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気候変動税(CCL)とは・意味

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気候変動税(CCL)とは?

気候変動税(Climate change levy)とは、イギリスで導入されている環境税の一つで、ビジネスと公共部門のエネルギー使用に対し課税を行う制度である。CO2削減目標を達成するためにイギリスが発表した「気候変動プログラム」の核となる制度で、2001年4月に発行された。

深刻化する気候変動問題への対策として、世界は温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」の実現を目指し、取り組みを行っている。その一環として近年世界的に導入が進んでいるのが、炭素に価格づけを行うことで温室効果ガスの排出抑制を目指すカーボンプライシングだ。

イギリスは複数のカーボンプライシングを導入しており、気候変動税(CCL)に加えて、燃料税、炭素税(Carbon Price Support)を導入している。気候変動税はおもに産業部門を対象にした炭素税であるのに対し、2013年から追加で導入された炭素税(CPS)は、発電燃料を対象としている。

気候変動税(CCL)の仕組み

気候変動税は、産業系、商業系、農業系、行政などの公共機関、そしてその他サービス部門を対象として、照明、暖房、動力などの燃料使用に課税を行う。おもな課税対象は、LPG、石炭、天然ガス、電気の使用だ。交通機関、発電所、小売業、慈善活動などに対しては、免税措置が設けられている。

またエネルギー税「炭化水素油税」の課税対象となっているガソリン等の炭化水素油、道路交通用ガス燃料については、気候変動税では課税対象から外されている。

気候変動税(CCL)の税収の使い道

気候変動税(CCL)によって得た税収は、現在のところ下記のような使途に割り当てられている。

  • 税収の大半は国民保険料(NICs)の企業負担を0.3%軽減し、産業部門に還元
  • 「炭素トラスト(Carbon Trust)」基金を通じた低炭素技術の促進、効率的再生可能エネルギーへの投資など

環境省が行った分析によると、こうした気候変動税(CCL)の導入により、イギリスでは燃料や電力の使用が大きくマイナスになったという。また、気候変動税導入による雇用や利益の低下といった経済的影響も、分析時点ではみられなかった。

気候変動税と「気候変動協定(CCA)」

一方、気候変動税をはじめとするカーボンプライシングの懸念点は、課税制度の導入により企業の成長を阻害してしまう可能性があることだ。そこでイギリスは気候変動税の導入にあわせ、企業の負担軽減措置として「気候変動協定(CCA)」を導入している。

気候変動協定は、政府と自主的に協定を結び「CO2の排出削減目標」または「省エネ目標」を達成した企業に対し、減税を行う制度である。2001年発行当初は80%減税としていたが、2011年以降は燃料65%、電力90%の減税率に変更されている。

企業の負担減を目的に設定された気候変動協定(CCA)だが、実際には企業の温暖化対策の抜け道になっている可能性も指摘されている。

実際に、気候変動協定(CCA)により減税を受ける企業よりも、気候変動税の本則税率が適用される企業のほうがCO2排出の削減やエネルギー原単位の大幅な改善効果がみられたという報告もある。

気候変動税(CCL)にみられる課題

上記のように一定のCO2削減効果はみられる気候変動税(CCL)だが、気候変動協定(CCA)のあり方には課題がある。

まず気候変動協定では、企業にCO2の排出削減目標または省エネ目標を定めるよう規定しているが、省エネ目標は達成したとしても必ずしも排出量の削減が保証されるものではない。

現状多くの企業が設定しているのは「排出削減目標」ではなく「省エネ目標」のため、実際に排出量削減につながっているか不透明な部分もある。

また現状、気候変動協定参加企業のほとんどが削減目標を達成しているのは、目標設定やレビューの仕組みが甘いためだともいわれている。今後、企業の成長とCO2削減目標とのバランスをみながら、制度を見直し改善していく必要がある。

まとめ

気候変動税(CCL)をはじめとするカーボンプライシングは、温室効果ガス削減の有効な対策として各国で導入が進んでいる。

日本でも炭素税などの導入が議論されているが、課税の対象や仕組み、制度などは国の政策によっても異なり、得られる効果やデメリットも違ってくる。

導入にあたっては課税が必ずしも温室効果ガスの削減につながるとは限らないと理解し、諸外国での動向や成果を見ながら自国に最適な制度を検討していくことが大切だろう。

【参照サイト】温室効果ガス排出削減のためのカーボンプライシング等の政策手法に関する調査|日本エネルギー経済研究所
【参照サイト】諸外国における炭素税等の導入状況|環境省
【参照サイト】カーボンプライシングの効果・影響|環境省
【参照サイト】炭素税・国境調整措置を巡る最近の動向|環境省
【参照サイト】英国の気候変動対策と産業・企業の対応|JETRO
【参照サイト】頑張れ!気候変動への戦い ~イギリス編~
【参照サイト】環境用語集「気候変動プログラム」|環境イノベーション情報機構




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