Browse By

ポリクライシスとは・意味

気候機器

ポリクライシス(polycrisis)とは?

ポリクライシス(polycrisis)とは、複数の世界的な危機が絡み合い、個々の事象の単純な合算以上の大きな影響を及ぼす状況を指す。

このポリクライシスはフランスの社会学者エドガール・モランによってつくられた造語。“poly”は「多数の」を意味する接頭辞で、政治(politics)や政策(policy)を意味するものではない。日本語では「複合危機」とも呼ばれる。

世界経済フォーラムが警鐘を鳴らす「ポリクライシス」とは

世界経済フォーラムは、毎年発行しているグローバルリスク報告書のなかで、短期(今後2年間)および長期(今後10年間)の二つの時間軸で起こりうる世界的な危機的事象を公表している。2023年版報告書におけるリスクの重要度ランキングは下図の通りであるが、短期的には生活費の危機、長期的には気候変動緩和策の失敗が最上位に挙げられている。

グローバルリスクの短期・長期的な重要度ランキング(World Economic Forum Global Risks Perception Survey 2022-2023をもとに弊社作成)

グローバルリスクの短期・長期的な重要度ランキング(World Economic Forum Global Risks Perception Survey 2022-2023をもとに弊社作成)

同報告書では、需給ギャップの拡大による天然資源危機が、環境・地政学・社会経済的リスクと相互に絡み合って「資源競争(Resource Rivalries)」と呼ぶべきポリクライシスが起こる可能性を指摘している。

環境破壊や自然災害、気候変動問題の緩和および適応への失敗が、食料・水・希少鉱物・エネルギーなどを巡る天然資源危機を増幅させ、それがさらに地政学上の対立や国家間の紛争、インフレによる生活コストの高騰、サプライチェーンの寸断といったリスクを増大させることが懸念されている。

「インピュニティ」と「説明責任」の闘い

こうしたポリクライシスのインパクトを抑制するには国際協調と気候変動対策の加速が不可欠である。しかし、ポリクライシスの原因を考えると、事はそれほど簡単ではない。

イギリス元外相のデービッド・ミリバンド氏は、フォーリン・アフェアーズ誌への寄稿文の中で、インピュニティ(説明責任を伴わない権力の行使)がポリクライシスの原因だと述べている。

国際法を無視した軍事侵攻、人権侵害や経済的搾取はもとより、環境破壊も一種のインピュニティと同氏は言う。なぜなら地球には投票権がなく、そして現在の過剰消費のツケを払う未来の世代も投票権がないからだと。

ミリバンド氏は、グローバルの課題を「インピュニティ」と「説明責任」の闘いと定義し、説明責任の力を強化して権力の乱用を抑制するためには、すべての市民と企業、非政府組織、そして政治家が行動を起こすことが必要だと述べ寄稿文を締めくくっている。

【参照サイト】グローバルリスク報告書2023年版: 急激な生活費危機とサステナブルな気候アクションの狭間で緊張がピークに > メディア | 世界経済フォーラム (weforum.org)
【参照サイト】世界経済フォーラム グローバルリスク報告書2023
【参照サイト】フォーリン・アフェアーズ




用語の一覧

あ行
か行
さ行
た行
な行
は行

ま行
や行
ら行
わ行
A
B
C
D
E
F
G
H
I
J
L
M
N
O
P
Q
R
S
T
V
W
X
数字

FacebookTwitter