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ギフテッドとは・意味

子どもの多様性

ギフテッドとは?

ギフテッドとは、生まれつき高い知性や特定の能力が突出した人のことである。神様からの贈り物という意味で「Gifted(ギフテッド)」と呼ばれている。先天性の才能であるため、早期教育で得られるものではない。

ギフテッドにはIQで計測できるような知能が長けているパターンや、リーダーシップ能力や芸術性に優れるなど多様なパターンが存在する。そのため、明確な数値基準や定義は定められていない。しかし、一般的にはIQ130以上の人がギフテッドとされ、人口の約2%がギフテッドであるといわれている。相対性理論のアインシュタインやマイクロソフトのビル・ゲイツ、フェイスブックを創設したマーク・ザッカーバーグなどもギフテッドといわれ、世界に名を残す偉業を成し遂げてきた。

ギフテッドの特徴

ギフテッドの子どもは同年齢の子どもと比べて著しく高い才能を発揮する。

ギフテッドの子どもを支援しエンパワーメントするアメリカのNational Association for Gifted Childrenは、ギフテッドの子どもの特徴を以下のように挙げている。(ギフテッドの子どもたちはギフテッドではない子どもたちと同様に多様な存在である。そのため、一概に下記の特徴が当てはまるわけではないということは、念頭に置いていただきたい。)

  • 並外れた用心深さがある。
  • 学習の習得が早く、考えを瞬時にまとめることができる。
  • 並外れた記憶力を持つ。
  • 年齢に対し、並外れた語彙力を持ち、複雑な文章構成ができる。
  • 言葉のニュアンスや比喩を読み取る並外れた読解力を持つ。
  • パズルや数字などの問題解決を楽しむ。
  • 未就学のうちに読み書きができる。
  • 深く激しい感情や反応をしめす。
  • 非常に繊細である。
  • 理論的、複雑、洞察力のある思考をする。
  • 幼い頃から理想論や正義感を持つ。
  • 社会問題や政治問題、不正義に関心を持つ。
  • 高い集中力を長い時間保つことができる。
  • 自分の考えにふける空想家のような面がある。
  • 基本的なスキルは少しの説明ですぐに理解する。
  • 徹底的に質問をする。
  • 幅広く興味関心を持つ。(もしくは、1つの分野だけに集中する。)
  • 好奇心が非常に発達している。
  • 実験や違うことを試すことに興味も持つ。
  • 通常とは違う方法で物事や考えをまとめる。
  • 頭がきれる、ユーモアのセンスがある。
  • ゲームや複雑なスキームを通して人々や物事をまとめたがる。
  • 鮮明な想像力がある。(未就学時に空想の友人がいる。)

ギフテッドの種類

ギフテッドには「英才型」と「2E型」の2種類がある。

英才型

全般的に知能が高い状態のこと。認知や記憶などの能力が高く、学校の成績が全方面で優秀である場合が多い。例えば、学校の教科では国語、社会、理科、英語、美術、体育における全ての科目で成績が優秀である。英才型のギフテッドの子どもは周囲からも優秀さを見出されやすく、才能を伸ばすための機会や環境も提供されやすい。

2E型

2E型は、ギフテッドと発達障害を併発している状態のこと。「twice-exceptional」からきており、「二重に特別」「二重に例外」という意味合いだ。「発達に凸凹がある」と表現されることもある。特定の分野では突出した才能を示すが、苦手な分野はとことん苦手な傾向を示す。苦手な分野やネガティブな面が強調されてしまい、周りや本人でさえも気付かないケースがある。

ギフテッドと発達障害

上記、2E型のギフテッドに見られるようにギフテッドと発達障害はいくつか共通項が見られるため、ギフテッドとしての才能に気付かれることなくADHDやASDなどの発達障害として誤診されるケースが非常に多い。

下記にギフテッドと発達障害の共通点の一例を挙げる。

  • 好きなこと、興味のあることには高い集中力を発揮する。
  • 完璧主義で、人が気にしないような細かいところまで気になる。
  • 論理的思考力が高く、物事を深く考える。

ギフテッドと発達障害の相違点の一例は以下である。

  • ギフテッドの人はリーダーシップを取ることが得意であるが、発達障害の人は苦手。
  • ギフテッドの人は他人の感情を汲み取ることが得意であるが、発達障害の人は苦手。
  • ギフテッドの人はルーティンワークを苦手とするが、発達障害の人は好きであることが多い。
  • ギフテッドの人は運動が得意であるが、発達障害の人は苦手。

以上はあくまでも一例である。先述のようにひとりひとりのパーソナリティは一概には定義付けできないため、ひとりひとりとしっかり向き合うことが大切だ。

ギフテッドの診断

ギフテッドの診断にはさまざまな方法があるが、以下2つが一般的とされている。

1.WISC-Ⅳ(ウェクスラー式知能検査)
子どもの知能指数を測定するための検査。総合的なIQのほか、「言語理解」「知覚推理」「ワーキングメモリー」「処理速度」の4つの項目を測定する。一般的にギフテッドと診断される目安としては、「IQが130以上であること」とされている。しかし、創造性や芸術性、運動能力などはこの方法で測ることが難しいため、絶対的な診断方法とは言い難い。

2.QEEG検査(定量的脳波検査)
脳波を測定して脳の状態を可視化し、どの部位が平均よりも活性化しているかを客観的に診断する方法。医師の問診と合わせて、発達障害やギフテッドの程度を診断できる。

ギフテッドの子どもへの教育環境

ギフテッドの才能を見出しその能力を最大限に生かすためには、子どもたちがその才能に蓋をしたり、孤立したりしてしまわないようなギフテッド教育が重要である。グローバル化し多様な生き方が推奨される現代で、各国でギフテッド教育が推奨されている。

ギフテッド教育先進国

アメリカではギフテッドの教育は国家レベルで進められており、ギフテッド教育を推進する数々の団体や学校が存在する。高校生に大学レベルのカリキュラムや試験を提供するアドバンスト・プレイスメントや小学校・中学校・高等学校・大学への早期入学、飛び級など「早修」が行われている。これにより、ギフテッドの子どもたちは無理矢理、学校のレベルに自分を合わせることなく、自分のレベルに応じた教育を自由に受けることができるのだ。

フィンランドでも1990年代からギフテッド教育の推進がみられる。フィンランドのギフテッド教育は「学習者中心的」かつ「インクルーシブ型」をテーマに進められており、子どものニーズに応じた柔軟なクラス編成や、サマープログラム、各種コンテスト、放課後スクールなどの拡充プログラムの提供が積極的に行われている。

隣国の韓国でも、ギフテッドを含む才能のある児童生徒を選抜し、科学高校や英才学校、英才教育院、英才学級を行っている。

日本の取り組み

日本では文部科学省を中心に、特定分野に特異な才能のある子どもの能力を伸長していこうと試みている。

例えば、先進的な理数系教育を実施する高等学校等をスーパーサイエンスハイスクール(SSH)に指定し支援している。また、Society5.0 をリードし、SDGs の達成を牽引するイノベーティブなグローバル人材を育成する「WWL(ワールド・ワイド・ラーニング)コンソーシアム構築支援事業」を実施している。

また、自治体では渋谷区が独自にギフテッド教育に乗り出している。東京大学先端科学技術研究センターと協業し、新しいギフテッド教育プログラムを実施した。2017年〜2018年のプログラムでは書道家の武田双雲氏、ロボットクリエイターの高橋智隆氏を講師として招くなど教科書では教えられない現実的で実践的、且つユニークな教育プログラムを提供している。

日本でもギフテッド教育は推進されてきているものの、末端の教育現場や地域、人々の理解はまだ乏しいのが現実だ。JAPAN MENSAの調査では、122人の調査対象者のうち、9割が学校・職場・友人関係で生きづらさを感じているという(※)。人と違うことが原因でいじめを受けたり、周りに疎まれたり、苦手な部分にばかり注目され適切な教育を受けれなかったりと、彼らの生まれもった最たる才能を閉ざしてしまうのは、他でもない社会の構造である。

「人と違う」ことをその人の個性として受け入れ、ひとりひとりの可能性や才能を見出せる社会を創る。そのためには、学校の教育制度ももちろん大切であるが、何より私たちひとりひとりの心持ちが大切なのではないだろうか。

※ 知られざる天才 “ギフテッド”の素顔(NHK クローズアップ現代)

【参照サイト】Common Characteristics of Gifted Individuals(National Association for Gifted Children)
【参照サイト】特定分野に特異な才能のある児童生徒に対する 学校における指導・支援の在り方等に関する有識者会議 審議のまとめ(素案)(文部科学省)
【参照サイト】渋谷区で動き出したギフテッド教育、協働する東大先端研と区長の思い(マイナビニュース)
【参照サイト】ギフテッドとは?特徴・種類・検査方法について(ブレインクリニック)
【参照サイト】ギフテッドとは?(大阪メンタルクリニック)




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