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アンダードッグ効果とは・意味

アンダードッグ効果

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アンダードッグ効果とは?

アンダードッグ効果とは、勝敗や投票の結果予測で、不利な状況にあると報じられた方に同情が集まり逆転勝利につながる現象のことである。たとえば下記のような心理的状態はアンダードッグ効果が働いていると言える。

  • 大柄な選手と小柄な選手が戦う試合で、小柄な選手の方を応援したくなる
  • 「大して何もしていないのに成果が出ている人」と「頑張っているのに結果が伴わない人」がいた場合、後者を応援したくなる。

アンダードッグ(underdog)は、日本語でいうと「かませ犬」。かませ犬は、もともと闘犬用語で、自信を付けさせたい闘犬に「噛ませるため」にあてがわれる犬のことで、転じて「戦いに勝ちそうにない/不利な状況に置かれている方」を指すようになった。アンダーという語感から日本語の「負け犬」の意味で捉えられることがあるが、「負け犬」は「すでに敗北が決定している」状態を指す言葉なのでニュアンスが異なる。

また、アンダードッグ効果とバンドワゴン効果を、あわせて「アナウンスメント効果」と呼ぶ。

アンダードッグ効果の活用例

選挙

研究によると2010年の日本の選挙において、当時の民主党を評価する人ほど、選挙予測で不利と報道された候補者に投票するというアンダードッグ効果が生じた。一方、選挙予測報道は、バンドワゴン効果とアンダードッグ効果が相殺されるため、選挙結果をそれほど左右しないという研究もある。

アメリカ大統領選挙の各州での予備選挙では、各候補者は当選確率をできるだけ低くしようという動きが散見される。 2016年の大統領選でドナルド・トランプは、自らを公職に就いたことのない人物として、アンダードッグだと語り、 2024年の大統領選ではカマラ・ハリスが9月下旬の集会で下記のようにアンダードッグの言葉を繰り返した。

「(共和党と民主党は)誤差の範囲で戦っている。我々はアンダードッグだ。そして私はこの競争で負け犬のように走っている」

企業

ある業界において、2番手であることや欠点があることを利用したマーケティング手法としてアンダードッグ効果を使うことがある。1960年代にレンタカー業界2番手のエイビスが「2位だから、もっと頑張ります」といった広告を打ち出し、翌年から利益を増加させた例が有名だ。

IDEAS FOR GOODでは、不利な立場であることを表明してゲームチェンジしていこうとする事例を紹介している。例えばチョコレート業界の強制労働・児童労働の撤廃をミッションに掲げる企業Tony’s Chocolonelyが、競合大手ブランドを模倣した商品を販売し、カカオ農家への十分な給料の支払いを訴えたキャンペーンがあった。競争がフェアでないことを強調している例だ。

競合のパッケージを乗っ取り、そのワケは?公正なチョコづくりを訴えるTony’s Chocolonelyの“皮肉な”キャンペーン

弱さをさらけ出すロボットもまた、人間の協力を上手く引き出し、機械と人間の良い関係を構築しようとしている。こうした応援したくなる仕掛けもアンダードッグ効果を狙っていると言えるだろう。

「弱いロボット」から考える、人と機械が共生する未来

このように、アンダードッグ効果を共感を呼び込む戦略として活用している事例が多々ある。一方で逆手に取って、消費者・有権者に向け「自社・自政党が劣勢である」と自認し、虚偽もしくは紛らわしい情報を流すことで注意を引こうとする場合もある。こうした手法を客観的に捉え、注意したい。

【関連ページ】フェイクニュースとは・意味
【関連ページ】バンドワゴン効果とは・意味
【参照サイト】選挙情勢に基づく投票意図の形成と変容:有権者の戦略的行動に関する実証研究
【参照サイト】選挙予測報道は選挙結果に影響するのか? ── 国立情報学研究所准教授・小林哲郎




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