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ReFiとは・意味

ReFi

ReFiとは?

ReFi(Regenerative Finance)とは、ブロックチェーン関連技術を用いた金融取引で環境問題や社会問題の解決につなげようとする取り組みを指す。日本語では「再生金融」とも訳される。

なお、ブロックチェーンとは簡単に言うと、金銭の取引記録などの情報を管理する技術のこと。複数の取引情報(トランザクション)のひとまとまりをブロックと呼び、取引が増えるにつれてブロックがチェーンのように連なっていく。ブロックチェーンは暗号資産(仮想通貨)ビットコインの基盤となる技術として生まれたが、近年は金融分野以外でもさまざまな企業や団体が取り入れはじめている。

ReFiはすべてのステークホルダー(株主・経営者・従業員・顧客・取引先のほか、金融機関、行政機関、各種団体など、企業のあらゆる利害関係者)のニーズをよりよく満たすことができる金融エコシステム(※)と考えられている。

※ ここでのエコシステムとは、さまざまな業態がお互いに協力し、それぞれの業務やサービスを補う構造を指す。

DeFiとReFi

DeFiとは

ReFiに近い言葉として良く挙げられるのがDeFi(Decentralized Finance)だ。DeFiとは、ブロックチェーン上に構築される金融サービスやエコシステムの総称である。

DeFiはブロックチェーン技術を用いることで、従来の金融取引のように銀行や証券会社、証券取引所などの中央集権的な管理者を介することなく取引ができる。すべての取引記録はブロックチェーン上に記録され、その記録はインターネット上で公開されて、誰でも確認することができるのが特徴だ。利用者同士が互いに管理し合う仕組みから「分散型金融」とも呼ばれる。

DeFiの課題

ブロックチェーン上に構築されたDeFiでは、取引を行う際、ブロックチェーンに取引内容を記録する際にかかる手数料(ネットワーク手数料)の支払いが必要となる。この決済に利用できる通貨は利用するブロックチェーンの基軸通貨である暗号資産のみで、日本円などの法定通貨を使うことはできない。この手数料は「ガス代」とも呼ばれている。ガス代に用いられる暗号資産は利用するブロックチェーンごとに異なる(たとえばイーサリアムチェーンならイーサリアム、SokanaチェーンならSOL)。

ガス代は変動性で、取引が混み合っていると高騰する傾向がある。また支払いに用いる暗号資産の価格が値上がりすれば、日本円に換算したガス代の価格も上がることになる。このような背景から、DeFiには少額の取引が現実的ではないというデメリットが生じた。

またDeFiには環境への懸念もある。

ブロックチェーンに新しい取引(暗号資産の移動)データをつなげる作業「マイニング」は、「プルーフ・オブ・ワーク(Proof of Work:PoW)」と呼ばれる仕組みに従って行われる。膨大な計算が必要となるPoWでは、計算能力の高いコンピューターが多く求められる。よって大量の電力が必要となってしまう。暗号資産のマイニングに使われている電力量は小規模な国が消費する電力量よりも多いといわれている。DeFi運営は、二酸化炭素排出量に関する懸念を引き起こしているのだ。

加えて、ブロックチェーンには、多くの人が同時に決済すると処理に時間がかかり、送金の遅延が起こるといった課題(「スケーラビリティ問題」と呼ばれる)もあり、日常の決済に用いるのは難しいといった難点も抱えている。

ReFiへの発展

先述した通り、DeFiにはさまざまな課題がある。そんな中、2018年以降のDeFiや、農業、建築といったさまざまな分野に影響を与えたのが「再生型資本主義(Regenerative Capitalism)」だ。

「再生型資本主義」は2015年にアメリカの経済学者ジョン・フラートンが提唱。フラートンは環境課題や社会課題に対して「経済」が問題視されることに着目し、どうすれば経済が問題の原因ではなく解決策になるのかを検討した。これを基にした「再生型経済学(Regenerative economics)」の概念がReFiへの発展につながったとされる。

DeFiを取り巻く喧騒の中、環境保護活動家や社会活動家、一部の投資家たちにより、利益を生み出すだけでなく持続可能性を促進する金融システムを構築するアイデアについての議論が行われ、ReFiの概念が誕生した。

ReFiの重要性

既に述べたように、DeFiとReFiはどちらもブロックチェーン技術を用いた金融取引の仕組みだ。

だが、ReFiはブロックチェーン技術を用いた金融取引を環境問題や社会問題の解決につなげようとする取り組みであり、世界的な環境目標だけでなく、責任ある金融エコシステムの先例となると期待されている。

炭素クレジットのトークン化

たとえば気候変動に対する早急な対応が求められる今の時代において、ReFiは環境に優しい慣行を率先して取り入れる。具体的には炭素クレジットのトークン化があげられる。これは炭素削減の取り組みを奨励する革新的な方法として導入されているものだ。

日本国内でも、カーボンクレジットをNFT(非代替性トークン)として販売するビジネスが登場している。環境関連の活動において資金確保が課題となることが多い中、資金調達の新たな手段として注目を集めている。

環境問題に配慮した仕組み

ReFiは、ブロックチェーン技術に関連するカーボンフットプリントの問題にも取り組む。ReFiはエネルギー効率が高く、環境問題に配慮するカーボンオフセット・イニシアチブを推進する。具体的には「プルーフ・オブ・ワーク(Proof of Work:PoW)」から「プルーフ・オブ・ステーク(Proof of Stake:PoS)」への移行があげられる。

先述した通り、PoWと呼ばれる仕組みに従って行われるマイニングは大量の電力が必要となる。マイニングは数学的な問題を解き、取引内容を承認することでブロックチェーンに貢献する。この作業に貢献した見返りとして報酬(マイニング報酬)を得ることができるが、この作業を行うためにはハードウェアリソースや多くの電気代が必要になる。

一方、PoSと呼ばれる仕組みに従って行われる「ステーキング(預け入れ)」は、暗号資産の保有量や保有期間の長さによってブロックチェーンの稼働に貢献することができ、その対価として報酬を得ることができる。

PoSでは、保有量や保有期間が長いステーキング参加者の中から、暗号資産の保有量やネットワークへの貢献度など一定のルールに応じて選ばれたものがバリデーター(承認者)となって、取引を検証し、ネットワークの安全性を担保する。そしてその対価として報酬が得られる。

PoWでは、マイニングを行うために高度な計算が可能なハードウェアリソースが必要になるし、計算競争が行われることで大量に電力を消費することになる。一方PoSは暗号資産の保有量などのルールに応じてバリデーターが選ばれる仕組みのため、計算競争が起きない。そのため、電力消費量はPoWに比べて約99%も削減できるとされている。

ReFiの未来

持続可能性を示すReFiだが、まだまだ認知度が低く、前例も取り組む人材も少ない。ブロックチェーンや暗号資産、NFTに対する一般的な理解はまだ浅いのが現状だ。また、これらの技術に対してネガティブなイメージを抱く人、懐疑的な人も少なくない。

そうした人々が懸念点の一つとして挙げるのが、DeFi・ReFiに「管理者がいない」という点だ。DeFiもReFiも中央集権的な管理者を介さず取引できるため、その取引の透明性に注目が集まっている。一方で、何らかの不具合が生じた際には責任の所在がないともいえる。不具合を自分自身で解決するためには高いリテラシーが要求され、資産損失リスクの責任は全て自分にのしかかる。よって管理者の不在そのものをリスクとして捉えることもできるのだ。

また規制上のハードルなどの課題により、ReFiの普及が妨げられる可能性もある。

ReFiは金融面でのアクセシビリティを高めるだけでなく、倫理的配慮を支持するものでもある。持続可能な慣行と地域社会の福祉に重点を置くことで、ポジティブな社会的影響の波及効果を生み出し、金融の進歩が倫理的責任を犠牲にする必要がないことを実証している。

ReFiは、より持続可能な未来を育むために重要な取り組みとして期待される。

 

【参照サイト】What Is Regenerative Finance (Refi), and Who Is It For?
【参照サイト】DeFi | 三菱UFJリサーチ&コンサルティング
【参照サイト】DeFiの主な種類は?知っておきたい7つの分類とサービス事例まとめ | Coincheck
【参照サイト】INFOGRAPHIC: DeFi, ReFi, and DeSci – Breaking down the acronyms — Crypto Altruism
【参照サイト】DeFiとは?仮想通貨との関係や仕組み、稼ぎ方をわかりやすく解説! | CRYPTO INSIGHT powered by ダイヤモンド・ザイ
【参照サイト】NFTのガス代とは? なぜ発生する? 相場や仕組みを徹底解説 | CRYPTO INSIGHT powered by ダイヤモンド・ザイ
【参照サイト】マイニングとは – WOR(L)D ワード|大和総研の用語解説サイト
【参照サイト】マイニングに使われるプルーフ・オブ・ワーク(PoW)とは?意味や役割を解説 – DMMビットコイン
【参照サイト】DeFiに次ぐブームとなる!?“ReFi”の概要・事例・展望とは? | サステナビリティ×ブロックチェーン情報メディア【HEDGE GUIDE Web3】
【参照サイト】誰のための「経済」?資本主義の向かう先【ウェルビーイング特集 #33 新しい経済】 | 世界のソーシャルグッドなアイデアマガジン | IDEAS FOR GOOD
【参照サイト】From DeFi to ReFi: The Evolution of Blockchain Finance | by Thomas Mach | Medium
【参照サイト】炭素クレジット売買にNFT取引「ReFi」 三井物産系 – 日経GX
【参照サイト】実用性と気候変動対策の両輪を実現!?ReFi視点から見る「Polygon」の概要と親和性とは? | サステナビリティ×ブロックチェーン情報メディア【HEDGE GUIDE Web3】
【参照サイト】暗号資産(仮想通貨)のステーキングとは?PoSの仕組みと併せて解説 – DMMビットコイン
【参照サイト】ブロックチェーンによるエネルギーの大量消費を解消できるか:動き出したイーサリアムと「PoS」の潜在力
【参照サイト】Is ReFi the future of fintech?




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