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ソートクチュールとは・意味

ソートクチュールとは?

一点物の最高級仕立て服を意味する「オートクチュール(Haute Couture)」をもじった言葉。仮想空間で使用できるさまざまなプロダクトや衣服を指す「デジタルファッション」における「オートクチュール(最高の一点もの)」を意味する。英語で「Thought Couture」と書く。

オートクチュールという言葉を使うことができるのは、パリ・クチュール組合に加盟する団体に限られる。毎年、どの団体が正式にオートクチュールであるかが決定される。だが、デジタルファッションハウス(ファッションハウスとは「流行の高級服を作る会社」の意味)は、オートクチュールのステータスを獲得することができない。オートクチュールの基準は、現実(物理的世界)におけるものだからだ。

オートクチュールと同じように、ディティールに細心の注意を払い、最高の職人とコラボレーションしても、素材がデジタルであるデジタルファッションは、現時点ではオートクチュールに当てはまらない。

そこで、デジタルオンリーのファッション衣料が登場した現代におけるファッションの新しい定義として登場したソートクチュールは、物理的世界に存在するオートクチュールとは対照的に、物理的なものを超えて存在する「思考のようなクチュール」である。

ソートクチュールの事例

2019年、デジタルファッションハウスFabricantは、NFT(Non-Fungible Token、非代替性トークン)をベースに、バーチャル世界に存在する仕立て服を制作し、9,500ドル(日本円にして約137万円)で販売した。着用者のサイズに合わせ、細部まで作り込まれているが、オートクチュールと違い、ハサミや裁断台の代わりに高解像度のスクリーンを、布と糸ではなくビットとバイトを使って作り上げられている。

Fabricantによるソートクチュールの登場以来、デジタルファッションの世界は爆発的に広がった。2021年にはロサンゼルス在住のクリエイター、メイソン・ロスチャイルドとエリック・ラミレスがエルメスのバーキンバッグの中で赤ちゃんが成長していく様子をアニメーション化した「ベイビーバーキン」NFTを制作し、ソーシャルコマースマーケットプレイスのBasic.Space(ベーシックスペース)のオークションにて2万3,500ドル(日本円にして約339万円)相当で落札されている※。

※ロスチャイルドらによる「ベイビーバーキン」NFTは、象徴的なバーキンの名前とスタイルを借用しているが、エルメスはこの販売に関係していなかった。エルメスは2022年に「バーキン」をデジタル上で模した「メタバーキンズ」を製作・販売したロスチャイルドを商標権侵害などを理由に提訴している。

まとめ

ミレニアル世代、Z世代、アルファ世代にとっての「所有」の概念にはデジタル資産も含まれるよう変化している。デジタル資産の所有は、消費者の体験に、物理的なクローゼットよりも独自性のある、完全にバーチャルなクローゼットを持つことができるといった新たな世界をもたらす。伝統的なオートクチュールが今後100年先まで存在し続けるためには、次世代との関係を築き、変化することも必要といえる。

またデジタルファッションハウスFabricantは、デジタルなファッションは天然資源を消費することもないし、新たな服を作ることによって絶滅寸前に追い込まれる動物もいないと述べている。

デジタルファッションが、究極のエシカル、サステナブルファッションとして認知され、広まりを見せれば、ファッションの新たな定義としてソートクチュールという言葉の定着が期待される。

【参照サイト】From Haute Couture To Thought Couture — The Fabricant
【参照サイト】From haute couture to thought couture: Decoding the hype around fashion NFTs | Vogue India
【参照サイト】The iconic Hermès Birkin bag was turned into a 40-weeks-pregnant NFT
【参照サイト】The ‘Baby Birkin’ NFT and the legal scrutiny on digital fashion | Vogue Business

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