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ファイトレメディエーションとは・意味

phytoremediation

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ファイトレメディエーションとは?

植物を用いて、土壌や水などから汚染物質を除去する環境修復技術のこと。ギリシャ語の Phyto(植物)とラテン語のremedium(修復)を組み合わせた造語。草や樹木、根に生育する微生物を用いて、土壌、地下水等の汚染物質を吸収、分解、大気中への蒸散させる方法を取る。

1990年代から低コストかつ環境に優しい環境修復技術として、アメリカをはじめ世界中で盛んに研究開発が行われ、商業化されるようになった。現在、約40種類の重金属高蓄積植物が発見されており、それらの多くが環境修復の現場で使われている。また有害有機化学物質や放射性物質についても有効であることが確認されている。

ファイトレメディエーションの活用事例

例えば日本では、カドミウム汚染農地(水田)のファイトレメディエーションがイネの一種によって行われた。手順は、まず汚染農地にカドミウム高吸収品種のイネを植え、栽培する。そして育ったイネを刈り取り、燃焼等によって処理するというものだ。このように、ファイトレメディエーションのプロセスは基本的な農作業とほぼ同じである。

phytoremediation

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ファイトレメディエーションを通じて浄化させることのできる物質は、カドミウムのほかにも、鉛、ヒ素、有機水銀、セシウム、リンなどがあげられる。

ファイトレメディエーションのメリットとデメリット

メリットとしては、土壌洗浄法などと比較して浄化処理後の土壌の物理・化学的状態を大きく変化させないことがあげられる。また、他の方法に比べてコスト面でもアドバンテージがある。鉛汚染土壌の浄化に掘削や封じ込めといった従来の浄化技術を適用した場合と比較すると50-65%、石油汚染土壌の場合は80%のコスト削減になるということが試算されている。従来の機械装置と比べて、より広範囲の処理も可能だ。

デメリットとしては、植物の汚染物質の吸収量が降雨量、日照量などに応じて変動することがあげられる。また、運用期間が数ヶ月から数十年と長く、根系の届かない部分には対処ができない。

そうしたデメリットがありながらも、低コストで土壌の性質を大きく変えないファイトレメディエーションは今後各地で活用されていく可能性が高い。技術としてはまだ発展の初期段階であるため、今後修復対象汚染物質および適用植物種の範囲の拡大、処理能力の向上などが図られていくだろう。

【参照サイト】ファイトレメディエーションによる 汚染土壌修復の現状と展望
【参照サイト】ファイトレメディエーションの現状と課題
【関連ページ】ファイトマイニングとは・意味




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