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Access to Medicine Indexとは・意味

医療薬アクセス

Access to Medicine Indexとは?

Access to Medicine Index(アクセストゥーメディシンインデックス、ATMインデックス)とは、発展途上国での医薬品へのアクセス改善に関する実践や貢献度を評価し、ランク付けしたもの。日本語で「医薬品アクセスインデックス」とも呼ばれる。

この指標は、国際的な非営利団体でありオランダを拠点とする「医薬品アクセス財団」が2008年より隔年で公表しているランキングシステムだ。同団体には、オランダ外務省、英国外務英連邦開発局(FCDO)、ビル&メリンダ・ゲイツ財団、ウェルカム・トラスト、アクサ・インベストメント・マネジャーズが出資している。

世界の大手製薬企業20社が、世界106の低〜中所得国において、自社の医薬品をより入手しやすく、安価で利用しやすく、受け入れられるようにする能力に応じてランク付けされている。

2年に1度更新されるこの指標は、途上国におけるアクセス改善に向けて産業を刺激するとともに、医薬品業界の活動を報告し、製薬企業と政府、投資家、市民社会、患者団体、学術界が集まり、どうしたらさらに進歩できるのかという共通の見解を形成することを目標としている。

2021年のAccess to Medicine Indexは、上述の製薬会社が、低〜中所得国において、82の疾患・病態・病原体に対する医薬品アクセスにどのように取り組んでいるかを分析している。

医薬品へのアクセスが重要な理由

世界保健機関(WHO)の規定では、「すべての人が到達可能な最高水準の健康を得る権利を有する」とされているが、現状は推定20億人の人々が医療にアクセスできない状態が続いている。

さらに、約1億人の人々が医療費を支払うために極度の貧困状態に追いやられている。常に複雑な健康上の課題が生まれ続けており、世界の保健関係者の持続的なコミットメントとエコシステム全体でのより深い協力、そして実証済みの解決策のより広い普及が求められている。

国民が経済的な制約を受けることなく、必要な医療サービスを受けられるようにするためには、国民皆保険の実現が不可欠だ。医薬品へのアクセス向上は、そのための重要な要素なのだ。

製薬業界は、グローバルヘルスにおける明確な優先順位に対応し、切望されている革新的な製品を開発することが求められている。また、既に存在する製品へのアクセスを拡大し、持続的かつ長期的な医薬品アクセスを促進するための新たなパートナーシップを構築する上で、重要な役割を担っている。

このように、医薬品へのアクセス向上は、すべての人が医療にアクセスするために、また必要な医療サービスを受けられるようにするために対応すべき要素だ。インデックスが製薬会社を刺激し、医薬品へのアクセスを改善していくことが期待できる。

3つの中核的な責任分野

Access to Medicine Indexの分析の枠組みは、33の指標が下記の3つの分野(アクセスに関するガバナンス・研究開発・製品提供)に分類され、企業の行動を分析している。3つの中核的な責任分野に関して、それぞれ詳しく述べていく。

アクセスに関するガバナンス

企業がアクセスに関連する目標の達成をどのように統治、計画、管理しているのかに関して、またコンプライアンス違反や汚職行為が発生するリスクを最小化するプロセスを確実に適用しているかを見ている。さらに、医薬品アクセス戦略が企業戦略と整合しているか、医薬品アクセス目標に向けた進捗がどのように測定され、インセンティブが付与されているかを含む、医薬品アクセス戦略を見ている。

研究開発

低〜中所得国の人々のニーズに応え、本指標の対象となる疾患、病態、病原体に対する製品を開発または適合させるための製薬会社の研究開発活動を見ている。また、低〜中所得国で暮らす人々のために、成功した製品へのアクセスを加速させる計画を開発中に立てているかどうかも調べている。

製品提供

製品への公平なアクセスを提供し、アクセスが困難な市場や患者層へのアクセスにおける地域の障壁を克服するための、企業の開発後の現場での行動を見ている。その際に、3つの主要なアクセス戦略である、「公平な価格設定、責任ある知的財産管理、製品の寄付」を評価軸として利用している。これらの戦略は、供給と手頃な価格の状況に最も大きな影響を与える可能性があると考えられているからだ。また、知的財産の共有や医療システムの強化といった行動も、ここで検討されている。

Access to Medicine Indexの最新の方法論(2022)

2022年に医薬品アクセス財団は、次回のAccess to Medicine Indexに向けた方法論を発表した。この指標は、前回の指標を基礎とし、過去のデータや情報との明確な比較を容易にし、より長期的な変化を分析することを可能にするものだ。

近年、パンデミックで医療への不平等なアクセスが取り上げられている。医薬品アクセス財団専務理事のジャヤスリー・K・アイヤーは、「世界中の人々が直面している医療や健康製品への不平等なアクセスについて、パンデミックを通してより大きな認識を持つようになった。この勢いを利用し、今行動しなければ、これらの慢性的な問題は決してなくならないだろう」と述べている。

コロナへのワクチンを含む多くの救命医療品は高所得者市場で研究開発されているため、アフリカ諸国は見落とされがちだ。自由市場の需要と供給の原則は、公平なアクセスという側面なしには、それ自体では機能しない。次回の医薬品アクセス指標は、製薬会社がどこでどのように公約を守っているかを追跡すると同時に、ワクチンへの公平なアクセスやそれ以外の面で、より良い結果を出すよう製薬会社を促す上で重要なものとなっている。

このような状況の中、2022年の指数では、いくつかの改良が加えられている。具体的には、アクセスに関するガバナンスよりも、研究開発の比重が高まった。これにより、政策やプロセスを測定する指標よりも、成果を測定する指標に焦点が当てられ、医薬品、ワクチン、診断薬がそれらを最も必要とする人々に届いているかどうかをより明確に示すことができるようになった。

また、2022年の医薬品アクセス指標では、新たに対象となる2カ国を含む108カ国について、世界最大の製薬会社20社を評価する予定だ。このうち、アルジェリアとベネズエラは新たに対象となる。

まとめ

推定20億人の人々が医療にアクセスできない状態が続いており、医薬品へのアクセスはますます重要なテーマになってきている。

その中で出てきたAccess to Medicine Index(医薬品アクセスインデックス)は、オランダを拠点とする医薬品アクセス財団が2008年より隔年で公表しているランキングシステムであり、発展途上国での医薬品へのアクセス改善に関する実践や貢献度を評価し、ランク付けしたものだ。

パンデミックの影響で、ワクチンを含めた医薬品への公平なアクセスがより重要視される昨今。評価指標において、研究開発の比重が高まり、医薬品、ワクチン、診断薬がそれらを最も必要とする人々に届いているかどうかをより明確に示すことができるようになった。今後の成果を期待したい。

【参照サイト】access to medicine index
【参照サイト】Why access matters
【参照サイト】How we measure
【参照サイト】New Index methodology: capacity to track progress prioritised for 2022




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