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アームチェア・アドボケイトとは・意味

アームチェア・アドボケイト

アームチェア・アドボケイトとは?

アームチェア・アドボケイト(またはアームチェア・アドボケート)は、主にFacebookやTwitter、YouTubeなどのソーシャルメディアを駆使して、社会課題に関する情報を発信する人のことを指す。実際に国会議事堂前でデモをしたり、街を行進をしたり、選挙に立候補したりしなくても、リビングで肘掛け椅子(アームチェア)に座りながら、小さな社会的インパクトをつくっていくことが特徴だ。

このアームチェア・アドボケイトの特徴は、インターネットを日常的に使っている人なら誰でもなれることである。自分が共感する社会的な発言、たとえば「働く従業員の人権を守ろう」という旨の投稿に「いいね」または「シェア」することで、世論の形成を手伝う。

また、すでにフォロワーが大勢いるインフルエンサーの場合は、多くの人の目に触れるため、社会を変える運動を起こそうと思って発言すれば大きなインパクトとなるだろう。社会的な発言は、多くの人から批判を受けることもあり、一歩間違えば、自分は発言するだけで何も良い行動をしないスラックティビストにもなりかねないが、それでも現代においてアームチェア・アドボケイトの意義は大きい。

アームチェア・アドボケイトの主要な手法

それでは具体的にアームチェア・アドボケイトはどのような手法で自らの意見を発信してくのだろう。ここでは主要な3つの手法を見ていきたい。

オンラインアクティビズム

オンラインアクティビズムとは、インターネット上で行われる社会運動や政治活動を指す。ソーシャルメディア、ブログ、ウェブサイトなどを活用して、意見や情報を発信し、支持者を集める手法だ。これにより、地理的制約を超えて広範な人々に影響を与えることが可能になる。また、リアルタイムでの情報共有や議論が行われるため、迅速な行動が求められる場面でも効果的だ。

ペティション

ペティション(請願)は、特定の問題や課題に対して多くの賛同者を集め、政府や企業などに対して改善を求める行動を指す。オンラインプラットフォームを利用することで、短期間で大量の署名を集めることができる。ペティションは、問題提起だけでなく、その重要性を広く認識させる手段としても有効だ。成功したペティションはメディアの注目を集め、さらなる支持を得ることができる。

クラウドファンディング

クラウドファンディングは、インターネットを通じて多くの人々から資金を集める手法だ。社会的なプロジェクトやアドボカシー活動において、必要な資金を調達するために利用される。支援者は資金提供と引き換えにリターンを受け取ることが多く、その内容はプロジェクトによって異なる。クラウドファンディングは、資金調達だけでなく、プロジェクトの認知度向上やコミュニティの形成にも寄与する。

成功事例と戦略

アームチェア・アドボケイトが意見を発信したことで、実際に社会が変わった事例もある。ここでは国外の事例と日本の事例をそれぞれ見ていきたい。

世界的な成功事例

世界的な成功事例として、アラブの春が挙げられる。2010年末から2011年にかけて、ソーシャルメディアを駆使した市民運動が中東と北アフリカで広まり、複数の独裁政権が崩壊した。この運動は、FacebookやTwitterなどを通じて情報を共有し、市民の結束を強化した点が特徴的だ。

また、Black Lives Matter運動も重要な成功事例だ。警察による暴力や人種差別に対する抗議運動として始まり、ハッシュタグを用いたソーシャルメディアキャンペーンが世界中に広がり、多くの人々の意識を変えた。

日本国内の成功事例

日本国内では、「福島第一原発事故」後の反原発運動が成功事例の一つとされる。事故直後、ソーシャルメディアを通じて情報が拡散され、多くの市民がデモや集会に参加した。この運動は、政策変更やエネルギー政策に関する議論を活発化させるきっかけとなった。

また、クラウドファンディングを活用したプロジェクトとしては、2016年の熊本地震後の復興支援が挙げられる。被災地の支援活動やインフラ復旧のために多くの資金が集まり、迅速な支援が可能となった。

倫理と責任

このようにオンラインのツールを使ってアームチェア・アドボケイトの力がますます大きくなる中で、倫理や責任の問題が浮上している。下記に列挙する点にも気をつけてインターネット上の活動をしていくことが重要だ。

フェイクニュース対策

フェイクニュースは、誤情報や意図的に誤導する情報を広める行為を指す。これに対処するためには、まず情報の出所を確認することが重要だ。まずは、信頼できるソースからの情報かどうかを見極める。また、ソーシャルメディアでの情報拡散を防ぐため、疑わしい情報には慎重に対応し、共有する前に内容を再確認する。教育と啓発も重要な役割を果たすだろう。

情報の検証

情報の検証は、アームチェア・アドボケイトにとって不可欠なスキルだ。情報を受け取った際には、以下のステップを踏むことで正確性を確認する。

  • 複数のソースをチェックする:一つの情報源だけでなく、複数の信頼できるソースを確認することで、情報の信頼性を高める。
  • 一次情報にアクセスする:可能であれば、元のデータや発言、公式発表に直接アクセスし、情報の正確性を確認する。
  • 事実チェックサイトを利用するFactCheck.orgSnopes.comなどの事実確認サイトを活用し、情報の真偽を確認する。
  • 専門家の意見を参考にする:特定の分野に関する情報であれば、その分野の専門家や信頼できる団体の見解を参考にする。

オンラインハラスメントの防止

オンラインハラスメントとは、インターネット上でのいじめや嫌がらせを指す。これを防止するためには、以下の対策が効果的だ。

  • 報告システムの活用:ソーシャルメディアプラットフォームやウェブサイトに備わっている報告機能を活用し、ハラスメントを受けた場合や目撃した場合に速やかに報告する。
  • プライバシー設定の強化:自身のアカウントのプライバシー設定を見直し、不特定多数のアクセスを制限することで、ハラスメントのリスクを減らす。
  • オンラインコミュニティのガイドラインを遵守:参加しているオンラインコミュニティやフォーラムのガイドラインに従い、健全なコミュニケーションを心がける。
  • 教育と啓発:オンラインハラスメントの問題について啓発活動を行い、コミュニティ全体の意識を高める。特に若年層に対しては、学校や家庭での教育が重要となる。
  • サポートネットワークの構築:ハラスメントを受けた人が相談できるサポートネットワークを整備し、必要な支援を提供する。

これらの対策を講じることで、オンライン上での安全性を高め、健全なコミュニケーション環境を維持することができる。

ソーシャルメディアの役割は、近年ますます多様化している。こんな課題がある社会を変えたい、と思うのであれば、上記のことには慎重になりつつ、発言してみてはいかがだろうか。そこに共感が集まれば、あなたの身の回りの社会が少し良くなるかもしれない。

【参照サイト】Are You an Armchair Advocate?
【参照サイト】Armchair Activism
【関連記事】Black Lives Matter(BLM)とは・意味




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