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スラット・シェイミング(Slut-shaming)とは・意味

スラットシェイミング

スラット・シェイミングとは?

スラット・シェイミングとは、性に関する社会の通念やステレオタイプから外れていると見なされた人に対して、恥をかかせたり、批判したりする行為のこと。

たとえば、露出の多い服を着た女性に対して「はしたない」「みだらだ」といった言葉を向けることがその一例。「こうあるべき」とされる性のあり方を他人に押しつけ、逸脱したと見なした人を制裁する構造がある。加害・被害の性別は問わないが、実際には女性や性的マイノリティがターゲットにされやすい現実がある。

「スラット(slut)」という言葉は英語圏で「ふしだらな女」「誰とでも寝る女」といった侮蔑語として使われており、スラット・シェイミングという言葉の背景にもその蔑視のまなざしがある。

スラット・シェイミングの例

以下のような言動が、スラット・シェイミングの対象になりやすい。

  • 肌の露出が多い服装をしている
  • 避妊や中絶の権利を主張している
  • 婚前交渉やカジュアルな性行為をしている
  • 売春をしている
  • 性的暴行の被害に遭った際に「自己責任」とされる

とくに、性被害者に対して「そんな服を着ていたから悪い」と非難するような言動は、加害者を正当化し、被害者にさらなる苦痛を与える二次加害(セカンドレイプ)にもつながる。これにより、被害者が社会的に孤立したり、声を上げられなくなる可能性がある。スラット・シェイミングは性差別の一形態とされ、個人の性的自由や尊厳を脅かす。

性のステレオタイプは、時代や地域によっても様々で、何が正しく何が間違っているかといった基準は、極めて曖昧である。たとえば思想や法律で肌の露出が許されない地域もあれば、半裸で暮らしている地域もある。婚前交渉はおろか、配偶者以外の異性と暮らす地域もあれば、伝統行事として性交渉を行っていたという地域もある。そういう意味で、スラットシェイミングは、明確な根拠がないままに個人の性的な表現の自由を制約することにもなりうる。

実例と反対運動

スラット・シェイミングは、個人の日常だけでなく、SNSやメディア、政治の場でも頻繁に起きている。ここでは、実際に起こった事例と、それに対して声を上げる動きについて紹介する。

著名人が受けたスラット・シェイミング

いずれも、個人のファッションや表現が公共の場で攻撃の対象になった事例だ。

  • アリエル・ウィンター(俳優):肌の露出が多い写真をSNSに投稿した際、フォロワーから「下品」と批判された
  • サンナ・マリン(前フィンランド首相):ジャケットの下にトップスを着ないスタイルで雑誌に登場し、「首相にふさわしくない」と一部で非難された

反対運動の広がり

  • #MeToo運動(2017年~):性被害の経験を共有し、沈黙してきた人々が声を上げるきっかけとなった。性的な抑圧や偏見に対する抗議として広がった。
  • #KuToo運動(日本):ヒールやパンプスの着用が女性だけに義務づけられている問題に抗議する運動。「靴(ku)」と「苦痛(kutsū)」をかけた言葉。3万人超の署名が集まり、2020年には当時の首相が国会で「強制は許されない」と発言。

まとめ

スラット・シェイミングは、性にまつわる社会の決めごとを根拠に、誰かの生き方や選択を攻撃する行為だ。それは性的自由や尊厳を否定することであり、性差別の一種とされている。

何を着るか、どんな関係を持つか、どんな経験を語るか──そうした選択は他人が決めることではない。スラット・シェイミングを正当化する空気に無自覚でいることもまた、差別の一部になる。

【参照サイト】Slut shaming – SAGE Knowledge
【参照サイト】Change.org
【参照サイト】アリエル・ウィンター、女性にだけ批判がおこる「ある問題」に反論
【参照サイト】シャツ無しブレザー1枚。フィンランド首相、ファッション誌の写真が「不適切」などと論争に




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