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SBTs for Nature(Science-Based Targets for Nature)とは?・意味

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SBTs for Nature(Science-Based Targets for Nature)とは?

Science-Based Targets (SBTs) for Natureは、自然資本に関する科学的な目標設定を指す。

70以上の国際組織で構成されるGlobal Commons Allianceのイニシアティブのひとつであり科学に基づく目標を設定するネットワーク組織であるScience Based Target Network(SBTN)がSBTs for Natureのガイダンスを開発しており、2020年9月には企業向けの初期ガイダンス「Science-Based Targets for Nature: Initial Guidance for Business」が発表された。2022年に、生物多様性、気候、水、土地、海洋を含む統合的な目標設定手法の開発を目指している。

SBTs for Natureガイダンスの内容

2020年に発表された初期ガイダンスはどのような内容になっているのだろうか。

SBTs for Natureが目指しているのは、ネイチャー・ポジティブへの変革である。初期ガイダンスでは、SBTs for Natureの基本概念とともに、企業がネイチャー・ポジティブに貢献するためのステップ等が示されている。以下に、ガイダンスの主な内容の一部を紹介する。

ターゲット・カテゴリ

初期ガイダンスでは、ターゲット・カテゴリとして、以下図に示すフレームワークを提案している。土地、水、海洋の分野において、自然環境を変化させるドライバー、もしくは自然にプレッシャーを与える要素として、「(土地/水/海洋)利用の変化」「資源開発」「気候変動」「汚染」「侵入生物種、その他」の5つのハイレベル・カテゴリを設定しており、例えば「汚染」に関しては、土壌汚染、水汚染、海洋汚染といった具体的な問題に分解されていく。企業はこれらのドライバーに着目してアクションを行っていくことが期待される。

なお、これらのカテゴリは、国連環境開発会議(UNCED)、国連砂漠化対処条約(UNCCD)や国連気候変動枠組条約(UNFCCC)、SDGs等の既存フレームワークに沿ったものとなっている。

イメージ図

出典:Science-Based Targets for Nature: Initial Guidance for Businessより

アクション・フレームワーク

企業によるアクションについては、「AR3Tフレームワーク」として整理されている。まずは自然環境毀損につながる行動を回避し(Avoid)、できるだけ低減していき( Reduce)、そのうえで、自然の再生および回復に貢献し(Restore and Regenerate)、複数のレベルで自然毀損のドライバーに対応し、根本的なシステムを変革していく(Transform)といった内容となっている。

イメージ図

出典:Science-Based Targets for Nature: Initial Guidance for Businessより

SBTs for Natureの目標設定ステップ

企業が具体的に目標設定を行うためのステップとして、以下5つのステップが示されている。同ガイダンスでは、各ステップの具体的な取組み内容についても紹介されている。
 
Step1 評価(ASSESS)
既存のデータを収集・補完し、バリューチェーン全体でのインパクトや自然への依存度を推定する。その上で、目標設定のための潜在的な課題領域と場所をリスト化する。

Step2 理解と優先付け(INTERPRET & PRIORITIZE)
自社の事業からバリューチェーンを取り巻く環境まで、さまざまな「影響範囲」を検討しつつ、アクションを起こすべき重要課題と場所の優先順位を決定する。

Step3 測定、設定と開示(MEASURE, SET & DISCLOSE)
優先課題・場所について、ベースラインデータの収集を行い、地球の限界と社会の目標に沿った目標を設定し、公開する。

Step4 実行(ACT)
目標が設定されたら、AR3Tフレームワークを活用して計画を立て、持続可能でない自然の利用や自然の毀損への貢献を始める。

Step5 トラック(TRACK)
目標の進捗状況をモニタリングし、 進捗を一般公開する。

自然関連の目標設定の動向

上述のとおり、2022年にはSBTs for Natureの改訂版ガイダンスが発表される予定であり、その内容が注目される。また、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)では、自然関連のリスクについての企業報告フレームワークのベータ版を2022年3月に発表、6月にも改訂版を発表しており、2023年9月に正式なフレームワークが公開される予定となっている。

このように、企業活動が自然に与えるインパクトや自然への依存などを可視化する動きが本格化しており、2022年~2023年は、ネイチャー・ポジティブに向けた具体的な行動開始の元年となりそうだ。

【参照サイト】Science-Based Targets for Nature




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