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昆虫食とは・意味

昆虫食

Image via unsplash

昆虫食とは?

昆虫をお酒に入れたり、炒めたり、佃煮にしたり、パウダーにしてクッキーに混ぜたりして、食べられる状態にしたもののこと。国連食糧農業機関(FAO)が2013年5月に発表した報告書によると、全世界で約20億人が1900種類を超える昆虫を食べているという。

昆虫を食べる習慣は日本を含め、アジア、アフリカ、南アメリカなどで昔からあったが、最近になって昆虫食が注目を集めるようになったきっかけは、FAOが上記の報告書で「食料問題の解決策として、昆虫食が有用である」と発表したことだった。また、2015年9月に開催された国連サミットで、昆虫が貴重なタンパク源として推奨されたことも注目を集めた。

昆虫食に期待が寄せられている背景には、地球規模の人口増加と、それにともなう食料不足の懸念がある。FAOによると、2017年時点で、健康的な食事を経済的に入手できない人が30億人以上いる。2050年には世界人口が約100億人に迫るとも言われるなか、誰もが栄養のある食事にアクセスできるようにするには、どうすればいいか。その答えのひとつとして、安価に入手できる昆虫食が有望視されているのだ。

昆虫食のメリットとデメリット

メリット

昆虫食は、環境面や健康面で多くの利点があると言われている。主なメリットは、以下の通りだ。

  • 栄養価が高い
    イナゴを例にとると、タンパク質が70%で脂肪が10%以下という、高タンパク低脂肪な食材だ。災害などで食料が不足したり、タンパク質が不足したりしたときに、昆虫は重宝されるかもしれない。また、繊維、銅、鉄、マグネシウムなど、他にも多様な栄養素が含まれている。
  • 少ない餌、水、土地で、たくさんの肉が早くできる
    コオロギの肉を1キロ生産するのに必要な餌は約1.7キロ、鶏の場合は2.5キロ、豚は5キロ、牛は10キロと、大きな違いがある。また、牛肉を1kg生産するのには約2万リットルの水が必要だが、コオロギは10リットル以下の水で生産できるほか、豚や牛と比べて、出荷するまでの期間が短くて済む。さらに、牛の可食部位が40%程度なのに比べ、コオロギの可食部が100%というのも、無駄がなくて良い。
  • 生産時の温室効果ガス排出量が少ない
    FAOの報告書では、コオロギ、バッタ、ミールワームが、豚や牛を飼育する場合と比べて、温室効果ガス排出量が格段に少ないことが示されている。少ない餌、水、土地の話もそうだが、生産時の環境負荷が小さいことは大きなメリットだ。

デメリット

一方、昆虫食のデメリットや気を付けるべき点としては、以下が挙げられる。

  • アレルギーのリスク
    昆虫はエビ・カニといった甲殻類と近い生物であるため、エビ・カニにアレルギーがある人は昆虫食を控えたほうが良い可能性もある。
  • 公衆衛生上のリスク
    FAOによると、昆虫が他の食材のように衛生的な環境で扱われる限り、病気や寄生虫が人間に伝染された事例は知られていない。とはいえ、昆虫食の危険性について、まだまだ研究を重ねなければならないという指摘もある。自分で昆虫を採集したり、生で食べたりすることは避けよう。

昆虫食はどこで買える?

世界的な注目の高まりを受けて、国内でも購入できる昆虫食の種類や業者の数が徐々に増えてきている。例えば、全国に店舗を持つ無印良品ではコオロギチョコやコオロギせんべいを販売している。また、昆虫食の専門業者はまる食品では、「昆虫食自動販売機」の設置も行っている。

また、以下のサイトでは、昆虫食をオンラインで購入することができる。興味がある人はどんな商品があるのか除いてみてはいかがだろうか。

ゲテモノ扱いを変えられるか

将来的な食料危機や環境危機に備えて、世界で真剣に開発が進められている昆虫食。怖いもの見たさで話題を集めたり、抵抗感を持たれたりすることも多いが、パウダーを練り込んだ食べやすいものや、洗練されたパッケージの商品も増えている。昆虫食に対して好奇心を持つ人たちに、いかにその背景を知ってもらうかが、今後の課題となるだろう。

【関連記事】 英国発の飲食店サステナビリティ格付、日本で始動。仕掛人の元シェフ松山喬洋氏が語る食の未来
【参照サイト】 食品安全委員会
【参照サイト】 NPO法人昆虫食普及ネットワーク
【参照サイト】 食料安全保障と栄養の現状 | FAO駐日連絡事務所
【参照サイト】株式会社グラリス




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