Browse By

ホモフォビアとは・意味

ホモフォビア

ホモフォビアとは?

ホモフォビアとは、同性愛や同性愛者に対する嫌悪や恐怖などの心理的概念と、それに伴う行為を指す。ギリシア語で「同一」を意味するホモと「恐怖症」という意味のフォビアに由来する。

ホモフォビアは同性愛や同性愛者に対する嫌悪や憎悪から成る行為であり、嫌がらせやいじめ、差別、暴言、暴力、殺傷などを指す。

ホモフォビアが引き起こした歴史的な悲劇として有名なものに、ナチス・ドイツにおける同性愛者の迫害と虐殺がある。ホロコーストにおける同性愛者の死者数は5,000人を超えるともいわれており、歴史上最も残忍なホモフォビアの事件だ。

また、2016年にはアメリカ、フロリダ州オーランドにあるゲイクラブで銃撃事件がおき、49人が犠牲になった。これもホモフォビアが引き起こした残酷極まりない事件である。

ホモフォビアと併用されやすい言葉

トランスフォビア

トランスフォビアは、トランスジェンダーの人たちに対する嫌悪や恐怖などの心理的概念と、それに伴う行為である。(トランスジェンダーとは、生まれた時に割り当てられた身体の性と、こころの性が一致していない人のことを指す。)

ホモソーシャル

ホモソーシャルとは、男性同士の結び付きや男の絆を意味する言葉である。(ここでの男性は、生まれた時に割り当てられた身体の性と、こころの性が男性として一致しているシスジェンダー男性のことを指す。)しかし、単に男性同士の絆という意味ではなく、アメリカのジェンダー研究者イヴ・セジウィックによれば、ホモソーシャルはミソジニー(女性蔑視)とホモフォビア(同性愛嫌悪)をベースにした男性同士の結び付きや男の絆のことだと示している。例えば、男性同士で性風俗やキャバクラに行くことで、暗に自分たちは同性愛者ではないと誇示し、同性愛者の存在を否定している。

国際反ホモフォビア/トランスフォビア/バイフォビア・デー

上記のように、歴史上の残虐な事件から現代に蔓延る嫌がらせや日常的な慣習までホモフォビアによってたくさんの同性愛者が迫害され、傷付けられている。

実際に、日本でもいまだに多くのLGBTQと呼ばれる同性愛者を含めた性的少数派が心ない差別に苦しんでいる。2022年3月30日東京都総務局の「性自認及び性的指向に関する調査」(※1)によると、LGBTQ層全体で33%の人がこれまでに困難な経験をしたことがあると回答した。経験内容の中には、差別やいじめ、職場でのハラスメントという回答もみられた。

また、新型コロナウイルスのパンデミック禍でも、同性愛者を含めた性的少数派は更なる危険に直面してきた。例えば、同性愛が犯罪とされている国やトランスジェンダーの人々が差別の標的にされている国では、性的少数派は危険を恐れて検査やワクチン接種などに行くことができなかったり、外出制限により家族や同居人からの暴力を受けたりする可能性が高くなったりする。さらに、ヘイトクライムの対象にもなりやすい。

5月17日はホモフォビアやトランスフォビアを含む、LGBTQI嫌悪に反対する国際デーである。英語名はInternational Day Against Homophobia, Transphobia and Biphobiaで、国際的な反ホモフォビア/トランスフォビア/バイフォビアの日だ。1990年5月17日、世界保健機関(WHO)が同性愛を精神疾患のリストから削除したことをきっかけに制定され、現代でも、通称IDAHOTBITと呼ばれ当事者や支援団体が性の多様性の意識を高めている。

2020年の5月17日、パンデミック禍のIDAHOBITでUNFPA(国際連合人口基金)事務局長ナタリア・カネムは次のように語っている(※2)(一部抜粋)。

「全ての人は生まれながらにして自由であり、尊厳と権利について平等である。レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、クィア、インターセックス(LGBTQI) の人々は傷付けられ、排除を被る差別を日常的に受けている。」

「国際連合人口基金は性と生殖に関する健康と権利を、多様な性的指向、性自認、性の表現や性の特徴の人たちに向けて取り組むことを宣言する。そして、差別やハラスメントをなくし、全ての人々が安心し、尊厳をもち生られる社会を目指す。」

近年ではドラマや映画でも同性愛をテーマにしたものが増えてきている。しかし未だに同性愛者に向けたこころない差別、ハラスメントや無意識に彼らを傷付ける慣習や社会の構造が存在する。

日常のさまざまなシーンで傷付いている人がいないか寄り添った言動を意識し、UNFPAの宣言のように誰もが尊厳をもち生きられる社会を目指したい。

※1 性自認及び性的指向に関する調査(東京都総務局)
※2 5月17日「多様な性にYESの日(国際反ホモフォビア/トランスフォビア/バイフォビア・デー)」に寄せて―UNFPA事務局長ナタリア・カネム(国連人口基金 駐日事務所)

【関連記事】トランスジェンダー
【関連記事】性の多様性




用語の一覧

あ行
か行
さ行
た行
な行
は行

ま行
や行
ら行
わ行
A
B
C
D
E
F
G
H
I
J
L
M
N
O
P
Q
R
S
T
V
W
X
数字

FacebookTwitter