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カーボンシンクとは・意味

カーボンシンク

カーボンシンクとは

カーボンシンクとは、大気中に存在するCO2を地中や海底に吸収することをいう。陸地に生える植物や、海中の海藻などが大気中のCO2を地中や海底に吸収する役目を果たす。

しかし、近年では森林伐採などの人為的開発により、CO2を吸収する担い手が十分に役割を果たせなくなっている。

大気中のCO2を減らすなどの気候変動への取組は、大気中の温室効果ガスの量を減らすことに取り組む「緩和策」と、既に起こりつつある気候変動に対応し、利用しようとする「適応策」の大きく2つに分けられる。

「緩和策」を考えるとき、いかにCO2を排出しないようにするかが多様な分野で議論されている。しかし、同時にCO2をいかに吸収するかを議論していくことも、気候変動への対策では非常に重要である。

カーボンシンクに期待できる効果

カーボンシンクに期待できるCO2吸収の効果を、IPCC AR6の特別報告から抜粋する。

①土壌には約1500Gtの有機炭素が含まれている。これは、大気中の炭素の約1.8倍。世界の陸上植物の2.3〜3.3倍に当たる。

②マングローブ林、塩性湿地、海草藻場などの植生がある沿岸の生態系の再生は、現在の世界の年間温室効果ガス排出量の約0.5%に相当する炭素の吸収と貯蔵までに増加した。

陸上に存在する炭素の総量約2200Gtのうち、約45%の炭素が大気中に残っている。その他は、土壌や植物が吸収をし、取り込んでいる。また、海水に蓄積された炭素は約920Gtであり、大気中の炭素量より多くなっている。

地球上のカーボンの循環

地球上の炭素は、大気中のCO2から、陸上の植物、土壌中の有機物や海水に溶けているCO2、石灰質の岩石や化石燃料などさまざまな場所で、多様な形をしながら存在している。

例えば、海洋では、海面と大気の間で炭素の受け渡しが行われ、海水にCO2が溶けていく。一方で、陸上では植物の光合成活動により、大気中からCO2を吸収し、土壌に炭素が固定されている。

産業革命後、大気中へCO2の排出が増えることに伴い、陸上では産業革命前に比べ1年あたり1.5Gt、海洋では2.3Gtの炭素吸収量が増加している。これらの変化は海水の酸性化を進め、海洋生態系に影響を与えている。

カーボンシンクの取り組み

ライフサイクル全体で見たときに、CO2排出量と吸収量とがプラスマイナスゼロの状態になるカーボンニュートラルを実現するには、CO2排出量の削減や、大気中に存在するより多くのCO2の吸収に取り組まなければならない。

そこで、人工的に炭素を回収し、貯蔵する「炭素固定」の方法も開発されている。

しかし、炭素を大気中から人工的に取り除くのには、多くのエネルギーを要する。排出するCO2を減らしながら、同時にCO2の吸収量を増やしていき、緩和策をさらに推し進めていかなければならない。

【関連記事】3060ダブルカーボンとは・意味
【参考サイト】What is a carbon sink?
【参考サイト】Carbon sinks, a breath of natural oxygen
【参考サイト】carbon sequestration
【参考サイト】IPCC AR6 特別報告書(環境省)
【参考サイト】海洋の炭素循環(環境省)




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