The Shecovery（シカバリー）とは？

アメリカの大手広告代理店ジェイ・ウォルター・トンプソン（JWT）が発表する、「2022年で最も重要なキーワード」の一つに選ばれた The Shecovery（以下、シカバリー）。これは、コロナ禍で家事と育児をしながらも仕事をしたいと願う女性が、職場に復帰するためのシステムや取り組みを指す。

2020年から続いた新型コロナは、働く女性には大きな打撃となった。2020年にマッキンゼー・アンド・カンパニーとLeanIn.Org が発表したレポートによると、調査の対象者となった女性の4人に1人は、新型コロナで休校になった子供の世話などに追われ、職場が柔軟な対応をできないがために、キャリアのシフトダウンまたは仕事を辞めることを検討したという（※1）。

このコロナ禍による女性の仕事からの離脱は、英語圏では「recession（不況）」とかけて「Shecession」と呼ばれている。アメリカのカマラ・ハリス副大統領が当時、その状態を「国家緊急事態である」と発言したほどだ。

そんな中で、企業側がより柔軟な働き方を促進し、女性の職場復帰を促すシカバリーという概念が登場した。

女性が帰ってきやすい制度を作ることが企業のスタンダードに？

女性の離職を防ぐため、そして従業員の健康的で柔軟な働き方のため、ITの巨人であるメタ社（元：フェイスブック）やツイッター社などは、在宅勤務を基本とするポリシーを設けた。

他にも、写真共有サービスを展開するPinterestは、女性や育児をする人に向けた有給での育児休暇を設けているなど、現在さまざまな企業で、女性が復帰しやすい制度づくりが進んでいる。

女性支援を行うAprès社のCEO、ステイシー・デロ氏はこの状況に対して「実際、Shecessionが解消されるまでの道のりは長いと思っています。“一見良さそうに見える”制度を発表することは簡単ですが、当のマネージャーや人事担当、経営幹部が、子育てに追われる母親である従業員をフォローできる準備が整っているかは、別の話なので」とDigidayの記事で述べている。

コロナ禍で苦労する女性に、どのように寄り添って制度を柔軟に変えていけるか。今後の企業の対応が、評価の分かれ目となりそうだ。

※1　Women in the Workplace
【参照サイト】‘The liberation of the workplace’: Industry experts sound off on 2022, the year of the ‘Shecovery’
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