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ギャップイヤーとは・意味

ギャップイヤー

ギャップイヤーとは?

ギャップイヤーとは、高校卒業から大学入学までの期間に、インターンやボランティア、留学など個人の成長やキャリア構築のために活動する期間のことである。

ギャップイヤーは、1960年代にイギリスで政府が若者の国際的な文化交流を通して世界戦争の防止を図ると提起した議論から生まれたと言われている。具体的には、1967年にイギリス ブリストルのN・マッカーラン氏が3 名の学生をエチオピアに「ギャップイヤーボランティア」として派遣したのが起源とされる。

現在では、主に高校卒業から大学入学や大学院入学までの期間をインターンやボランティア、留学にあてることを指す。近年、欧米やオーストラリア、イスラエルではこのギャップイヤーを使う若者が増えており、ギャップイヤー制度を導入する大学も増えている。ギャップイヤー組合が行ったアメリカとカナダのギャップイヤーに関する2020年の調査(※1)では、ギャップイヤーの活動の内容として1番多いのが、海外留学、次いでボランティア、語学教育、プログラムへの参加、学校のコースへの参加となっている。

ギャップイヤー制度を導入する大学では半年〜1年、入学を遅らせることでギャップイヤーを推奨している大学が多い。しかし、個人が活動を行う期間は自由度が高く、調査では最も多いのが67%で7ヵ月〜12ヵ月、次いで21%が2ヵ月〜6ヵ月、8%が13ヵ月〜24ヵ月であった。

日本のギャップイヤーの取り組み

日本ではまだあまり浸透していないが、ギャップイヤー制度を導入する大学も徐々に増えている。例えば、東京大学には「FLY Program」という制度がある(※2)。これは入学が決定している学部学生が、自ら申請して1年間の特別休学期間を取得したうえでボランティア活動や就業体験活動、国際交流活動を行うものである。大学側から提供するプログラムを行うのではなく、学生自らが主体的に自ら考えた活動を実施。東京大学側としては、「よりグローバルに、よりタフに」学生を育成しようとする狙いの一環で、「FLY Program」を行っている。

また国際教養大学では、国際教養学部の入試制度として「ギャップイヤー入試」を導入している(※3)。11月中に選抜が行われ、合格者は翌年9月の入学。この4月から8月の期間にギャップイヤー活動を行うことが義務づけられている。大学側としては、この猶予期間中にグローバルな知識や思考能力をより能動的に、具体的に身につけてほしいというねらいだ。

ギャップイヤーの効果は大きく大学生活をより有意義にすることと、その後の就職にあると言えるだろう。ギャップイヤーを経験した生徒は大学就学でバーンアウト(五月病・燃え尽き症候群)や中退が少なく、高い目的意識を持って大学生活に取り組むことができる。

また、卒業後の就職にも効果があらわれている。京都府立大学学術報告によれば、企業の雇用関係者の 88%が有益なギャップイヤーを経験した学生は職場での意思決定やコミュニケーション能力、対人関係などにおいてギャップイヤー未経験者より優れていると答えているのだ。

ギャップイヤーは本来、「寄り道」と訳される。普段の生活や勉強から離れ、一歩外の世界へ踏み出すことで知り得ることは何にも変えがたい財産になるはずだ。一人一人が自由にチャレンジできる社会は、もっと世界を多様に輝かせてくれるのではないだろうか。

※1 2020 GAP YEAR ALUMNI SURVEY(GAP YEAR ASSOCIATION)
※2 FLY Program(東京大学)
※3 2023年度学生募集要項(国際教養大学)

【参照サイト】ギャップイヤー (一般社団法人 日本ワーキングホリデー協会)
【参照サイト】ギャップイヤー・ジャパンについて(ギャップイヤー・ジャパン)
【参照サイト】わが国におけるギャップイヤーの導入事例(京都府立大学公共政策学部講師 杉岡秀紀)




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