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Climate Tech(気候テック)とは・意味

Climate Tech(気候テック)とは?

気候テックとは、CO2排出量の削減または地球温暖化の影響への対処に焦点を当てた技術のこと。2050年までにネットゼロに到達することを目指し、世界経済の脱炭素化の課題に取り組む幅広いセクターが含まれる。

英国に本拠を置くサービス業世界大手のPwCは、気候テックの主要セクターをCO2を多く排出する、エネルギーとモビリティ・輸送、建設と重工業、および食品や土地使用の5つに分類している。また、CCUS(二酸化炭素回収貯留・利用)と気候・地球データ作成についても課題のある分野であると位置づけている。気候テックの例として、代替燃料、電気自動車や高速充電ステーション開発、建物の高効率照明や高効率空調、エネルギー・資源効率の高い製造プロセス、代替肉などの代替食品や精密農業(※1)などが挙げられる。

環境関連テクノロジーブームの再来

気候テックに類似した言葉にクリーンテクノロジーという言葉がある。クリーンテクノロジーとは、地球環境問題の解決策となるような技術やプロセス、製品やサービスを指し、再生可能エネルギー・太陽光発電・風力発電・バイオマス燃料・スマートグリッド・浄水技術などのことである。

2006年から2011年にかけて、シリコンバレーではクリーンテクノロジーへの投資ブームに沸いた。MIT Energy Initiativeが2016年にまとめたレポートによれば、5年間でクリーンテック系スタートアップへの投資額は250億ドル(3.5兆円)以上となったものの、その半分の資金は回収できなかったという。その要因は、スタートアップ企業の基礎技術不足や、太陽光パネルなどで中国企業との価格競争にさらされたことがあげられる。

このような背景を経て今再び注目されているのが、第2次クリーンテックとも言われる気候テックである。

気候テック成長の要因

気候テックが成長した要因として、PwCは以下の7つを挙げている。

  • 技術とインフラストラクチャー:再生可能エネルギー発電とバッテリー製造に関する低炭素技術が、はるかに安価で広く利用できるようになった
  • 資金調達と投資家の需要:多くの投資資金が利用可能になった
  • 政策とプロセス:120の国家政府が経済の脱炭素化を表明しており、支出と政策措置を計画している
  • 人々:質の高い創設者や才能を持つ人が気候テックに関与している
  • 企業の需要:企業の野心・行動が加速しており、約300社のグローバル企業がネットゼロ達成を発表している。より広範で具体的な環境・社会・ESGの目標が増えている
  • 消費者の需要:高品質の低炭素製品とサービスは、米国に本拠を置くテスラやNest(現・Google Nest)など、注目を集める企業を生み出した
  • インスピレーションを得た創設者:多くのスタートアップの成功が、気候変動の課題に取り組むために多くの創業者を刺激している

気候テックの動向

米マーケットリサーチHolonIQの分析によると、2022年に世界で気候テックに投資されたベンチャーキャピタルは総額701億ドル(約9兆8,000億円)であり、前年比約2倍の驚異的な伸びを記録している。アメリカでは第1次クリーンテックブームでの投資額を上回り、このペースでいくと2023年には1,000億ドルを超える勢いである。欧州の投資金額は前年比約2倍となり、初めて中国を抜いた。2023年の気候テック投資は、世界的に上昇ペースはなだらかになるものの、他の業界にくらべて堅調で、少なくとも2021年のレベルは超えることが見込まれている。

Image via HolonIQ

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また、投資件数の分野別では、蓄電、農業&食糧、循環経済分野が上位3分野であった。巨額投資が目立ったのは、蓄電とモビリティ分野である。

Image via HolonIQ

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気候テックの今後

PwCは今後10年間で、気候テックは主な投資先となり、企業の展望に大きな影響を及ぼすようになると予測している。その理由は、2010年代後半の気候テックの大幅な成長と、経済の複数の分野にわたる新しい変革ソリューションが必要とされていることなどだ。実際、マイクロソフトやアマゾン、ユニリーバやイケアなどをはじめ、現在約300社の企業が2050年以前のネットゼロ達成を宣言しており、今後気候テックを開拓する企業の需要が高まっていくと考えられる。

しかし、PwCは2050年までにネットゼロ経済を達成するにはほど遠いとみており、その実現にあたって以下3点の遂行を推奨している。

  • 投資家の気候テックへの認識向上
  • より資金力のある気候テック企業のための才能の育成
  • 気候テックに対する政府の資金とインセンティブ政策の拡大

ネットゼロやゼロエミッションを宣言する企業が増えている中、気候テックのさらなる開拓が期待される。

※1 精密農業とは農地・農作物の状態を良く観察し、きめ細かく制御し、その結果に基づき次年度の計画を立てる一連の農業管理手法であり、農作物の収量及び品質の向上を目指す。

【参照サイト】The State of Climate Tech 2020
【参照サイト】クリーンテクノロジー
【参照サイト】日本型精密農業を目指した技術開発
【参照サイト】Venture Capital and Cleantech, An MIT Energy Initiative Working Paper July 2016
【参照サイト】Defying gravity, 2022 Climate Tech VC funding totals $70.1B, up 89% on 2021, HolonIQ
【関連サイト】脱炭素で注目される「気候テック」世界の企業・事例8選




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