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Proptech(プロップテック)とは・意味

Proptech

Proptech(プロップテック)とは

Proptech(プロップテック)とは、Property(プロパティ:不動産)とTechnology(テクノロジー:技術)を組み合わせた造語で、不動産業界におけるデジタルソリューション(デジタルを使った解決策)のこと。不動産テック、Retech、Realtechなどと同義とも言われる。その中でProptechは、消費者や利用する側であるエンドユーザーの視点で既存のサービスや商品を見直し、より幅広い領域で「Property」を再定義するものとして位置づけられている。

その種類は、ソフトウェア、ツール、プラットフォーム、アプリ、ウェブサイトなど様々で、仲介業や鑑定士、建築家や施工管理者まで、不動産業界に関わる人達の仕事にも大きな変革をもたらしている。領域も多岐にわたり、売買、賃貸、管理、鑑定、融資、マーケティング、開発、設計、建築、投資など不動産活動全般の効率化と円滑化の実現を目指している。

また、Fintech(金融)、Contech(建設)やCREtech(商業用不動産)の技術とも重なる部分もあり、業界の垣根を超え注目されている業態の1つである。

不動産業界におけるProptechの変遷

1990年代前半頃にスタートしたProptech1.0の時代から、2000年代の2.0の時期を経て、現在はProptech3.0のフェーズに差しかかったとも言われている。

元々、不動産業界はその特殊性や不透明性、また個人情報の取り扱いの難しさなどもあり、他の業界に比べ、ITの導入などが遅れていた。しかし、GAFAの不動産版とも言われる大手Proptech4社「ZORC」(Zillow、Opendoor、Redfin、Compass)を始め、次々とスタートアップが参入し、その成長は目覚ましい。2021年にはベンチャーキャピタルがProptechの関連企業に95億ドルを投資し、年間の過去最高額を更新した。

Proptech1.0

不動産業界で最初にテクノロジーの波が押し寄せたのは、アメリカを中心としたITバブルが起きた1990年代前半から2000年代の初期。しかし、古くからの業界の慣習などの影響 は大きく、最新のテクノロジーに拒否反応を示す人々も少なくなかった。その結果この時代に誕生した企業の多くはほとんど残っていない。

Proptech2.0

2000年代に入りインターネットと携帯電話が広く普及し、インターネット上で、住宅不動産の情報(価格や賃料)を閲覧しやりとりをすることが可能になった。このことで、一般ユーザー向けの住宅などを扱う不動産ビジネスの間でデジタル化が一気に進んだ。この頃にZillow や Truliaなどの企業も生まれている。また、これをきっかけにその他のシェアリングエコノミー、ホテル予約、仲介、データ収集などの分野にも広がり、ExpediaやAirbnbといった企業が急成長を遂げた。さらにこの時代に有料のSaaS(Software as a Service)などのビジネスモデルも利用されるようになった。

Proptech3.0

3.0の時代と言われる現在は、一般ユーザー向けだけではなくニッチな市場にもテクノロジーが導入されている。ビッグデータの活用やAR(拡張現実)、VR(仮想現実)、AI(人工知能)などによってさらなるイノベーションがもたらされ、不動産セクター全体のあり方が大きく変わろうとしている。また、業界全体として環境問題への対応なども求められており、今後はサステナブルなグリーン不動産のような領域も広がっていくだろう。

Proptech企業のカテゴリ

モナコ政府主催の不動産テックイノベーションプログラムの一環として発表されている
「PropTech Global Trends 2021」によると、数多く存在するProptechの企業は下記のようなカテゴリに分類され、様々なツールやサービスが挙げられる。

1. 投資

主に、不動産セクターのステークホルダーへの投資サービスを提供する企業やサービス。複数の投資オプションの特定と評価、およびそれらの投資用の資金確保が含まれる。

  • ポートフォリオマネジメント
  • 不動産投資家が不動産投資機会を分析し、より適切な投資判断を行うためのツール。 

    2. 建築

    不動産業界のステークホルダーに建設管理および屋内マッピングサービスを提供する企業やサービス。

  • コンストラクション・マネジメント
  • 建設ビジュアライゼーションツールや設計図管理プラットフォームなど、新しい建物の計画、設計、管理、建設を容易にし、改善することを目的とした最先端技術を含む。

  • インドアマッピング
  • 建物のビジュアル化を支援・向上させ、デジタル2Dまたは3Dマップ上の空間データを提供するソフトウェア。これにより建物の将来の設計や動線を予測し、最適化することが可能になる。また、現実の空間の3DモデルやVRモデルを作成し、オンラインで体験、変更、共有することもできる。

    3. 管理

    不動産分野における物件の賃貸・売買に関する検索関連サービスを提供する企業やサービス。

  • 短期賃貸/バケーションサーチ
  • 短期間のホームステイや、バケーションレンタルの手配や提供を支援する消費者向けツール。

  • 長期レンタル/売買検索
  • 長期滞在型ホームステイの手配・提供や、消費者による物件の売買の支援。

  • 商業不動産
  • 個人顧客や企業によって商業用不動産の売買ができるツール。従来の商業用不動産検索エンジンから、コワーキングスペース検索エンジンまで幅広い領域に渡る。

  • 不動産エージェントツール
  • 不動産業者にスピード、効率、品質、そして役割を自動化する技術の面で貢献するツール。不動産特有のCRM(顧客管理)、不動産業者のレビュー・プラットフォーム、マーケティング・ツールなどが含まれる。

  • 不動産管理
  • 賃貸収入物件の管理・保全・価値向上を支援する技術。入居者管理、入金管理やコミュニケーション、デザイン、サービスのための最先端ツールなど。

    4. 暮らし

    テナント、オーナー、不動産管理者の生活の質を向上させるための様々な側面から支援する企業やサービス。保険やパーソナルホームサービスを含む施設管理から、IoTまで多岐にわたる。

  • 施設管理
  • エネルギー使用量と効率を測定、制御、最適化するツールで、エネルギーコストと二酸化炭素排出量の削減などを可能にする。

  • 生命保険、住宅保険、損害保険
  • 住宅所有者やテナントへ生命保険、住宅保険、損害保険を提供するサービス。AIや行動経済学に伴う提案なども行う。

  • ホームサービス
  • 住宅所有者と技術の高い住宅設備の専門家をつなげることで、住宅の管理・メンテナンス、およびリフォームを完了できるようにするプラットフォームとテクノロジー。

  • IoTホーム
  • IoTとはInternet of Thingsの略で、ホームセキュリティ、ホームオートメーション、エネルギー管理など、家庭内のソリューション提供や管理改善に特化したデバイスを指す。

    まとめ

    「PropTech Global Trends 2021」によると、現在、世界の60カ国以上にイノベーションを推進するプロップテック企業が存在し、投資額も堅調だ。今後は、デジタルネイティブであるミレニアル世代やZ世代がマーケットの中心となっていくことで、さらなる成長が見込まれている。これまで日本は欧米や中国、インドなどに比べ、後れを取っていると言われていた。しかし、近年は大手不動産会社がスタートアップへの間接投資を行ったり、住宅領域以外での企業も増えたりと、そのプレゼンスを高めている。

    暮らしの中で私たちは何かしら不動産と関わりを持って生活をしている。Proptechによる不動産業界の改革は、私たちにも今後ますます大きな影響を与えることが予測される。革新的な技術によって、不動産業界の働き方改革や私たちのより良い暮らし、地球環境の改善が実現するのであればうれしいことだ。今後も未来の不動産業界の動向に注目したい。

    【参照サイト】ESCP|PropTech Global Trends 2021 – Annual Barometer
    【参照サイト】-R-LABS|Investing in PropTech 3.0: Creating a Better Future with Lessons from the Past
    【参照サイト】WSJ|Proptech Fundraising Soars to Record Highs in 2021
    【参照サイト】Ascendix|What Is Proptech and How It Changed the Real Estate Industry
    【参照サイト】Frontier Eyes Online by フロンティア・マネジメント|プロップテックがもたらす不動産の変化




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