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ウーマンリブとは・意味

ウーマンリブ

ウーマンリブとは?

ウーマンリブとは、1960年代から70年代にアメリカからスタートし、世界的に展開された女性による女性解放運動「ウィメンズ・リベレーション(Women’s Liberation)」を略したものであるのことである。

新しい女性解放運動とも呼ばれるウーマンリブ。当時の女性たちは、社会の風潮や男性からみた「女性像」「女性のあるべき姿」からの開放を訴えた。具体的には、私的領域における人工中絶を決定する権利、性暴力の撤廃、労働の男女間平等など、日常に潜む性差別撤廃を目指したムーブメントである。

アメリカを発端とし、ドイツ、日本など世界各国の女性たちが、自分たちの手で社会のあり方から解放されようと声をあげた。

ウーマンリブとフェミニズムの違い

ウーマンリブとフェミニズムの違いは、その歴史的背景や焦点にある。

ウーマンリブは、1960年代から1970年代にかけての社会運動を指す。特にアメリカやヨーロッパで活発だったこの運動は、女性の権利向上を目指し、性差別や性暴力、再生産の権利、経済的不平等といった具体的な問題に対して戦った。ウーマンリブは当時の社会構造そのものに疑問を投げかけ、ラディカルな改革を求めたことから、しばしば過激な運動として認識された。そのため、ウーマンリブはしばしばラディカル・フェミニズムの一部とされることもあるが、運動としての強烈な反体制的な姿勢が特徴的だ。

一方、フェミニズムは、より包括的で広範な概念だ。フェミニズムは、性別に基づく不平等を批判し、平等な権利を求める思想や運動の総称である。フェミニズムにはさまざまな流派があり、リベラル・フェミニズム、マルクス主義フェミニズム、エコフェミニズム、カルチュラル・フェミニズムなど、それぞれ異なる視点から女性の解放を目指している。フェミニズムは時代や地域、文化によって異なる形で発展してきており、現代ではジェンダーや性的指向、人種、階級など、多様な視点を取り入れるインターセクショナルなアプローチも重視されている。

つまり、ウーマンリブは特定の時代と地域で起きた運動で、主に女性の解放を強調し、社会の急進的な変革を求めた。一方で、フェミニズムはより広範で、多様な形で存在し続ける思想と運動である。フェミニズムはウーマンリブを包含しつつも、より広い範囲での社会的な平等と正義を追求する概念だと言える。

ウーマンリブの歴史

アメリカでのウーマンリブ

第一波フェミニズムを経て男性と同等の市民権を獲得した女性たち。しかし、第二次世界大戦から戦後にかけて、男性が第一線で活躍する一方、女性は家庭で男性を送り出す立場であり、時には「性」の対象として搾取されることもあった。女性たちはそういった社会的構造・社会の風潮に疑問を持つようになる。

そんな中、ウーマンリブの火付け役となったのがベティ・フリーダン著の『女らしさの神話』である。彼女は著書の中で当時、専業主婦として生活する大半の女性たちが大学で取得した能力を活用できていないことなど、家庭や社会での不満を「名前のない問題(得体のしれない問題)」と提起。この著書が多くの女性の共感をよび、ベストセラーとなった。その後、ベティ・フリーダンは女性のための全米機構(NOW)を設立し、会長に就任。NOWを中心にニューヨークでのストライキや、ワシントンで全米女性政治連盟を結成するなど、全米に大きな影響を与えた。

日本でのウーマンリブ

日本でのウーマンリブ誕生と呼ばれる出来事は、1970年、国際反戦デーの10月21日に行われた女性によるデモである。デモの扇動を勤めたのが「ぐるーぷ・闘う女」の代表、田中美津だ。

当時のデモでは「便所からの解放」というビラがまかれた。このビラには「男にとって女とは母性のやさしさ=母か、性欲処理機=便所か、という二つのイメージに分かれる存在としてある」と記載されており、社会が決めつけた女性像からの解放を目指した運動であった。このデモには大学生やOL、主婦たちなどさまざまな属性の女性が約200名参加し、社会的に注目を浴びるきっかけになった。

同年11月14日には「性差別の告発」と呼ばれる討論集会が行われたり、翌年「リブ合宿」が行われたりと、日本でウーマンリブ活動は一挙に広がった。この11月14日は現在、「ウーマンリブの日」となっている。

現代におけるウーマンリブの影響と、主な成果および課題

ウーマンリブは1960年代から1970年代にかけての運動として始まったが、その影響は現代にも深く根付いている。ウーマンリブが提起した問題や主張は、現在のフェミニズム運動や社会の多くの領域で重要な役割を果たしているのだ。

ウーマンリブの運動がもたらした最大の影響の一つは、女性が自己の声を上げ、社会的な役割や権利について積極的に発言することが当たり前となったことだろう。また、ウーマンリブは女性の身体の自己決定権や、職場での平等な待遇、家庭内労働の重要性など、多くの問題を浮き彫りにし、それらを議論の中心に据えることに成功した。

一方で、ウーマンリブが提起した多くの課題は、いまだに解決されていない。たとえば、賃金格差は依然として存在し、多くの国で女性の再生産の権利が制限され続けている。また、ウーマンリブ運動は主に白人女性の視点からの主張が多かったため、黒人女性や他のマイノリティ女性の経験や課題が十分に取り上げられていなかった。このため、現在のフェミニズム運動は、インターセクショナリティの視点を取り入れ、すべての女性の多様な経験を包括することを目指している。

ウーマンリブは女性の権利とジェンダー平等をめぐる現代の議論の基礎を築いたが、これからも解決すべき課題が残っている。これらの課題に取り組むためには、継続的な努力と多様な視点の包含が必要である。ウーマンリブの遺産は、これからのフェミニズム運動と社会全体の進展にとって重要な教訓となるだろう。

【参照サイト】ウーマンリブの思想と運動
【参照サイト】ウーマンリブ運動を先導したベティ・フリーダン
【参照サイト】女は母か便所?ウーマン・リブのカリスマに当時3歳の私が惹かれた理由(FRau)
【参照サイト】【女性】フェミニズムの第2の波と「ジェンダー」の発見(三成美保)
【関連記事】フェミニズムとは・意味
【関連記事】インターセクショナリティとは・意味




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