Browse By

森林リスク・コモディティとは・意味

森林破壊

森林リスク・コモディティとは?

森林リスク・コモディティとは、森林減少(Deforestration)の原因となるコモディティのことで、具体的には、木材、紙パルプ、パーム油、天然ゴム、牛肉、大豆、カカオなどが含まれる。

森林減少ゼロを目指す国際的なイニシアティブAccountability Framework Initiative(AFi)は、森林減少を以下のように定義している。

①自然林の農業または森林以外の土地利用への転換
②自然林の植林地への転換
③深刻かつ継続的な劣化による自然林の消失

森林減少は国際社会共通の重要課題であり、さまざまな取り組みが行われている。ブラジルでのアマゾン流域での森林破壊が大きな批判を浴びているが、世界全体でも森林減少面積は2000年以降に増加しているのが実態だ。

森林減少を食い止めるための国際社会の取り組み

世界的な人口増加と途上国の経済成長、それに伴う食生活の変化が森林減少を加速させている大きな原因だ。食肉1kgの生産に必要な穀物の量(とうもろこし換算)は、牛肉で11kg、同じく豚肉では6kg、鶏肉では4kg。また、アブラヤシから採れる植物油であるパーム油は、インスタント食品など加工食品や洗剤などに幅広く使われている。

国際NPOであるForest Trendsの調査によれば、2013~2019年における熱帯林の消失の約6割が農畜産物の生産に起因しているという。世界的な需要増加に対応するために、いまも森林の農地への転換が世界各地で行われている。

こうしたなか、2021年に英国グラスゴーで開催された国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)において、2030年までに森林減少を食い止め、森林の再生に取り組む目標を掲げた「森林と土地利用に関するグラスゴー首脳宣言」が発表され、140以上の国・地域が署名した。

企業に期待される森林リスク抑制の取り組み

COP26の「森林と土地利用に関するグラスゴー首脳宣言」と前後して、米国、EU、英国など先進国では、森林リスク・コモディティに関するデューディリジェンス法制化の議論が始まっている。これらの法律が成立すれば、関連商品を販売する企業は、森林破壊により生産されたものではないことの確認が義務付けられる。

こうした各国・地域での議論に先立って、世界的なESG投資の普及により、国連責任投資原則(Principles of Responsible Investment)やCDP(Carbon Disclosure Project)などさまざまなイニシアティブを通して、投資家が企業に森林リスク抑制の取り組みを求める動きが活発化している。

20以上もの森林関連のイニシアティブやNGOのアプローチを共通化するために2016年に設立されたのがAFiだ。AFiは、森林リスク・コモディティを取り扱う企業が、より明確で一貫性がある方針の策定と実施、モニタリングを行うことができるよう、基本原則、運用ガイダンスおよび用語集を公表した。認証制度の活用、トレーサビリティの構築、サプライチェーンのモニタリングなど、森林減少ゼロを目指す国内外の多くの企業に参考にされている。

【関連記事】ESG投資とは・意味
【関連記事】森林破壊
【参照サイト】PowerPoint プレゼンテーション (wwf.or.jp) WWF
【参照サイト】Home | Global Forest Review (wri.org) World Resource Institute
【参照サイト】その4:お肉の自給率:農林水産省 (maff.go.jp) 農林水産省
【参照サイト】Illicit-Harvest-Complicit-Goods_rev.pdf (forest-trends.org) Forest Trends
【参照サイト】PowerPoint プレゼンテーション (cdp.net) CDPジャパン
【参照サイト】index-19.pdf (maff.go.jp) 林野庁
【参照サイト】Core Principles | Accountability Framework (accountability-framework.org) AFi




用語の一覧

あ行
か行
さ行
た行
な行
は行

ま行
や行
ら行
わ行
A
B
C
D
E
F
G
H
I
J
L
M
N
O
P
Q
R
S
T
V
W
X
数字

FacebookTwitter