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グリーンプレミアムとは・意味

代替肉

image via dosmass/ Shutterstock

グリーンプレミアムとは?

グリーンプレミアムとは、炭素を排出する製品と排出しない代替品のコスト差のこと。

例えば、1ポンド(約0.45キログラム)あたりのハンバーガーに用いられる肉の値段で比べると、牛肉を使用したものは3.79ドル (約513円)であるに対して、植物由来の代替肉を使ったものは5.76ドル (約781円) で、差額は1.97ドル (約267円)となる。この1.97ドルがグリーンプレミアムである。

この例のように、環境に配慮していない商品は、二酸化炭素の排出を抑えた商品よりも価格が安価な場合が多い。なぜなら、化石燃料などの影響で将来払わなければならない経済的・環境的コストまで見込まずに価格設定をされているからだ。上記の例では、牛肉の生産過程で排出されるメタンガス(※1)のコストが考慮されていないため、そちらの商品が高くなっているということだ。

※1 牛のゲップには、二酸化炭素よりも強力な温室効果ガスのこと

グリーンプレミアムが生まれた背景

グリーンプレミアムは、マイクロソフト社の創始者であるビル・ゲイツ氏が提唱した指標で、著書の「How to Avoid a Climate Disaster(※2)」で説明されている。

ゲイツ氏は、過去数年にわたり、地球全体での二酸化炭素の排出をゼロにすべきだと訴えてきた。何を達成しなければならないか、それをどのように実現できるかを知ることは全く別のことであり、それらの疑問の答えとして、グリーンプレミアムを提唱しているのだ。

※2 2022年8月発売予定

グリーンプレミアムを導入するメリットと対応

ゲイツ氏は、「グリーンプレミアムを理解することは、気候変動問題への取り組みの進捗状況を測定し、対策を進展させる鍵となる」と自身のブログに記している。グリーンプレミアムの値が大きいということは、気候変動の解決を目指すなかで、とりわけ障壁となっている分野であると言える。つまり、グリーンプレミアムによって、人々は特に取り組むべき課題を理解することができるのだ。

下記では、グリーンプレミアムが低いものと高いもの、それぞれにおける対応について述べる。

グリーンプレミアムが低いテクノロジーの場合

価格が安定しており、炭素を排出する製品とそうでない製品の金額の差が小さい技術は、インセンティブを与えることで、できるだけ多く利用されるようになることが望ましい。需要が高まることで、さらに価格が安定することも期待される。

例えば、アメリカの太陽光はコストが下がってきている。温室効果ガスを排出する発電方法を使う場合とクリーンなエネルギーである太陽光を比べると、前者の電気料金は、1ヶ月につき18ドル (約2442円) ほどしか上がらない。個人や家庭によって感覚は変わるだろうが、比較的低いグリーンプレミアムだと言えるだろう。

太陽光のような再生可能エネルギーの普及をさらに進めることは、アメリカはもちろん、世界における脱炭素社会に向けた重要な役割を果たすに違いない。より多くの人が太陽光にアクセスできるよう経済的な整備がさらに求められる。

グリーンプレミアムが高いテクノロジーの場合

例えば、グリーンプレミアムが高いものにセメントがある。セメント産業を国に例えると世界3位の温室効果ガス排出国で、年間の二酸化炭素の排出量は世界の8%を占めている。日本は1人あたりのセメント消費量が世界7位だとされている。

セメントの製造には、化石燃料を燃やすほか、化学反応によって二酸化炭素を多く排出する。製造過程から二酸化炭素を取り除くことは難しいとされており、現在もCO2を回収して貯蔵 (CCS) や利用 (CCU) する研究が進められている。これらの技術を使ってセメントを作っても、1トンあたり175ドル (約23,745円) のグリーンプレミアムが発生する。

それゆえ、セメントの製造において、二酸化炭素の削減方法の技術革新は不可欠であり、こうした高コストであることからグリーンプレミアムが高い製品には、研究や開発投資、優秀な人材を投入することで、手ごろな価格まで下げることが求められている。

グリーンプレミアムを下げるには?

環境に配慮された商品を安価で手に入れるためには、どのようにしたらよいだろうか。政府・企業と投資家・個人の3つの視点から考える。

政府
二酸化炭素を排出する製品をより高価にするか、クリーンな方法で作られた商品をより安価にする。どちらも実現するような政策を打ち出すことが理想

企業・投資家
環境に配慮された燃料や製品の購入、研究開発への投資、クリーンエネルギーのスタートアップ企業への支援、政府の政策への支持など

個人
選挙での投票、企業に対して環境に良い商品の需要の声を届けるなど

まとめ

地球に配慮された商品を買いたくても、価格の高さに諦めたことがある人は少なくないのではないだろうか。グリーンプレミアムを下げるためには、消費者一人ひとりが無理のない範囲で環境に良い商品を選ぶことが、需要を高める一歩につながるだろう。

また、すでにグリーンプレミアムが下がってきた再生可能エネルギーへの切り替えも提案したい。会社として、クリーンなエネルギーを利用する社員に補助金を支援することで、組織全体で環境に良い選択に取り組むこともできるはずだ。新たな選択をする際は、使用から廃棄まで見据えて、信頼できる製品を検討する必要があるだろう。

自分に合った方法で、環境を思いやった選択を増やしていくことが大切なのかもしれない。

【参照サイト】Breakthrough Energy  The Green Premium
【参照サイト】GatesNotes  Introducing the Green Premiums
【参照サイト】Swissinfo.ch  CO2大量排出セメント産業、環境負荷を減らせるか
【参照サイト】経済産業省 資源エネルギー庁 未来ではCO2が役に立つ?!「カーボンリサイクル」でCO2を資源に




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