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Fab Lab(ファブラボ)とは・意味

ファブラボ

Fab Lab(ファブラボ)とは?

Fab Lab(ファブラボ)とは、デジタルからアナログまでの多様な工作機械を備えた、実験的な市民工房のネットワークである。個人による自由なものづくりの可能性を拡げ、自らの必要性や欲求に応じて、「自分たちの使うものを、使う人自身がつくる文化」を醸成することを目指している。「ファブ」には、「Fabrication」(ものづくり)と「Fabulous」(楽しい・愉快な)の2つの単語がかけられている。

2002年にスタートしたファブラボは、MIT(マサチューセッツ工科大学)のニール・ガーシェンフェルド教授がMITで始めた講義「(ほぼ)あらゆるものをつくる方法」をきっかけに生まれた。同氏の著書『ものづくり革命 パーソナル・ファブリケーションの夜明け』で紹介されて以来、その考え方が急速に世界に広まり、現在では世界120か国以上に2000以上、日本には20か所のファブラボが存在する。

米の非営利団体であるFab Foundationが、その国際的なネットワーク拡大および地域のファブラボ構築の促進やサポートを行っている。

Fab Labの条件

ファブラボの名称を利用するための条件として、Fab Foundationは以下の4つを挙げている。

  1. 一般市民に開かれていること
  2. ファブラボ憲章の理念に基づき運営されていること
  3. 共通の推奨機材を備えていること
  4. 国際規模のネットワークに参加すること

なお、ファブラボ憲章(Fab Charter)とは、世界のファブラボが共有する基本理念や運営のガイドラインをまとめたものであり、ファブラボと名乗る施設は、この内容をウェブサイトと施設内の目に触れる場所に掲示し、利用者に周知させることが求められる。

また、ファブラボ推奨機材は以下の通りだ。

レーザーカッター:紙や木材、アクリルなどの板材をカット、彫刻する。
CNCルーター:木の板材を切削加工し、家具などを作るための大型のルーター。
ミリングマシン:木材、樹脂、金属などを切削する高精度なフライス盤。銅板を切削して回路基板を作ることもできる。
ペーパー/ビニールカッター:紙やカッティングシートを切り出す。マスクやフレキシブル回路を作る。
3Dプリンター:3Dデータをもとに、樹脂などを立体として出力する。
各種ハンドツール・電子工作ツール:加工品を仕上げるヤスリ、機械組立てのためのネジやドライバー、電子回路のための半田ごてやオシロスコープなど。

Fab Labのネットワーク

上記の条件4にも挙げられているとおり、各ファブラボは国際的なファブラボのネットワークに参加し、その活動をオープンに共有することが求められている。たとえば、毎年開催される「Fab(X):世界ファブラボ会議」や、国境を超えたワークショップ等の連携プロジェクト等、国際ネットワークでの活動が多数存在する。また、オンライン上にも「Fab Wiki」や「Fab Academy」といった様々なオープンプラットフォームが形成されている。

「Fab Academiy」はMITのニール・ガーシェンフェルド教授によるオンライン講義で、世界の70を超えるファブラボで運営されており、年間250人以上の人が参加している。3Dモデリングから回路設計、プログラミング、機構設計など、モノを作るためのあらゆる技法を学び、世界中の参加者による課題発表なども行われる。

日本のFab Lab

2011年に日本初のファブラボとして、FabLab Kamakura(神奈川県鎌倉市)とFabLab Tsukuba(茨城県つくば市)がオープンして依頼、現在は、全国で計20か所のファブラボが存在する。大学と連携した施設や地域に根差した施設など、ファブラボの形態や活動内容はさまざまだ。

たとえばFabLab Kamakuraでは、はじめてのFABLAB講座や3Dデータ作成講座、IoT講座、子ども向けのものづくり講座、Fab Academyの開催などを行っており、設立10年を迎えた現在も活発な活動を実施している。また、FabLab Kamakuraによると、北海道でのファブラボ設立準備をしているメンバー向けに研修なども行っているという。(FabLab Kamakuraより)

まとめ

ファブラボは、世界中でそのネットワークが広がっている。先進国のみならず、開発途上国においてもさまざまなイノベーションが生まれており、社会課題の解決に寄与している事例も多い。また、ファブラボでは個人の活動のみならず、企業との共同研究なども進んでおり、大学と市民と企業と行政が連携する「産官学民連携」の拠点となることも期待できる。イノベーションが生まれる場所として、大きな可能性を秘めているといえよう。

【参照サイト】Fablabs.io
【参照サイト】Fab Wiki
【参照サイト】Fab Academy
【参照サイト】Fablab Japan
【参照サイト】Fablab Kamakura
【参照サイト】ITUジャーナル Vol. 46 No. 2「FabLabを用いたイノベーション環境構築による貧困削減プロジェクト」(徳島泰)
【参照サイト】ものづくり拠点「ファブラボ」が地方・地域経済を再構築する 第32回 慶応義塾大学の田中浩也・教授に聞く




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