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スウェットショップとは・意味

スウェットショップとは?

労働者を低賃金かつ劣悪な労働条件で働かせる工場や作業場のこと。搾取工場とも呼ばれる。こうした工場は開発途上国に位置することが多いが、先進国内でも報告されている。米国の労働省では、「2件以上の労働法規に違反している工場」と定義されており、違反の内容として強制労働、児童労働、低賃金・長時間労働、セクシャルハラスメント、パワーハラスメントなどが含まれる。

日本のいわゆる「ブラック企業」に近いものだと見られがちだが、ブラック企業が主に正社員やもっと広い範囲での労働者に対する会社での搾取を指すのに対し、スウェットショップは主に工場での非正規労働者に対する搾取を意味する。その「労働者」には、移民の貧困女性や10歳前後の幼い子どもの強制労働も含まれているのだ。

スウェットショップの有名な例は、2013年4月24日、バングラデシュの首都ダッカ近郊にあった商業ビル「ラナ・プラザ」の崩壊事件(ダッカ近郊ビル崩落事故)だ。この事故によって1,138人の方が亡くなり、行方不明者約500人、そして約2,500人もの負傷者を出した。

Image via rijans Flickr CC

問題は、事業主がコスト削減を重視し、耐震性を無視した増築を繰り返していたということ。事故の前日にはビルの亀裂が発見されていたが、従業員を避難させることはなかった。また、低賃金かつ過酷な労働環境で働かせ続け、労働組合の結成を認めないなど労働者の権利を侵害していたことも明らかになっている。

ラナ・プラザには縫製工場があり、誰もがよく知っているような欧米アパレルメーカーの服がつくられていた。このようなスウェットショップに起因する事件は、アパレル業界の闇であると同時に、解決すべき社会課題だ。

「スウェットショップで途上国の貧困削減」は本当?

労働者の権利を奪う、非人道的な労働環境は、ファストファッションが台頭する中で広がってきたことが指摘されている。安価で大量の服が販売できる国際的なシステムは、働き手を搾取することによって成り立つ一面があるのだ。

一方、スウェットショップを援護する声もある。イギリスの「アダム・スミス研究所」は、スウェットショップの正当性やメリットを主張するビデオを公開した。

ビデオに出演するジョアン・ノーバーグ氏は、消費者がスウェットショップで作られた衣服を購入することで、開発途上国の貧困削減に寄与できると主張。大量の衣服がつくられるカンボジアやバングラデシュでの貧困率が大幅に下がっているとし、「彼らが生産した服を着ることを誇りに思う」と発言している。

しかし、実際に途上国での貧困率が下がっていることが、スウェットショップへの就職に起因するかどうかについてのデータはない。身体的、精神的な消耗が激しく、安全も確保されていない状態での労働は肯定されるべきではないだろう。

近年では、ファッションやその他のモノ作りにおいて、ブロックチェーン技術などを利用して、生産過程における透明性を向上させる取り組みが世界各地で行われている。企業による情報開示を推進し、消費者が「搾取のない商品」を選べる環境を整えることは急務だろう。

【参照サイト】搾取工場とは|WWD
【参照サイト】Does “Made in the USA” Mean Not In a Sweatshop?
【参照サイト】Fast Fashion: The Danger of Sweatshops
【関連ページ】ラナ・プラザ崩落事故とは・意味




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