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3060ダブルカーボンとは・意味

ダブルカーボン

3060ダブルカーボンとは?

3060ダブルカーボンとは、2020年より中国が掲げている脱炭素政策を指す。中国語で「双炭」とも呼ばれ、中国国内で広く浸透している言葉である。具体的な内容は、2030年までにCO2排出量を減少に転じさせ(カーボンピークアウト)、2060年までにCO2排出量ゼロ(カーボンニュートラル)を目指すというものである。

2020年9月に習近平氏がこの「ダブルカーボン宣言」を行った際には、非現実的との見方も強かった。しかし、その後現在に至るまでにさまざまな政策が打ち立てられており、中国が本格的に脱炭素社会の実現に向けて動き出していることがうかがえる。

3060ダブルカーボン宣言の背景

世界最大のCO2排出量である中国が、このような大胆な脱炭素政策に踏み切った背景としては、以下のとおりだ。

  • 石油と天然ガスの高い輸入依存を脱却したい
  • CO2を高排出するエネルギー構成を変えたい
  • 国民の健康のための環境保護と空気汚染の改善
  • 国家として国際的地位の確立と経済成長の両立

これまでの中国は脱炭素政策について、CO2排出量を遅くとも2030年までに減少に転じさせるつもりだとしつつも、長期的な取り組みを示すことはなかった。

しかし、世界中で120以上の国と地域が「2050年カーボンニュートラル」に向け動き出している中、もはや気候変動は地球規模で取り組むべき喫緊の課題であることは否めないのだ。

3060ダブルカーボン政策の内容

3060ダブルカーボンに関連する政策方針は、中央・地方政府より2021年の1年間だけで約400件発表されている。加えて、100回以上もの国家レベルの会議やフォーラムも開かれるなど、中国が脱炭素政策の具体化に乗り出している姿勢が読み取れる。

2021年10月に発表された「2030年までのカーボンピークアウトに向けた行動方案」では、2030年までのカーボンピークアウトの具体的目標が掲げられた。その目標は、「単位GDP当たりのエネルギー消費量と二酸化炭素排出量」をどれだけ削減するかという観点で、以下のように示されている。

  • 2025年まで:単位GDP当たりのエネルギー消費量と二酸化炭素排出量を2020年比でそれぞれ13.5%、18%削減
  • 2030年まで:単位GDP当たりの二酸化炭素排出量を2005年比で65%以上削減し、カーボンピークアウトを達成

上記を達成するための具体的方策として、以下の項目についてそれぞれ数値目標や取り組み内容が定められている。

  • エネルギーのグリーン低炭素転換
  • 省エネ、低炭素に向けた効率化向上
  • 工業分野のカーボンピークアウト
  • 都市と農村建設におけるカーボンピークアウト
  • 交通輸送のグリーン低炭素化
  • 循環経済を通じた低炭素への取り組み
  • グリーン低炭素科学技術のイノベーション
  • カーボンシンク能力の強化(※1)
  • グリーン低炭素に向けた全国民的取り組み
  • 各地域における秩序だったカーボンピークアウト

※1 カーボンシンクとは、森林や海洋といった二酸化炭素吸収源を指す

私たちになじみ深い例の1つとして、自動車のEV化があげられるだろう。中国は現在、世界最大の新エネルギー車市場として知られている。中国の大手電気自動車メーカー「BYD」が2022年4月にガソリン車の生産を終了するなど、他国を凌駕した新エネルギー政策が進められていると言えるだろう。

脱炭素に関して、私たちができること

日本においても、2050年カーボンニュートラルに向け、エネルギーや交通輸送のグリーン低炭素化を中心とした内容の「グリーン成長戦略」が掲げられている。

国によって抱える問題や注視すべき分野は異なるため、それぞれの土地に合った戦略が必要とされるだろう。しかし、気候変動はもはや一国だけの努力では解決できる問題ではない。

国境を超えた協力を象徴する取り組みの1つとして、2021年12月に「第15回 日中省エネルギー・環境総合フォーラム」が開催された。その中で、省エネ分野や水素分野など、複数の領域での日中協力の拡大について意見交換がなされている。環境問題は、各国が国境を超えて技術や知恵を出し合い、協力し合って解決すべき課題なのである。

私たちは、中国という身近な大国の地球環境に向かう姿勢に興味を持って理解し、共感できる部分を取り入れながら、地球規模の課題に向き合っていく必要があるだろう。

【参照サイト】PR TIMES – 知っていますか?中国の脱炭素政策『3060ダブルカーボン』-調査レポート発行
【参照サイト】株式会社SUGEHARA & NA Associates – 中国の脱炭素政策『3060ダブルカーボン』-日本企業が知るべきポイント
【参照サイト】BBC News – 中国のCO2排出量、2060年までに実質ゼロに 習主席が表明
【参照サイト】経済産業省 – カーボンニュートラルに向けた産業政策“グリーン成長戦略”とは?
【参照サイト】経済産業省 – 第15回 日中省エネルギー・環境総合フォーラムを開催しました(結果概要)
【参照サイト】JETRO – 2030年カーボンピークアウトに向けた具体的な取り組み・目標を設定

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