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ジュガードとは・意味

ジュガードとは?

ジュガードとは、ヒンディー語で「革新的な問題解決の方法」「独創性と機転から生まれる即席の解決法」という意味。これは、インドに古くから根付く精神のあり方を言い表すもので、日常の些細な工夫を表す言葉としてインドの人々の日常に溶け込んでいる。また昨今では、この精神がインドなどの新興国で産まれている社会問題を創造的に解決するイノベーションの源泉となっている事が注目されており、ジュガードの精神を学ぶ各国のイノベーターたちが増えている。

ジュガードの6原則

イノベーションを起こすためのジュガードには、6つの基本原則がある。

原則1:逆境を利用する
様々な社会問題をイノベーションのきっかけとし、逆境をチャンスに変える。
原則2:少ないものでより多くを実現する
資金やものが足りないときにこそ機転を働かせ、あり合わせのもので何とかする。
原則3:柔軟に考え、迅速に行動する
柔軟に考え、環境変化にもすばやく対応できる。
原則4:シンプルにする
過剰な機能を持たせることなく、シンプルに目的を果たす。
原則5:末端層を取り込む
サービスの届かない末端層の人々を、主な顧客とする。
原則6:自分の直観に従う
型通りの市場調査や投資家のいう事だけに頼らず、自分の直観を大切にする。

これらはいずれも、人口が多く、比較的貧しい人々の数が多いインドだからこそ生まれた、生き残るための精神のあり方である。

ジュガード精神がもたらした成功

ジュガード精神により成功した人物の事例を2つ紹介しよう。

1人目は、世界で5本の指に入るエネルギー・ソリューション企業スズロンを立ち上げたタルシ・タンティ氏だ。彼はインドで織物工場を設立した際、高価で不安定な電力に悩まされ、自ら工場向けに風力タービンを開発した。そして、その後人口の44%が電気を利用できないインドの状況をチャンスと考え、スズロン・エナジーを立ち上げたのだ。

2人目は、IDEAS FOR GOODでも取り上げた、粘土でできた冷蔵庫「MittiCool」を発明したマンスカーバイ・プラジャパティ氏だ。この冷蔵庫は、上段の扉内に入れた水が側面に滴り蒸発する際に、内部の熱気を奪って中を冷やすという仕組みにより、一切電気を使わずに食べものを冷やすことができる。この発明のきっかけは、2001年にインドを襲った大地震。Prajapati氏は被災者の壊れた冷蔵庫の写真を新聞で見て、電力を必要とせずに使える冷蔵庫を作ることを決意したという。これも、まさに逆境をチャンスに変えるジュガードの精神の賜物と言えるだろう。

先進国とジュガードの精神

持続可能な社会を作っていくためには様々なイノベーションが必要だが、昨今の先進国では、市場調査や複雑な分析などが重視されすぎることで、逆にイノベーションが生み出されにくくなっているのでは、という指摘がある。そんななか、上記の例のように不自由な中で産み出されたソリューションが、結果環境に良いものであったりする事例を見ると、「逆境を利用する」「少ないものでより多くを実現する」といったジュガードの精神からは、多いに学ぶべきものがあるのではないだろうか。

【関連記事】インド発の電力を一切必要としない冷蔵庫「MittiCool」で、エコな暮らしを。




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