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マルチステークホルダー・プロセスとは・意味

マルチステークホルダー・プロセス

マルチステークホルダー・プロセスとは?

マルチステークホルダー・プロセスとは、三者以上の関係者(ステークホルダー)が対等な立場で課題解決の議論や合意形成のプロセスに参加すること。

1980〜1990年代にかけて、持続可能な発展に関する議論の活発化に伴い登場したのが、マルチステークホルダー・プロセスという概念だ。環境問題が深刻になり社会課題の複雑さが増す中、課題解決のための議論に複数のステークホルダーが参加し、多角的な視点や多様な知見を反映する必要性が説かれるようになった。1992年、ブラジルで開催された環境と開発に関する国連会議(リオ・サミット)で採択された「アジェンダ21」で提唱されて以来、注目を集めている。

マルチステークホルダー・プロセスが求められる理由

持続可能な発展と社会の実現には、様々な側面を考慮する必要がある。価値観の多様化、環境問題、民主主義と人権、市民社会の醸成、企業の社会的責任、国際的及び地域的な視点、政治とガバナンス等がその例だ。例えば、脱炭素化や廃棄物削減といった環境問題への対応には、科学的な知見と共に、中央政府・地方自治体による政策支援、サプライチェーン上の環境インパクトの分析や、データアナリティクス等の技術支援が求められる。

このように、二者間だけでは解決できないような複雑な社会課題を、複数のステークホルダーが議論に参加することで解決を目指すのが、マルチステークホルダー・プロセスである。政府、企業、投資家、研究者、市民、非営利団体といった様々な団体・個人が、議論に参加し、協力して解決策を探るための枠組みだ。

マルチステークホルダー・プロセスの特徴

マルチステークホルダー・プロセスには、以下の特徴がある。

  • ステークホルダー同士が平等に意見を表明できる
  • 各ステークホルダーが説明責任を持つ
  • 複数のステークホルダーが参加することで社会的正当性を持つ
  • 全体最適を追い求めることが可能となる
  • 共通の課題を解決する参加主体となることで、各ステークホルダーの主体的な行動が期待される
  • 各ステークホルダーにとって学びの機会となる

マルチステークホルダー・プロセスの課題

その一方で、複数のステークホルダーが議論に参画することで難しさが生じてしまう場合もある。

  • 合意形成プロセスに参画するステークホルダーが増えることで、各ステークホルダーの意思決定者への報告等にかかる時間やコストが増加する
  • 課題解決に対する期待や優先順位が、ステークホルダー間で異なる場合がある
  • ステークホルダーによって、予算や人材等のリソースに制限がある場合がある
  • 合意形成に必要なデータが限られる場合がある
  • ステークホルダー間で、コミュニケーション手法や議論のスタイルが異なり、軋轢が生じる場合がある

まとめ

二者間では解決の難しい課題を解決するため、複数のステークホルダーが対等な立場で議論し合意形成を目指す、マルチステークホルダー・プロセス。ステークホルダー間の優先順位やリソースの差、文化やスタイルの違い等、乗り越えなければならない壁もある。しかし、様々な視点を取り入れ、それぞれの専門性を活かし、共通の目的のために協働することで、複雑化する社会課題の解決につながることが期待されている。

【参照サイト】マルチステークホルダー・プロセスの定義と特徴(内閣府)
【参照サイト】マルチステークホルダーの考え方(内閣府)
【参照サイト】(参考資料 Ⅰ)マルチステークホルダー・プロセスについて(内閣府)
【参照サイト】The Top 4 Challenges with Stakeholder Engagement(Decision Lens)
【参照サイト】Challenges and Opportunities in Multi-Stakeholder Collaborations(modis)
【参照サイト】地域の脱炭素化に向けたマルチステークホルダーの役割(公益財団法人 地域環境戦略研究機関)
【参照サイト】地域における脱炭素推進の在り方とは 第2回 脱炭素化の推進課題とその解決策(PWC)




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