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水ストレスとは・意味

water stress

水ストレスとは?

水ストレス(water stress)とは、淡水資源量に占める淡水採取量の割合で、その数値が高いほど水不足の状態を表す。0〜25%はストレスなし、25〜50%は低い水不足、50〜75%は中程度の水不足、75〜100%は高い水不足、100%超は深刻な水不足と定義されている。

水ストレスは、SDGsのターゲット6.4「2030年までに、全セクターにおいて水の利用効率を大幅に改善し、淡水の持続可能な採取及び供給を確保し水不足に対処するとともに、水不足に悩む人々の数を大幅に減少させる」のグローバル指標として国連によるモニタリングが行われている。

世界の国別の水ストレスの状況(2018年時点)

世界の国別の水ストレスの状況(2018年時点)出所:国連「Progress on level of water stress

深刻化する世界の水資源問題

OECDは2012年に公表した「OECD Environmental Outlook to 2050」の中で、人口増大に伴い水需要は2000年から2050年の間に55%増加し、2050年には世界人口の40%以上に相当する39億人が深刻な水不足に直面する可能性があると予想している。

さらに近年では、気候変動の水資源への影響が懸念されている。例えば、気温上昇による積雪量減少による河川流出量の減少や、海面上昇による地下水の塩水化の可能性が指摘されている。

地球温暖化が水資源に与える影響  出所:国土交通省「水資源問題の原因」

地球温暖化が水資源に与える影響 出所:国土交通省「水資源問題の原因

比較的水資源が豊富にあり、隣国と陸地で接していない日本では想像しづらいが、こうした水資源を巡って世界各地で紛争が起きている。

     <主な水紛争の要因>

  • 水資源配分の問題(湖や河川の上流地域での過剰取水)
  • 水質汚濁の問題(上流地域での汚染物質排出など)
  • 水の所有権の問題
  • 水資源開発と配分の問題
世界各地の水紛争の例  出所:国土交通省「水資源問題の原因」

世界各地の水紛争の例 出所:国土交通省「水資源問題の原因」

企業に水資源リスクに係る情報開示を求める動き

水資源は農業や食品業はもとより、紙・パルプ、化学、鉄鋼をはじめ製造業にとっても不可欠な経営資源であり、水ストレスの高まりは企業活動に重大な影響を及ぼす。

そのため、投資家からは事業活動が水資源に与える影響とともに、水資源の減少が事業に及ぼすリスクに関する情報開示を企業に求める声が高まっている。

TCFDの自然資本版であるTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)が提唱するリスク評価フレームワーク「LEAPアプローチ」では、水ストレスがある地域を企業が優先的にリスクを管理すべき地域としている。

企業は、自社が直接あるいはバリューチェーンを通して間接的に水ストレスの高い地域で事業を行っている場合には、事業のその地域への依存度、事業活動が水資源に及ぼす影響を分析・評価することが求められている。

持続可能な水資源管理に向けた国際社会の取り組み

国連によれば世界の水需要の72%が農業用水、16%が産業用水、残り12%が生活用水である。持続可能な水資源管理のために、森林再生による水源の保全や、農業用灌漑用水の輸送時の損失の抑制、工業用水のリサイクル率向上などさまざまな取り組みが行われている。

【参照サイト】国土交通省 水資源問題の原因  
【参照サイト】国連 Progress on level of water stress
【参照サイト】経済産業省  我が国の水利用の現状と気候変動リスクの認識
【参照サイト】香川大学 世界の水資源と農水管理について




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