物流テックとは・意味
物流テックとは?
物流テックとは、IoT、AI、ロボットといった最新のテクノロジーを活用して、物流業界における配送・在庫管理などのあらゆる業務を自動化、効率化するシステム、またはその取り組みのこと。
既存の産業に最先端のテクノロジーを組み合わせることで、新しいビジネススタイルを生み出すX-Tech(クロステック)の一つである。
これまで物流業界は他業種と比べIT技術の導入が遅れているといわれてきたが、技術の進化とともに、業務の様々な課題を解決するための一手として物流テックの導入が加速している。
物流テックの市場規模
近年、ネット通販やサブスクリプションサービスの普及によりEコマース市場が拡大したことで、物流業界全体の市場規模が発展してきており、それに伴い物流テック市場も成長過程にある。
富士経済が2021年に行った調査によると、ロボティクス・オートメーション、ロジスティクス・ファシリティ、IoT、AIなどを含めた、次世代物流システム・サービスの市場規模は2021年時点で6,282億円ほどであった。また2026年には、2020年比で60%増の9627億円になると予想されている。
物流テックにより解決される課題
物流テックは、物流業界が抱える下記のような課題の解決策として注目されている。
荷物量の急増
近年、ネット通販の活発化で荷物量が急激に増えており、配送業務全体の負担が増えている。
総務省の家計消費状況調査によると、2022年8月の二人以上世帯のネットショッピング利用率は53.1%となっており、2020年の50.5%、2021年の51.5%から年々増加している。
とくに新型コロナ感染症パンデミック以降のオンライン消費の加速に、物流業界の対応が追いついていないのが現状だ。また貨物を保管する倉庫のスペース不足も問題となっている。
慢性的な人手不足
上記のような物流業界の市場規模の広がりに労働力が追いついていないこと、また少子化の影響によるトラックドライバーの高齢化などにより物流業界は慢性的な人手不足が問題となっている。
厚生労働省が2021年2月に発表した「労働経済動向調査」によると、2020年8月時点で物流業界の約43%の企業が正社員労働者が不足していると答えている。またトラック業界で働く人の45.2%が40〜54歳で、29歳以下の若年層は全体の10%以下だという。こうした需要と供給のバランスの崩れから、2030年には物流需要の約36%が輸送できなくなるとの試算もある。
サービスの速さと質の両立
オンライン消費の拡大とともに、翌日配送や再配達など、サービスに対する顧客ニーズが多様化していることで、配送ドライバーの負担が増加していることも問題となっている。
限られた人員で顧客が求める輸送の速さやサービスの質を満たしていくには、業務の効率化・自動化が欠かせないといわれている。
環境問題への取り組み
物流業界が排出するCO2の量は、2020年で日本の総排出量の約18%を占めており、脱炭素社会の実現に向け業界全体での削減対策が求められている。物流テックにより在庫管理や配送業務の無駄を減らし、効率化することはCO2排出削減にもつながる。
物流テックの活用事例
物流業務は大きく配送と倉庫管理の2つに分けられ、その両方で物流テックが活用され始めている。
在庫管理にIoT技術を活用
IoT技術を導入することで、倉庫内デバイスや商品自体からデータ収集が可能となり、在庫管理の作業効率化につながる。また、コスト削減や倉庫内の異常検知も可能となる。
倉庫業務へのロボット活用
大型の物流倉庫を中心として、貨物倉庫内での荷物の収納・保管・梱包・仕分けなどの作業にロボットの導入が進んでいる。
現時点では、荷物の積み下ろし・ピッキング・積み込みといった作業は自動化されておらず人の手で行われているが、今後重いものや壊れやすいものなども取り扱える汎用性の高いロボットが開発されれば、より自動化が進むという。
在庫管理や配送手配にAIを活用
AI技術の導入によって、これまで目視でスキャンしていた入荷・出荷・検品・仕分けといった業務の自動化が可能となり、作業のスピードアップ効果が見込めるという。またAIによる需要予測などにより欠品を減らしたり、在庫管理を最適化できる。
配送にドローンを活用
小口宅配や離島や山間部、過疎地への荷物配送にドローンを活用することで迅速な配送が可能となり、大幅な配送コスト削減や顧客満足度の向上が見込めるという。また人手不足への対策にもなる。
ドローン配送は災害時の物資輸送や、地域間格差といった社会課題の解決にもつながるとして2018年度以降、国による支援も実施されている。
ITシステムで車両、配送ルート管理を効率化
輸送に必要な管理業務は、車両管理・配送計画・ドライバー支援など多岐に渡り複雑だ。ここにITシステムを導入しデジタル管理をすることで、業務の効率化を図れる。
車両の位置情報、走行履歴、燃料コスト、道路状況などを一括で管理するシステムや、配送ルート、積荷などの業務を最適化する配送計画システムなどが導入されている。
こうしたシステムの導入は、配送中の事故を未然に防いだり、配送プロセスが効率化されることによるドライバーの労働環境改善、輸送品質向上にもつながる。
物流テックの今後
世界的な生活様式の変容が進む中、今後もオンライン消費は増えていくと予想されており、物流業界が担う社会インフラ上の役割はさらに大きくなっていくだろう。
そうした需要に対応するためにも、今後より多方面での物流テックの活用、また新しい技術サービスの研究開発が求められる。
さらに日本の物流業界が世界に先立ち、最先端の物流テック技術や物流システムを開発・実用化していければ、業務効率化だけではなく経済成長や国際貢献の機会にもなり得るほか、CO2削減等の環境対策の良いモデルともなるだろう。
【参照サイト】家計消費状況調査 ネットショッピングの状況について|総務省
【参照サイト】次世代物流システム・サービス市場を調査|富士経済
【参照サイト】労働経済動向調査(令和3年2月)の概況|厚生労働省
【参照サイト】物流DX導入事例集
【参照サイト】ロジスティクスコンセプト2030
【参照サイト】物流テックとは?市場規模と注目のベンチャー・スタートアップ企業│コボットLAB
用語の一覧
あ行
- アーティスト・イン・レジデンス
- アイソレーション・エンヴィー(Isolation Envy)
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- アイデンティティ・クライシス
- アウティング
- アウトサイド・イン・アプローチ
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- アカウンタビリティ
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- アクセシブルツーリズム
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か行
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さ行
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- ジェネレーションZ(Z世代)
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- ホライズンの悲劇
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ら行
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A
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C
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D
E
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F
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G
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- GRI(Global Reporting Initiative)
H
I
- IaaS(Infrastructure as a Service)
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- Inner Development Goals(IDGs)
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- Internet of Customers(顧客のインターネット)
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- IPCC
- ISSB
- IUU漁業
J
L
- LAC(Living Anywhere Commons)
- LCA(ライフサイクルアセスメント)
- LEAPアプローチ
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- Learning by doing
- Less is more
- Life-Centered Design
- LOHAS(ロハス)
M
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