ブーメラン世代とは?
ブーメラン世代(The boomerang generation)とは、欧米を中心に広がった言葉で、学生生活を終えた後に実家に戻り親と同居する10~30代の若者のことを指す。
家賃や物価の上昇、就職難、賃金の停滞などにより経済的余裕が失われ、結婚したり家を持ったりすることがより難しくなっていることが主な要因だと言われている。
ブーメラン世代が増えている理由
かつて第二次世界大戦後は、経済の急激な成長や教育機会の拡大により、早くに結婚して自分の家を持つことがブームとなっていた。1960~1990年ごろのアメリカでは、親と同居する18-29歳の若者の割合はおよそ30%で推移していた。
ところが21世紀に入り経済が停滞しはじめると、高額な学生ローンの返済に家計が圧迫されたり安定した職に就けない若者が急増し、親との同居を選ぶまたは余儀なくされた若者の割合はおよそ40%まで跳ね上がった。その後も徐々に実家での生活を選択する若者の割合は増え、2020年にパンデミックが発生した際には52%と半数を超えるまでに至ったのである。
同じくイギリスでも、コロナ禍での失業率の上昇や経済の縮小によって、20-34歳の若者のおよそ3分の2にあたる350万人が親と同居しているという調査結果が出ている。
ブーメラン世代が増えることのメリットとデメリット
学生生活を終えてなお親と同居する若者が増えることには、メリットとデメリットの両面が存在する。
まず大きなメリットとしては以下の2つだ。
- 社会的に孤立する若者が減少する
- 子どものいる若者もキャリアを築きやすい
デジタル機器やサービスの普及が進み、対面でのコミュニケーションが昔に比べて少なくなっている中で、社会的に孤立したり孤独感を感じてしまう若者は多い。親と生活を共にし、何気ないコミュニケーションを取るだけでもそうしたネガティブな気持ちは緩和されるだろう。
また、女性の社会進出が進む一方で、育児を理由にキャリアを中断・断念してしまうパターンは多い。もしすでにリタイアしている親が子どもの世話を引き受けてくれるならば、男性も女性もキャリアを諦めずに済む可能性があるのだ。
一方で以下のようなデメリットもある。
- 親のリタイア後の理想の生活を妨害するリスクがある
- 親の無関心によって精神的苦痛や不満を助長するリスクがある
- 幼稚化・受け身になるリスクがある
親と適度な距離感で良好な関係が築けている家族でない場合、親は子が社会人になって戻ってくることを好ましく思わない可能性がある。またそうした環境が、コロナ禍で精神的ダメージを受けている若者をさらに追い込んでしまう恐れもあるだろう。
たとえ親と快適な同居生活を送ることができた場合も、良い意味での「心の拠り所」を超えて、若者の自立心が奪われてしまうリスクも考えられる。
ブーメラン世代が増えるのはよいことか
ブーメラン世代と呼ばれる若者が登場したのは直近10年ほどのことで、まだこうした社会の現象がどのような結果を生むかは計り知れない。しかし家賃の高騰や賃金の停滞、失業、学生ローンの負債増大といった状況が続けば、今後の経済発展の担い手である若者が希望や意欲を失っていってしまうことは明白だろう。
サステナブルな社会を作っていくためには、まずはこれらの課題に大人たちが真摯に向き合うことが重要であり、ブーメラン世代が増えることの良し悪しの議論はそのあとでも遅くないはずだ。
【参照サイト】Financial Times – The pandemic and the parent trap
【参照サイト】The Guardian – ‘I’ll cherish these moments’: how Covid has swelled the boomerang generation
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