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ユーフォリック広告(Euphoric ads)とは・意味

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ユーフォリック広告(Euphoric ads)とは?

ユーフォリック広告とは、消費者の気分を高揚させ、幸福感を満たすことでマーケティング効果やブランドイメージを高める広告のこと。「ユーフォリック(Euphoric)」とは英語で「高揚した、陶酔的な、幸福感に満たされた」といった意味の言葉である。

一般的に、人はポジティブな気分の時の方が表示される広告に関心を向けやすいといわれている。また現代の消費者の多くは、より陽気で心が満たされるコンテンツを視聴したいと考えており、同時に企業・ブランド側もブランドイメージをよりポジティブなものにしたいと考えている。

そこで近年、消費者が楽しい気分になり、幸福感や高揚感を覚えやすいコンテンツやプラットフォームを利用した広告が配信されるようになってきている。

このように顧客のポジティブな感情を広告に結びつけることは、「宣伝」や「マーケティング」をより好感的なものにし、商品を買ってもらうだけでなく、ブランドイメージをより肯定的なものにすることにつながるといわれている。

マーケティングと気分一致効果

ユーフォリック広告のほか、マーケティングにおいて利用される「人はポジティブな時にみる広告により関心を向けやすい」という心理効果は「気分一致効果」と呼ばれる。

気分一致効果とは1981年にアメリカの心理学者ゴードン・H・バウアーによって提唱された心理効果で、「人はその時に感じている気分と一致する記憶、思考、判断、行動が促進される」というものだ。

つまり人は気分が満たされ高揚している時にみる広告の方がプラスの印象を抱いて積極的な行動を取りやすく、反対に、心が沈んでいる時やネガティブな心理状況の時には目にする広告に対してもマイナスの反応を示しやすい。

「広告の神様」と呼ばれたアメリカのコピーライター、クロード・ホプキンスは著書の中で、「明るくポジティブな未来を見せる広告の方が、暗くネガティブなものより4倍広告効果が高い」と述べている。

ユーフォリック広告の事例

このように、顧客のポジティブな感情に着目したユーフォリック広告には以下のような事例がある。

視聴者の感情にあわせ変化するレクサスの広告

2021年10月、自動車ブランドのレクサスは新発売車種に搭載された「クライメイト・コンシェルジュ」という車内空調調整機能をアピールするため、視聴者の感情に合わせてリアルタイムで映像が変化する「Feel Your Best」というCMキャンペーンを行った。

このキャンペーンCMは顔認証技術を利用して視聴者の表情をモニタリングしながら感情の変化を読み取り、それにあわせて音楽や色調を変化させることで広告がパーソナライズされるというものだ。

顔認証技術からリラックス・驚き・ストレス・幸せ・困惑の5つに分類された感情を読み取り、視聴者がよりポジティブな気持ちになるよう3,125通りに映像が変化するCMを作った。

愛、優しさなどを伝えるGAPの広告

アパレルメーカーのGAPは2021年10月、「ALL TOGETHER NOW」というホリデーグローバルキャンペーンを行った。

このキャンペーンでは、歌手ケイティ・ペリーがカバーするビートルズの「All You Need is Love」という曲とストーリーテリングを組み合わせ、愛・思いやり・優しさ、そして「現代アメリカの楽観主義」をテーマとする広告を配信した。こうしたテーマは、GAPがブランド哲学の核として掲げており、マーケティングモチーフともなっている。

GAPはこの広告を通して家族全員そろって着用できるルームウェアや100%再生素材で作られたクロップドパファーなど、キャンペーンテーマを象徴するホリデーアイテムを紹介した。

まとめ

日本インタラクティブ広告協会(JIAA)の調査によると、多くの消費者がインターネット広告に、「煩わしい」「怪しい」といったネガティブな感情を抱いていることが明らかになっている。また、身体的特徴を指摘して不安感を煽る「コンプレックス広告」の蔓延に対し消費者からの苦情の声が多く上がるなど、より良い広告のあり方が問われていると言える。

そうした背景も、近年消費者が以前にも増してソーシャルメディアやデジタルプラットホームで視聴するコンテンツに、喜び・幸福感・団結・楽観主義といった気分を高める要素を求める理由になっているのかもしれない。

消費者の需要と同時に、企業の多くがブランドイメージ全体を好感的なものにしながらポジティブに広告エンゲージメントを高めたいと模索していることから、ユーフォリック広告は今後、より広がっていくことが予想される。

また、消費者のポジティブな感情に結びつく要素として、サステナビリティ、助け合い、インクルーシブな社会といったテーマが打ち出されることもあるだろう。

そのようなユーフォリック広告においてブランド側に求められるのは、発信するメッセージの信頼性・確実性を保ち、事実に基づいた倫理的なマーケティングを行うことだ。マーケティング効果に着目するあまり、不確実な情報や消費者に誤解を与えるメッセージを発信しないよう注意することが大切だろう。

【参照サイト】Euphoric ads|WUNDERMAN THOMPSON
【参照サイト】広告から喚起される不確実なポジティブ気分の影響
【参照サイト】LEXUS RELEASES EMOTIONALLY INTELLIGENT AD THAT RESPONDS TO VIEWER’S EMOTIONS
【参照サイト】Gap 2021 HOLIDAYグローバルキャンペーン
【参照サイト】Scientific Advertising
【参照サイト】気分一致効果
【参照サイト】ネット広告への強い嫌悪感、テレビや新聞の倍以上に。「しつこい」「邪魔」が3割超【JIAA調べ】
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