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SFDRとは・意味

ESG投資

SFDRとは?

SFDR (Sustainable Finance Disclosure Regulation) は、2021年3月10日に施行した欧州のサステナブルファイナンス開示規則であり、EUの⾦融セクターを対象に、投資プロセスにおけるサステナビリティに関する開⽰の透明性と説明責任の向上を促すために設けられた規則である。2018年に欧州委員会で採択されたEUのサステナブルファイナンス・アクションプラン(EU Sustainable Finance Action Plan)の一環として策定された規則であり、EUタクソノミーとも連動した内容となっている。

SFDR導入の目的は、サステナブルな金融商品を求める投資家の要求に対し、グリーンウォッシュを防止し金融商品を適切に比較できるようにすることである。SFDRの対象となるのは、EUにおけるすべての⾦融市場参加者、および金融アドバイザーである。欧州の投資家に金融商品を販売している場合は、欧州以外の金融機関であっても規制対象となる。

SFDRの概要

SFDRは、20のArticle(条項)で構成されているが、指標や開示手法の詳細や技術的基準はRTS(Regulatory Technical Standards、細則)で示されている。

SFDRの導入にあたり、欧州監督当局は2021年2月に、契約前開示および定期的報告におけるテンプレートやサステナビリティへの主要な悪影響に関する声明などを含む、RTS草案のファイナルレポートを発表した。また、同年10月には、タクソノミー関連金融商品(主に8条~9条関連、詳細は後述)の開示に関するRTSの最終レポートを発表している。

SFDRの開示要件はどのような内容なのだろうか。SFDRの内容は、Article(条項)3条~5条に示される会社レベルでの開示要件、および、Article(条項)6条~9条に示されている金融商品レベルの開示要件に分かれている。

会社レベルにおいては、サステナビリティ・リスク統合の方針、サステナビリティへの主要な悪影響の開示、そして報酬方針などについて、金融機関のウェブサイトで開示することを求めている。報酬方針については、サステナビリティ・リスク統合方針との整合性が、どのように報酬方針に組み入れられているかという観点での開示が求められる。

一方で、金融商品レベルにおいては、サステナビリティへの主要な悪影響に関する情報開示のほか、商品をESG要素の組み入れ度合いに応じて分類し、情報開示することが求められている。金融商品レベルでのサステナビリティへの主要な悪影響に関しては、18の開示要求項目が挙げられており、例えば温室効果ガス排出量や化石燃料セクターの投資割合などのほか、生物多様性に敏感な地域で悪影響を及ぼす活動の割合といった指標が含まれる。

金融商品の分類については、第8条に該当する商品(環境性・社会性を促進する金融商品)、第9条に該当する商品(サステナブル投資を目的とする金融商品)、および、これらに該当しない金融商品(6条)に分類される。8条もしくは9条に該当する金融商品については、ウェブサイト上や契約前開示および定期報告において追加の情報開示が求められる。例えば、8条に該当する場合、投資プロセスにおいて環境や社会の要素をどのように考慮しているかといった情報の開示が求められることになり、9条に該当する場合は、より厳しい要件が課されることになる。

SFDR導入の見通しと今後

会社レベルの開示については、既に適用が開始されているが、RTSの適⽤には2022年時点で遅延が発⽣しており、適用開始は2023年1⽉となる⾒通しである。なお、商品レベルの契約前開⽰における主要な悪影響に関する声明については、2022年12⽉30⽇から適⽤される見込みである。

前述のとおり、SFDRの対象は、欧州に拠点を置く金融機関に限らず、欧州の投資家向けに⾦融商品を販売する金融機関についても含まれるため、当然日本の金融機関も影響を受けることになる。

投資先が日本企業の場合、サステナビリティに関する情報が限られる傾向にあり、日本の金融機関にとってはSFDRの要件に対応するためのハードルは低くない。「少なくとも8条ファンドの基準を満たせないような商品は、欧州の投資家から見向きもされなくなるおそれがある」との見方もある。一方で、欧州のルールがグローバルスタンダードになるかは、まだ不透明な面もあるため、今後、SFDR適用開始後の動向を注視する必要があるだろう。

【参照サイト】Final Report on draft Regulatory Technical Standards
【参照サイト】FINAL REPORT ON TAXONOMY-RELATED PRODUCT DISCLOSURE RTS
【参照サイト】PRI, Investor Briefing
【参照サイト】焦点:欧州ルールが日本株の重しに、ESGの情報開示強化 企業のデータ不足




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