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GovTech(ガブテック)とは・意味

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GovTech(ガブテック)とは?

GovTech(ガブテック)とは、行政が行うさまざまな業務にITやAIなどのテクノロジーを活用することで、行政サービスの効率化・最適化・利便性向上を図る取り組みのこと。

Government(行政)とTechnology(技術)を合わせた造語で、既存産業にテクノロジーを組み合わせることで新たなビジネススタイルを生み出すX-Tech(クロステック)の一つである。

日本では経済産業省を筆頭に2019年ごろからGovTechの導入が進められており、2021年9月には「誰一人取り残されないデジタル社会の実現」に向けてデジタル庁が設立された。

このようにテクノロジーを活用してビジネスや社会のあり方を変革する取り組み全体のことを「DX(Digital Transformation:デジタルトランスフォーメーション)」と呼ぶ。

GovTechにより効率化される業務

これまで行政業務は書類や印鑑を用いて対面で行われることが多く、書類の手配や確認など手続き全般に手間や時間を要するため、市民と行政職員の双方にとって不便で非効率的だった。

そこでテクノロジーを活用し以下のような行政業務をデジタル化することで、効率化・最適化を図る取り組みが行われている。

申請手続き

住民票や助成金申請など、市民・事業者から行政への申請手続きをオンライン化することで、自治体役所に出向くことなく手続きが完了する。これにより市民は窓口訪問や書類記入などの手間がなくなり、行政側も業務削減につながる。

相談・問い合わせ対応業務

アプリやAI等を活用したチャットボットにより問い合わせを自動化することで、利便性の向上や窓口業務の削減が実現できる。

情報発信

自治体がポータルサイトやSNS、通話アプリなどを活用した情報発信を行うことにより、市民に対し効率的に情報を届けることができる。

定型業務

行政に多く存在する、流れや手順が決まった定常業務をAIやロボットによって自動化したり、システムを導入することで書類処理を削減できる。これにより運用の標準化や効率化につながる。

GovTech(ガブテック)推進のメリット

GovTechの導入が進むことは、市民・行政の双方にメリットがある。

例えば市民側にとっては、行政サービスの質や利便性が向上し、行政窓口を訪れる時間や手続きの手間が省ける、行政サービスをより活用しやすくなるといったメリットがある。

一方、行政側にとっては対応や書類処理の工数・時間を減らすことができ、業務が効率化・最適化されることでコスト削減や行政職員の働き方改革につながる。

またもう一つ大きなメリットとして、行政全体の課題となっている少子高齢化による人材不足やリソース不足の解消につながることがあげられる。

総務省が行った調査によると、地方公務員の数は平成6年をピークに令和3年までで約48万人減少しており、行政サービスの質の低下や職員の負担増加が懸念されている。少子高齢化により今後も人材不足が深刻化するといわれるなか、GavTechはその解決策のひとつとして期待されている。

海外のGovTech事例

海外でも行政のデジタル化は積極的に進められており、先進的な事例としては以下のような国がある。

エストニア

エストニアは1997年から「e-Gonernance(イーガバナンス)」戦略を掲げ、世界に先駆けて行政サービスの99%がオンラインで完結する電子政府を実現させている。15歳以上の国民に「eIDカード」を配布し様々な行政手続きを簡略化したほか、2001年にデータベース連携プラットフォーム「X-Road」を導入し、効率化とコスト削減につなげるといった政策が行われた。

デンマーク

デンマークは2000年から行政機関の通知を「Digital Post」と呼ばれる電子私書箱で行っており、原則市民は保有・利用が義務付けられている。2007年からはデジタル化庁により「Borger.dk」という市民向けのポータルサイトが運用されている。このサイト上には申請手続きや助成金の案内といった市民が必要とするサービスが利用者ごとにまとめられており、引っ越し手続きなどもサイト上で完結する。

シンガポール

シンガポールは1980年代から行政のデジタル化を進めており、2016年には政府の技術機関「GovTech」が設立されている。2000年に行政と企業の情報がオンラインに集約された「GeBIZ」というプラットフォームの利用を開始し、2016年には個人情報管理プラットフォームとして「Myinfo」というサービスを開始している。ここでは、婚姻証明や出生証明なども確認できるという。

国内のGovTech事例

国内でも2019年ごろからGovTechの導入や実証実験が進んでいる。各自治体ごとに導入分野や、デジタル化の進捗状況はさまざまだ。

兵庫県神戸市

神戸市は全国に先駆けてGovTechを推進しており、ベンチャー・スタートアップ企業と協力して子育てイベント参加アプリの開発、介護サービス事業者への案内業務のデジタル化などを行っている。また2020年に新型コロナ感染症の支援対策として行われた補助金事業「中小企業チャレンジ支援補助金」では、申請のうち83%がオンラインで提出された。

大阪府四條畷市

四條畷市では2020年からオンラインで住民票を請求できるサービスを導入している。24時間365日どこからでもスマートフォンで申請でき、支払いはクレジットカードで行う。

広島県広島市

広島市は2020年から災害発生時、被災者がスマートフォンで最適な支援を確認できる「被災者支援ナビ」を運用している。ここでは5分ほど質問に答えるだけで支援策から手続き方法、必要書類などがWEB上で案内される。

茨城県つくば市

つくば市も神戸市と同じくベンチャー・スタートアップ企業と積極的に協力してGovTech導入しており、ネット投票システムの実証実験を実施している。デジタルIDアプリ「xID」を使用して個人認証を行うことで、スマートフォンから投票ができるという。

福島県会津若松市

会津若松市ではベンチャー・スタートアップと協力し、スマートシティプロジェクトに取り組んでいる。その一環として、市民向けのアプリを活用した農家と飲食店・旅館の需給マッチングサービス、母子健康手帳の電子化、アプリを利用した学校情報の配信など様々なGovTech導入を進めている。

GovTechの課題と今後

現状、GovTechを推進する上での課題としてはデータ管理とプライバシー・個人情報保護、コストと人的リソース確保の問題などがあげられる。

GovTechサービスでは、行政が市民の個人情報をオンライン上で一括で管理することもあるため、プライバシーや個人情報保護の徹底、情報の利用用途を明確にするといった対策は欠かせない。

またAIやロボットなどのデジタル技術の導入やデータ管理にはコストと人的リソースが必要となるため、財政や専門人材が不足する自治体では思うようにデジタル化を実現できない、それにより自治体間で格差が生まれるといった課題もある。

政府が行政のデジタル化において掲げる「誰一人取り残さない」という目標を実現するには、補助金以外にも情報やリソース提供、人材確保といった自治体のGovTech導入をサポートする政府の取り組みが重要となるだろう。

人材不足や過疎化など、少子高齢化により生じる社会課題にどのように対応し、行政サービスを維持していくかは全国ほぼ全ての自治体が抱える喫緊の課題だ。その解決策としてGovTechの取り組みは今後ますます注目されるだろう。

【参照サイト】公的分野におけるデジタル化の現状と課題
【参照サイト】地方公共団体の行政改革等|地方公務員数の状況
【参照サイト】「スマートシティ会津若松」の取組とビジョン
【参照サイト】行政手続等の棚卸結果等の概要
【参照サイト】自治体DX推進手順書参考事例集【第1.0版】
【参照サイト】総務省|地方行政のデジタル化




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