プロギングとは・意味
プロギングとは
プロギング(plogging) とは、ジョギングをしながらごみを拾うこと。「plocka upp(スウェーデン語で「拾う」という意味)」と「jogging(走る)」を組み合わせた造語である。
プロギングが広まった背景
プロギングが広まった理由の一つには、環境問題の1つである海洋プラスチック問題がある。2050年には海の魚の重量よりもプラスチックの重量のほうが大きくなると言われており、生態系にも人間にも大きな影響を及ぼすことが予測されている。ごみが海に流入する理由はいくつかあり、たとえば、路上や川に落ちているごみが、排水溝や川から海へと流れてしまっていることが原因の一つとして挙げられる。
プロギングの誕生は、スウェーデンのストックホルム出身のアスリート、エリック・アルストロム氏が、2016年にごみ拾いに専念するランニングを始めたことがきっかけだった。最初はエリックと友人らがごみ袋を持ち手袋をして、ビーチやトレイルをごみ拾いをしながら走っていたが、大きな社会課題に対して気軽に楽しみながら貢献できることから、世界100か国以上にまで活動は拡大。一大ブームを巻き起こすまでになった。
プロギングをするメリット
プロギングをする理由は単に町からごみを取り除くためだけではない。ごみの削減に貢献しながら、自分自身にも良い影響がある。ここでは、そうしたポジティブな効果を3点ご紹介する。
高いフィットネス効果
プロギングはジョギングの1.2倍のカロリーを消費すると言われている。ごみを拾うごとに、しゃがむ動作、つまりストップ&ゴーの動作が加わるからだ。また、運動が長続きしない人も、外に出て走れそうだったら走り、気が乗らないときはごみ拾いをメインに行ったりと無理なく身体を動かすことができる。
ストレス解消
ジョギングがストレス解消になることはよく知られているが、加えてごみ拾いをすることで、社会のために行動したという実感も感じることができる。
コミュニケーションの促進
プロギングは、仲間と気持ちの良さをシェアすることで、より楽しめるだろう。たとえ1人でイベントに参加したとしても、ごみを拾って走るという共通の目的を通して、会話することができるからだ。また、拾ったごみやイベントの様子をSNSへ投稿する人も多く、達成感をシェアすることで、イベント後もより多くのコミュニティや仲間とつながることができるだろう。
フランス発のプロギングアプリ「Run Eco Team」は、ランニングと拾ったごみの記録ができる。現在、世界中に5万人以上のユーザーがおり、各国のプロガー (プロギングをする人) たちとつながることができる。既に1700キロメートルに及ぶ道路、広場、田舎道、海岸線の清掃に貢献し、Run Eco Teamのユーザーは毎週20トンのごみを集め続けている。
プロギングの始め方
プロギングをやってみたくなった人も、何から始めるべきか、本当に簡単にできるのか気になる人も多いだろう。プロギングをする上での基本情報を下記にまとめる。
誰とやるか
プロギングは一人でもできるが、初めは仲間を探してみるのはどうだろうか。住んでいる地域でプロギングを行うランニングチームがあるかリサーチしてみると発見があるかもしれない。
道具をそろえる
ランニングウェア、シューズ、水分補給ができるもの、ごみ袋、防護手袋、トングなどがあれば、衛生的にも安心して始めることができる。また、プロギング中も環境に配慮するために様々な工夫ができる。たとえば、ごみ袋の代わりにモルト袋(繰り返し使える、ビールの麦芽が入っていた袋)を使って個人や小さなグループでごみを拾い、ゴール地点で全員のごみを集めれば、捨てる袋を減らすことができる。
ごみの捨て方を確認する
集めたごみは市町村のルールに従って分別をし、適切に処理をする。
プロギングイベントの事例
プロギングは、これまで世界各地でたくさんの人によって行われてきた。ここでは、日本でのイベントの様子をご紹介する。
名古屋市
名古屋市はホームページ上で過去のプロギングイベントの様子と拾ったごみの重さを公開している。2022年に名古屋市で開催されたプロギングイベントでは、40キログラムほど回収した回が多く、2020年10月に久屋大通で開催されたイベントには約60人が参加。1時間足らずで57キログラムのごみが回収された。
ごみが少なかったイベントは、それだけ開催地が綺麗であることを意味するため、拾った重さが成果とは必ずしも言えるわけではない。
各回、イベント終了後には集合写真を撮っており、参加者同士の交流の様子もうかがえる。持ち物や申しこみ方法も載っているため、気軽に参加できるはずだ。
World Plogging Championship
プロギングの第1回世界大会(※1)が、2021年10月1日から3日にイタリアのピエモンテ州アルプスのヴァル・ペッリチェ領で開催された。世界各国から55人のプロガーが集まり、小道や道路を走ってごみを集めた。合計走行距離は、1,780キロメートル、回収されたごみは、795キログラム。計算すると、参加者1人当たり、平均15キログラムのごみを集めたことになる。
表彰台に上がった選手全員には、アーティストであるアンドレア・ブラガ氏が、電子機器廃棄物を再利用して制作したメダルが授与された。また、閉会式には開催地の市長をはじめ、プロギングを誕生させたエリック・アルストロム氏などが参加者に祝辞を述べた。第2回大会は、2022年9月30日から10月2日にイタリアのヴィッラール・ペローザで行われ、世界中から100名のプロガーが集まる予定だ。
まとめ
スウェーデンから瞬く間に世界中に広まったプロギングは、簡単に参加でき、コミュニケーションの場にもなるスポーツだ。社会課題への取り組み具合に関わらず、楽しみながら社会と自分のために楽しく取り組むことができるため、環境問題の解決のために何かしたいが、まだ仲間がいないという人は、プロギングに参加してみるのもいいかもしれない。また、自分でプロギングのイベントを開催してみるのも、幅広い人たちに地球環境の問題を知ってもらうきっかけになるだろう。
一人でも大勢でも、気軽に始めてみることから、社会は少しずつ変わっていくかもしれない。
※1 大会の様子は、YouTubeからも視聴可能。参加者が競技を楽しみながら行っている様子を見ることができる。
【参照サイト】euronews.green Plogging: What is Sweden’s new green sport?
【参照サイト】Plogging Japan プロギングとは
【参照サイト】Plogging Japan プロギングの歴史
【参照サイト】名古屋市 プロギングイベントの開催
【参照サイト】World Plogging Championship WPC2021 Val Pellice
【参照サイト】World Plogging Championship LET’S PLOG TOGETHER! JOIN THE SELECTION PROCESS OF THE WORLD PLOGGING CHAMPIONSHIP!
【参照サイト】World Plogging Championship World Plogging Championship 2021
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