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スラット・シェイミング(Slut-shaming)とは・意味

スラットシェイミング

スラット・シェイミングとは?

スラットシェイミングは、性のステレオタイプや社会通念に基づき期待される行動や外見から逸脱しているとして、非難したり、制裁をしたりする行為のこと。たとえば派手な服装をする女性に対しての「女のくせにはしたない」といった言動は、スラットシェイミングにあたる。

これはつまり、性に対する固定観念を他者に強要することだ。どの性別も被害者や加害者になりうるが、女性や性的マイノリティが被害者になりやすい現状がある。「スラット(Slut)」という言葉自体も、英語で「ふしだらな女」「(誰とでも寝る)尻軽女・ビッチ」といった意味を持つ。

スラットシェイミングの標的となるのは、たとえばこのようなケースだ。

  • 「性的」だとされる服装を着て服装規定に違反している
  • 避妊や人工妊娠中絶の権利を求める
  • 婚前交渉をしたり、無差別なセックスをしたりする
  • 売春をする
  • 強姦あるいは性的暴行の被害を受ける

この行為は、性差別にあたるとされる。特に、性被害を受けた人への「挑発的な服装をするのが悪い」といった批判は、性犯罪の加害者が正当化され、被害者が二重に心の傷を負い(セカンドレイプ)、社会的孤立や社会的地位の喪失を招く懸念がある。スラットシェイミングは伝統的に社会に存在していたとされており、1960~70年代のアメリカでの第二波フェミニズムで定義付けが進んだ。

性のステレオタイプは、時代や地域によってもまちまちで、何が正しく何が間違っているかといった基準は、極めて曖昧である。たとえば思想や法律で肌の露出が許されない地域もあれば、半裸で暮らしている地域もある。婚前交渉はおろか、配偶者以外の異性と暮らす地域もあれば、伝統行事として性交渉を行っていたという地域もある。そういう意味で、スラットシェイミングは、明確な根拠がないままに個人の性的な表現の自由を制約することにもなりうる。

スラット・シェイミングの事例と反対運動

SNS上では、さまざまなスラットシェイミングが起こっている。たとえば、アメリカの女優アリエル・ウィンター氏が肌が露出されている写真をSNSに投稿した際に、多くの女性フォロワーから非難が集中したとして、問題提起された。

また、フィンランドの首相サンナ・マリン氏が素肌にジャケット姿で雑誌に登場したときも、一部のSNSの投稿で「不適切」や「下品」だと非難された。それに対しては、人が何を着るのも自由だという声も多数巻上がっている。

スラットシェイミングに反対する運動は、フェミニズムに関連するものが多い。2017年に世界的に巻き起こった「#MeToo」運動もその一つだ。セクシャルハラスメントなどの性的被害体験を告発し、これまであまり性について語ってこなかった女性が声をあげることを促すこの動きは、性の社会的規範を超えたとして大きな反響があった。

日本ではその後、「靴」と「苦痛」をかけた「Kutoo」という運動が展開されており、署名が3万人を超えている。これは合理的な理由がないにも関わらず、身体的に負担の大きいハイヒールやパンプスの着用が、職場で女性のみに義務づけられていることに対して抗議する運動だ。これに対し、2020年3月の参院予算委員会で安倍元首相は「パンプス着用を強制し苦痛を強いる合理性を欠くルールを女性に強いることは許されない」と言明した。

【参照サイト】Slut shaming – SAGE Knowledge
【参照サイト】Change.org




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