社会・人的資本プロトコルとは・意味
社会・人的資本プロトコルとは?
社会・人的資本プロトコル(Social and Human Capital Protocol)とは、企業経営の中に社会資本・人的資本のマネジメントを取り入れるための考え方と手順をまとめたフレームワークであり、2019年に社会・人的資本連合(Social and Human Capital Coalition)により発表された。2016年に自然資本連合(Natural Capital Coalition)が発表した自然資本プロトコル(Natural Capital Protocol)の社会版であり、 企業活動が社会・人的資本にどのような影響をもたらし、またどのように依存しているかといった相互作用を明らかにし、これらの影響や依存度を計測、価値評価するためのプロセスや手法を示している。
社会・人的資本プロトコルは、社会・人的資本をビジネスのプロセスに組み込むことでより良い意思決定につなげることを目指しており、あらゆるビジネスセクターで使用することができる。また、地域や組織のレベルを問わず活用が可能なフレームワークとなってる。
社会・人的資本プロトコルの背景
そもそも、企業が意思決定に社会・人的資本を組み入れる必要があるのはなぜだろうか?
社会資本と人的資本は、それぞれ以下のように定義されている。
社会資本(ソーシャル・キャピタル)
ネットワーク並びにそこで共有される規範、価値観、理解など
人的資本(ヒューマン・キャピタル)
個人の知識やスキル、能力や属性など
ビジネスの核心は「人」であり、従業員、顧客、サプライヤー、流通業者、小売業者、地域住民などを含む。生産性の高い労働力、顧客のロイヤルティ、健全なバリューチェーン、活気のある地域社会、協力的な政府が存在するかどうかは、これらの様々な人や、彼らを取り巻くネットワークによって決まると言え、人と社会の成長、繁栄、幸福はビジネスの成功にとって重要な要素である。
今日の世界では、貧困、不平等、経済的不安定、スキル格差の拡大など、様々な要素がビジネスの価値に影響を与えている。また、地球規模のメガトレンド(グローバル化、テクノロジーの進展、人口動態の変化、気候変動)もビジネスモデルや戦略、オペレーションに様々な影響を与えており、企業は、社会の動向や変化が自社にどのような影響を与えるのか、そして自社の行動が社会にどのような影響を与えるのかを理解し、社会に対するビジネスの価値を示すことが重要となっている。
一方で、企業が社会・人的資本の価値をどのように計測・価値評価するかについてのコンセンサスはまだ確立しておらず、特に社会資本に関連した計測・価値評価アプローチの開発はまだ初期段階にある。社会・人的資本プロトコルでは、社会・人的資本の計測と価値評価について、信頼性があり、比較可能で広く受け入れられるアプローチを提供することにより、企業が持続可能な成長の原動力として、人と関係を評価できるようにすることを目指している。
社会・人的資本プロトコル開発の経緯と発展
持続可能な発展を目指すグローバル企業団体WBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議)が2018年に発足したイニシアチブ「社会・人的資本連合(SHCC)」は2019年2月、社会資本や人的資本の計測・価値測定のためのフレームワーク「社会・人的資本プロトコル(SHCP)」を発表した。
社会・人的資本連合は、2018年にWBCSD(World Business Council for Sustainable Development:持続可能な開発のための世界経済人会議)によって立ち上げられた団体で、世界の企業、NGO、研究機関や基準設定主体との協働により、社会・人的資本プロトコルの開発に取り組んできた。社会・人的資本プロトコルの枠組みは、2018年4月に草案が公表され、パブリック・コメントを通じて250以上の組織からの意見を精査したのち、2019年2月に公表された。
社会・人的資本連合は、2020年1月に自然資本連合(Natural Capital Coalition)と統合され、新たに資本連合(Capitals Coalition)として立ち上がった。資本連合は、資本アプローチ(Capitals Appcoach)を推進する団体として、プロトコルやセクター別ガイダンスの普及、ケーススタディの共有等を進めており、380以上の国際機関や企業、団体と協働している。
社会・人的資本プロトコルの内容
社会・人的資本プロトコルは、「フレーム」「スコープ」「計測と価値評価」「適用」という4つのステージから成り立っており、4つのステージはさらに9つのステップに分かれている。それぞれのステップでは、自然資本の評価・管理を行う上で確認すべき「問い」が示されており、ステップを完了することによってその問いに答えることができるようになっている。4つのステージと9つのステップの内容は以下の表のとおりである。
例えば、ステップ1.を完了させるためには、社会資本・人的資本が自社のビジネスにどう関連するかを理解することが必要であり、以下の2つの具体的なアクションが提示されている。
- 社会・人的資本の基本的概念を把握する。
- ビジネスケースと潜在的なビジネス上の意思決定を特定する。
社会・人的資本プロトコルでは、各アクションについて、解説や事例、具体的なアプローチ等が示されており、例えばステップ1.のアクション「1. 社会・人的資本の基本的概念を把握する」の場合は、社会資本・人的資本に関する概念や考え方、影響や依存の例ついて解説されている。これらのアクションをひとつずつ完了させていくことで、ステップを進めていくことが可能となっている。
まとめ
社会・人的資本は、自然資本と同様に、非財務資本として企業経営においてますます重要となってきている。非財務情報は、測定・価値評価したうえで、意思決定や戦略策定、そして開示やレポーティングに活用していくことが可能となるため、本プロトコルが提示する測定と価値評価のフレームワークは、非財務資本をビジネスプロセスに組み込むための基盤であると言える。社会・人的資本プロトコルは、自然資本プロトコルと併せて、あらゆる企業や組織にとって利用可能な基礎的なフレームワークであるといえよう。
【参照サイト】Capitals Coalitionウェブサイト
【参照サイト】社会・人的資本プロトコル(英語)
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D
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- Internet of Abilities(能力のインターネット)
- Internet of Animals(動物のインターネット)
- Internet of Behavior(行動のインターネット)
- Internet of Customers(顧客のインターネット)
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J
L
- LAC(Living Anywhere Commons)
- LCA(ライフサイクルアセスメント)
- LEAPアプローチ
- LEED(Leadership in Energy and Environmental Design)
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M
- MaaS(Mobility as a Service)
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- MDGs(ミレニアム開発目標)
- MSC認証
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N
O
P
Q
R
S
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- SASB
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- SOGI(ソジ)
- SPO(Sustainable Public Equity Offering)
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