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マルチバースとは・意味

マルチバース

マルチバースとは?

マルチバース(multiverse)とは日本語で「多元宇宙」と訳され、私たちのいる宇宙以外に観測することのできない別の宇宙が存在しているという概念を示す科学用語だ。一つの宇宙を意味するユニバースに対し、マルチ(複数)バースは異なる複数の宇宙が物理学的に共存している考え方を表す。

マルチバース理論の種類

マルチバースについての理論はいくつか存在するが、中でも有名なものは「泡宇宙モデル」と呼ばれるものだ。

泡宇宙モデルは「宇宙はビッグバンによって誕生した直後に指数関数的に急激に膨張した」というインフレーション宇宙論から派生したと言われている。インフレーションによって宇宙は泡のように無限に作り出され、私たちの宇宙と似た宇宙や物理定数の全く異なる宇宙など、私たちは観測することができない領域に性質の違う宇宙が存在するという考え方だ。

また、もう一つの有力なマルチバース理論として「多世界解釈(エベレット解釈)」がある。

この概念は1957年に観測物理学者のヒュー・エレベット氏が提唱したもので、マクロな私たちの現実は異なる宇宙の重ね合わせであるという考え方だ。この多世界解釈の中では、私たちが一つひとつの選択を行うたびに宇宙は分岐して異なる現実が生まれるが、自分が知覚できる現実は自分の生きている現実だけだと捉えられる。

このようにマルチバースについてはさまざまな理論が存在しているが、マルチバースが実在するかどうかを証明できるような直接的な観測については発表されていない。

科学者たちの間では、マルチバースが検証可能なものかどうかについての議論が飛び交っている一方で、そもそもマルチバース上の他の宇宙は独立した存在で観測ができない領域のため検証は不可能だろうという意見もある。今後、何らかの新しい発見により私たちの宇宙以外の宇宙の存在が認められる可能性もあるが、永遠にその答えは見つからない可能性もあるといえる。

ビジネス領域におけるマルチバース

マルチバースという言葉は、ビジネスやマーケティングの世界でも、昨今話題となっているメタバース(metaverse)と並んで耳にする機会が増えている。

メタバースとは、主にテクノロジーの発展により生み出された、世界の人々が自由に行き来できるオンライン上の仮想空間(バーチャル空間)のことを指す言葉として用いられる。一方でマルチバースは、生態系さえ異なりその間を移動したり交わったりすることのできない異世界が存在することを示す理論物理学の概念である。

この二つの概念は似て非なるものだが、現在世界で普及し始めているVRや、3DCGなどを用いた個々のメタバースと、ブロックチェーンや暗号資産などが結びついたとき、マルチバースが誕生する。ビジネスの世界では、ユーザーや通貨、デジタルアイテムが表章されたトークン(※)が自由に行き来できる世界をマルチバースと呼ぶ。

※既存の暗号資産(仮想通貨)プラットフォームのシステムを間借りする形で存在する通貨で、独自のブロックチェーンを持たない通貨

マルチバースが普及した時、消費者や企業の動き方、ビジネスのあり方、マーケティングの手法などあらゆる側面で大きな変化が現れるだろう。私たちは将来のこうした変化に備え、常に広い視野を持ち、マルチバースにおける物理的・デジタル・バーチャル空間という三つの異なるものの経験から、学び試行錯誤する姿勢を保ち続けることが重要なのではないだろうか。

【参照サイト】日経ビジネス – マルチバース、パラレルワールド、異世界の科学的根拠
【参照サイト】デロイトトーマツ – 世界が一変する「Web3」、その動向と今後の発展
【参照サイト】Forbs – Why Marketers Must Start Talking “Multiverse” Instead Of “Metaverse”
【関連記事】メタバースとは・意味




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