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イコールペイデイとは・意味

イコールペイデイ

イコールペイデイとは?

イコールペイデイとは、女性の平均賃金が男性と同額の平均賃金に到達する日のこと。世界各国で女性の賃金が男性より低い傾向にある中、賃金格差を金額ではなく時間の差に置き換えることで計算される。

イコールペイデイの考え方を導入したのは、Business and Professional Women(BPW)という働く女性達による国際NGOだ。世界で約100の国と地域に拠点があり、国際連合経済社会理事会の諮問機関として、総合協議資格を持っている。

日本では、日本BPW連合会が定期的にイコールペイデイを計算し発表している。例えば、2022年のイコールペイデイは、5月1日だ。2021年1月1日に男女が同時に働き出した場合、男性の1年間の平均賃金に到達するには、女性はさらに約4ヶ月働く必要があるという計算だ。

日本のイコールペイデイの推移

イコールペイデイが年始に近ければ近いほど、賃金格差は少ないと言える。日本BPW連合会の発表によると、イコールペイデイ(格差分の日数)は以下のように推移している(※)

・2022年5月1日(約120.32日)
・2021年5月6日(約125.92日)
・2020年5月6日(約126.51日)
・2015年5月21日(約140.48日)
・2010年6月8日(約158.17日)
・2005年6月25日(約175.22日)
・2000年7月19日(約200.04日)
・1990年8月29日(約240.99日)

(※)日本BPW連合会の計算方法と参照データ
計算方法:男性の年収(賃金×12カ月)÷女性の日収(賃金×12÷365)-365日=1年を超えた格差分の日数
参照データ:厚⽣労働省「賃⾦構造基本統計調査」から、⼀般労働者の賃金の推移データ

2022年は、2021年と比べて5日短縮した。しかしこれには、女性の賃金が1.7千円増加したことだけでなく、男性の賃金が1.6千円減少したことも影響しているそうだ。イコールペイデイの推移を見る際は、女性、男性、両方の賃金の推移とあわせて見る必要がある。

世界のイコールペイデイ

それでは、日本以外の国々のイコールペイデイはいつだろうか。国により計算方法や起算日が異なる場合もあるが、各国のBPWや政府機関が直近で発表している内容を一例として記載する。

・スイス 2月20日(2022年時点)
・ドイツ 3月7日(2022年時点)
・韓国 3月12日(2021年時点)
・アメリカ合衆国 3月15日(2022年時点)
・カナダ 4月12日(2022年時点)
・オーストラリア 8月31日(2021年時点)(但し7月1日が起算日)

イコールペイデイの日には、多くの国で賃金格差を啓発するためのキャンペーン活動が行われている。例えば、赤色を身に着けるキャンペーンだ。1988年にアメリカのBPWが、赤色を女性の経済的自立のシンボルカラーとするキャンペーンを始めたことがきっかけで始まった。

また、アメリカでは賃金平等に関する全国委員会(the National Committee on Pay Equity、NCPE)が、1996年にイコールペイデイを設けて以来、毎年市民団体等による啓発イベントが開催されている。イコールペイデイには、大統領が賃金格差を無くすための宣言を発表するなど、政府の関心の高さもうかがえる。

イコールペイデイを見るにあたって

男女の賃金格差を示すイコールペイデイだが、指標として見るにあたって幾つか注意点もある。

・イコールペイデイは、平均賃金の比較であり、同じ組織で同じ仕事をする男女の賃金比較ではない。例えば、オーストラリアのように、同じ労働価値に対して男女が同一の賃金を受け取ることが約50年前から法律で義務付けられている国でも、組織、産業、国などマクロのレベルでは、男女の平均賃金格差が存在している。これは、男性と女性で就く仕事が異なる、ライフイベントによって男性よりも女性の働き方が変わりやすい等の理由が挙げられる。

・男女間の賃金格差は依然として大きな課題である一方、男女という切り口だけでは限定的な見方になる恐れがある。例えば、アメリカ大学女性協会(the American Association of University Women、AAUW)は、男女という軸に加え、人種や、母親となった女性の場合等、様々な見方でイコールペイデイを計算し発表している。AAUWによると、LGBTQIA+の軸では賃金に関する統計データが不足しており、イコールペイデイの計算が現状は難しいとのことだ。また、オーストラリアでは、政府が州単位のイコールペイデイを公表している。

まとめ

多くの国で、男女の賃金格差は何十年も前から指摘されてきた。イコールペイデイは、男女の賃金格差を年ごと、国ごとに比較する指標として使うことができる。その一方で、なぜその格差が生まれているか、どのような傾向があるかを知るには、人種、年齢、LGBTQIA+、地域等、様々な軸で見ていく必要があるだろう。

【参照サイト】イコール・ペイ・デイ(特定非営利活動法人日本BPW連合会)
【参照サイト】2022年 イコール・ペイ・デイ(EPD)(特定非営利活動法人日本BPW連合会)
【参照サイト】BPWとは(特定非営利活動法人日本BPW連合会)
【参照サイト】イコール・ペイ・デイ(Equal Pay Day)(公益財団法人日本女性学習財団)
【参照サイト】Equal Pay Day (BPW Switzerland)
【参照サイト】Equal Pay Day in Germany(Library of Congress)
【参照サイト】Equal Pay Day(BPW South Korea)
【参照サイト】Equal Pay Day: March 15, 2022(United States Census Bureau)
【参照サイト】April 12 is Equal Pay Day in Canada: The road to economic recovery(Almaguin News)
【参照サイト】Equal Pay Day(Australian Government)
【参照サイト】Equal Pay Day Calendar(the American Association of University Women)
【参照サイト】International Equal Pay Day: Myth busting the gender pay gap in Australia(Australian Government)




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