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マテリアルフローアナリシス(MFA)とは・意味

サーキュラーエコノミー

マテリアルフローアナリシス(MFA)とは?

マテリアルフローアナリシス(MFA)とは、日本語では「マテリアルフロー分析」、もしくは「物質フロー分析」とも呼ばれており、あるまとまりのある「システム」(国、地域、企業など)における一定期間内のモノの流れ(投入・排出・循環)を、系統的かつ定量的に分析する手法である。マテリアルフロー(物質フロー)とは、人間活動に伴うモノの動きや流れのことであり、対象とするシステムに投入された物質の量(インプットフロー)、排出された物質の量(アウトプットフロー)、循環利用された物質の量などモノの流れ全体を指す。

例えば日本の2018年のマテリアルフローは以下の図に示されている。左側に示されるインプットフロー(投入)では輸入資源や国内資源量等が含まれ、右側のアウトプットフロー(排出)では輸出や蓄積の量、エネルギー消費量や廃棄物の最終処分量等が含まれている。また、下部には国内での循環利用量が示されている。

マテリアル・フロー・アナリシス説明図

令和3年版 環境・循環型社会・生物多様性白書より引用

日本の「循環型社会形成推進基本計画(循環基本計画)」では、2003年に策定された第一次計画から2018年に策定された第四次計画まで、継続してこのマテリアルフローアナリシスの考え方が採用されており、モノの流れの「入口」「循環」「出口」を代表する指標として、「資源生産性性」「循環利用率」「最終処分量」の3つの物質フロー指標が設定されている。

マテリアルフローアナリシス(MFA)の活用

マテリアルフローアナリシスは、モノの流れを把握することにより資源の有効利用や廃棄物の削減、再資源化のプロセスについて検討することが可能となるため、サーキュラーエコノミー(循環型経済)を実現していくために有効なアプローチである。

日本では、上記で紹介したように循環基本計画の策定・進捗管理に、マテリアルフローアナリシスが活用されている。第四次循環基本計画では、以下のとおり2025年度に向けた目標を掲げており、年次の「環境・循環型社会・生物多様性白書」で進捗が報告されている。

目標(2025年度)

  1. 資源生産性
    49万円/トン(2000年度の約 25.3万円/トンからおおむね2倍)
  2. 入口側の循環利用率
    18%(2000年度の約10%からおおむね8割向上)
  3. 出口側の循環利用率
    47%(2000年度の約36%からおおむね2割向上)
  4. 最終処分量
    1,300万トン(2000年度の約 5,600万トンからおおむね8割減)

マテリアルフローアナリシスは、国レベルの分析だけではなく、地域や自治体、また企業レベルでも活用されている。例えば自治体では廃棄物処理・再資源化プロセスの実態把握や問題点の抽出に活用され、企業においては事業活動に係る資源やエネルギーフローの把握、その分析結果を用いた意思決定や報告等に用いられている。

企業の事例では、例えば「工場廃棄物ゼロエミッション」を目指すパナソニックは、工場廃棄物リサイクル率向上のための施策の一貫として、独自のマテリアルフロー分析手法を用いた資源ロス削減活動を展開している。具体的には、製品にならない材料や、必要以上に使用される消耗品などを「ロス」と考え、工程別にモノの流れ・ロス金額を見える化し、設計や製造など関連部門全体と密接に連携して課題の解決に取り組んでいる。

このように、原材料やエネルギーのロスを物量とコストとして見える化する手法は、マテリアルフローコスト会計(Material Flow Cost Accounting, MFCA)と呼ばれている。マテリアルフローコスト会計はドイツで開発された環境管理会計手法であるが、2000年に日本に紹介されて以来、経済産業省の推進もあり多くの日本企業で研究・導入が進められた。2011年にはISO14051として国際規格化され、環境負荷の低減とコストの削減を同時実現するための環境経営の手法として、普及が進んでいる。2021年にはマテリアルフローコスト会計を段階的に実施するための実践的なガイドラインであるISO14053:2021が発行された。

まとめ

マテリアルフローアナリシスは、対象範囲におけるマテリアルフローを把握するという点で、ライフサイクルアセスメント(Life Cycle Assessment, LCA)とも類似性がある。LCAが特定の製品を対象とすることが多いのに対し、マテリアルフローアナリシスは国や企業といったシステム全体を対象とするため、スコープの違いはあるが、どちらも対象範囲のマテリアルフローを系統的かつ定量的に分析しようとする点で共通しており、サーキュラーエコノミー(循環型経済)を目指して行くうえで重要なツールである。

また、近年ではマテリアルフローコスト会計(MFCA)とライフサイクルアセスメント(LCA)との統合モデルなども研究されてきており、企業経営における活用については今後の展開も期待される。

【参照サイト】独立行政法人国立環境研究所 環境儀No.14「マテリアルフロー分析 モノの流れから循環型社会・経済を考える
【参照サイト】環境展望台 環境技術解説「物質フロー分析(MFA)」
【参照サイト】環境省 「令和3年版 環境・循環型社会・生物多様性白書」
【参照サイト】パナソニック 「環境:循環型モノづくりの進化」
【参照サイト】中嶌 道靖, B. ワグナー, 「サステナビリティマネジメント手法としてのマテリアルフローコスト会計(MFCA)の新たな可能性に向けて:ISO14051とISO14052の国際規格化を参考に」




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