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MAPA(Most Affected People and Areas)とは

MAPA

image via Shutterstock/ photo by Dietmar Rauscher

MAPA(Most Affected People and Areas)とは

MAPAとは、歴史的に植民地化されたり、疎外されたりしてきたことで、現在、最も環境問題の影響を受けている国や地域、人々のこと。スウェーデンの環境活動家であるグレタ・トゥーンベリ氏が広めた気候変動に関する世界的ムーブメント「Fridays For Future」の中で、「グローバルサウス」に代わる言葉として用いられるようになった。

グローバルサウスとは、1969年に初めて使われた、“途上国”や低所得国などの類義語とされる言葉。「サウス(南)」という言葉が示すように、MAPAは主にアフリカや南米、アジア太平洋地域などの南半球に偏在するとされる。

MAPAが抱える問題

私たちは現在、気候変動、種の大量絶滅、社会的経済不平等などの深刻な問題を抱えている。こうした背景には、何世紀にもわたって行われてきた、北半球の“先進国”や富裕層による植民地政策、帝国主義、自身の利欲のための経済成長、組織的な不正や搾取などに根ざすものが多い。しかし、そうした状況に対して、南半球の人々は歴史の中で生まれた格差や差別などを理由に、声を上げにくい現状がある。自らは気候危機を招く行動にあまり関与していないにもかかわらず、その損害を多く被っている場合も少なくない。

MAPAの地域に暮らす多くの人々は、これまでも自然と共存して生きてきた。しかし、北半球の富裕層によって拡大してきた化石燃料産業によって土地を奪われ、文化は抹殺され、彼らが住む地域の森林伐採や自然界の破壊を受け入れざるをえない状況に陥っている。そしてそれらがもたらす干ばつ、洪水、異常な熱波、飢餓や難民、病気の流行などに苦しんでいるのだ。

さらに、それらの国や地域などは、新型コロナウイルスによるパンデミックでも、多大に影響を受けているとされている。知的財産権などの問題でワクチンの生産を北半球の国のメーカーに限る措置などがとられ、MAPAの人々のワクチンへのアクセスが制限されるなど、ここでも格差が生じている。また、これによって被害が拡大し、COP26などの気候変動に関わる重要な意思決定の場に参加できないなど、負の連鎖も広がる。

先進国は2050年までに温室効果ガスの排出量実質ゼロの目標を掲げ、積極的に取り組んでいるように見えるが、その陰で森林再生計画によってMAPAの人達の土地を奪い、カーボンオフセットでお金だけ支払うものの排出量削減には責任を持たないなど、矛盾が見え隠れしている。

私たちにできること

MAPAを理解するには、インターセクショナリティ(交差性)という概念を知ることも必要だろう。これは、人種や性別、性的志向、障害など、いくつかのアイデンティティが交差した時に起きる差別や不利益を理解する仕組みだ。MAPAの中には、複数のマイノリティ性によって差別が重なり、より周辺に追いやられている人々も多く存在する。

また、『Fridays For Future』のメンバーたちは、2021年9月25日に行われた「グローバル気候アクション」の際、“#UprootTheSystem”という言葉を掲げた。メンバーたちは、気候危機によって様々な社会的不平等がさらに広がっていくこの世界を変えるには、根本的なシステムを壊していくことが必要だと訴える。資本主義や帝国主義を謳いながら無計画に二酸化炭素を排出し続けてきた“先進”諸国に対して、その負債を認識し、MAPAに対する責任ある行動を取ることを求めているのだ。そうしないと世界が危機を回避できない状況まで、気候変動の危機は全世界に迫っている。

現代を生きる私たちは、この状況を受け入れ自分たちに何ができるか、一人ひとり考えなければならないだろう。小さな声に耳を傾け、その声を繋げていくことで、大きなムーブメントを起こす。誰も取り残されない未来のために、まずは、お互いの違いを認め合い、声を発するという最初の一歩を踏み出してみてはどうだろうか。

【参照サイト】Fridays For Future | What is MAPA and why should we pay attention to it?
【参照サイト】Fridays For Future | Uproot the System!
【参照サイト】Fridays For Future Japan | FFFInternationalが求めること~先進国内だけに目を向けた運動では足りない。誰一人として取り残されることのない気候正義の実現のために、私たちはなにをするべきか~ |
【参照サイト】Yale Program on Climate Change Communication | Countries and Territories Most Affected by Climate Change Also More Likely to Believe it to Be Personally Harmful
【参照サイト】EnergyShift | Climate Strikers Are Back on the Streets! 気候ストライキが街に帰ってきた。世界気候アクション0925レポート、そしてMAPAとは。
【参照サイト】World Population Review-Global South Countries 2022




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