    ・アフリカで生産とボトル詰めを行ったワイン
    ・素材生産地で縫製し作るファッション

また製品作りだけでなく、観光サービスやブランドを生産地自ら作り出すこともレイズトレードといえる。

    ・生産地でブランドを育成する
    ・生産地の特性を活かしたエコツーリズム
    ・プレミアム品質の作物を育てる
    ・質の高いホスピタリティの提供

社会発展の好循環を生み出すレイズトレード

レイズトレードは、生産地に経済的な利益をもたらすだけでなく、技術支援や設備投資などにより生産地が自らの足で立ち、社会発展の好循環を生み出せる持続可能な交易のかたちだ。

まだまだ世界的に認知度が低く、レイズトレードで生産されたプロダクトも少ないのが現状だが、広く知られるようになればよりエシカルでサステナブルな貿易が世界に広まっていくだろう。

【関連記事】 産地とつながるダイレクトトレード。コーヒー生豆流通のDX「TYPICA」
【関連記事】 フェアトレードを超えろ。ブロックチェーンを使って利益の80%をカカオ農家に還元する「Right Origins」
【参照サイト】 Raise Trade
【参照サイト】 Raise Trade (slide share)
【参照サイト】 Chocolat MADAGASCAR
【参照サイト】 Noel Velde レイズトレードとは




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