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アグリフッドとは・意味

アグリフッドとは?

Agricultural neighborhoodsの略で、農業を基盤とした住宅コミュニティを指す。特にアメリカ各地でアグリフッドの動きが加速しており、2024年現在28の州で約200のアグリフッドが存在する。

アグリフッドでは、専門家主導のもと、隣人と協力しあいながら共有の野菜や果物を育て収穫し、共有エリアで料理教室や収穫したものについて学びあう地域のワークショップを開催する。農作業においては住民のボランティアが奨励されているものの、農業の専門家が中心となるため、必ずしも住民が農業を行うということではないこともポイントだ。ただ、就農のハードルが下がるため、自力で農業を始め、コミュニティガーデンの区画を設ける住民も多い。

他にも広々とした緑地、ソーラーパネル付きの住居などが取り入れられ、自然にやさしい生活を送ることができる。それと同時にプールやクラブハウス、コーヒーショップなどの現代的な設備も取り入れ、利便性も兼ね備えている。

アグリフッドの背景

アグリフッドが加速している背景として、米国人の健康意識とミレニアル世代をはじめとした環境意識の高まりが挙げられる。ダノンノースアメリカの調査によると米国人の87%が新鮮で健康的な食品へのアクセスを優先事項と見なしており、Farm to Table(農場から食卓へ)に注目が集まっている。

また、アグリフッドは大都市周辺に位置するものが多く、農園でありながら都市でもあるという緩やかさが、持続可能で自然に近い暮らしを求めるミレニアル世代に人気だ。

これまでゴルフ場やショッピングモールが建設されていたような場所にも点在し、ゴルフ場コミュニティとしてゴルフコース近くに住宅を構えるステータスに取って代わるものとして出現した。

アメリカの事例

米国のアグリフッドの平均住宅価格は約40万ドルで、大半は富裕層を対象に販売されている。一方で、低所得者向け住宅にも適用されている事例もある。

Willowsford Farm / バージニア州アッシュバーン

Willowsford Farmは、ワシントンDCからわずか40分の場所にあり、住民は1,100人を超える。専門の土地管理チームが常駐し、在来種の植樹、生ごみの堆肥化など生態系の保全・リジェネラティブな環境プロジェクトに取り組む。また、プールや円形劇場、カヌー、キャンプ場などコミュニティ形成にも力を入れる。

Chickahominy Falls / バージニア州リッチモンド

Chickahominy Fallsは55歳以上の居住者を対象としているのが特徴的だ。伝統的に農地であった180エーカーの場所にあり、農場でのボランティアや仕事の機会を提供している。ウォーキング・サイクリングコース、フィットネスクラブも完備。近隣住民との交流も活発で、ここで栽培された食料は、チカホミニーフォールズの住宅所有者だけでなく、地域社会全体にも提供される。

Agrihood Santa Clara / カリフォルニア州サンタクララ

Agrihood Santa Claraはカリフォルニア州最大・シリコンバレーの都市型アグリフッドで、2億ドル規模を誇る。低所得の高齢者や退役軍人、中所得者などさまざまな年齢や収入の人々に向け、361の住居ユニットを提供。農場、コミュニティガーデン、在来種の造園施設、ファーマーズマーケットやダイニングルーム、料理教室用のキッチンなどを備えたコミュニティセンターといった複合施設だ。

日本のアグリフッド実現とこれから

アグリフッドとは新しい暮らしの考え方なのだろうか。農業を基盤としたコミュニティは、アグリフッドと名乗らずとも日本でも伝統的にあったもの。現代において、日本でも自然と共生する暮らしに回帰する動きが少しずつ増えており、シェア畑、農園付きシェアハウス、都市農業などさまざまな形に変化している。

ただ、専門家が主導する農業・生態系に配慮した土地活用といったアメリカ由来のアグリフッドは、持続可能な暮らしの実現や就農者を増やすヒントになりそうだ。

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