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セクシュアル・コンセント(性的同意)とは・意味

セクシュアルコンセント(性的同意)

セクシュアル・コンセント(性的同意)とは?

セクシュアル・コンセント(性的同意)とは、キスやボディタッチを含む性的行為を行う「前」に、両者が確認する同意のこと。たとえ自分が性的な行動を望んでいたとしても、相手が必ずしもそうだとは限らない。そのため、性的行為は必ずお互いの意思を尊重し、同意した上でなければならず、それがない場合は強姦(レイプ)や性的暴行、セクハラだと見なされる。

セクシュアル・コンセント5つの要素

アメリカの医療サービス非営利組織Planned Parenthoodによると、セクシュアル・コンセントには5つの要素があるという。

  • 酒や薬の影響がなく、プレッシャーもなく、自由に選択ができる状態である
  • いつでも自分の選択を変更できる(過去にYESと言っていても、行為直前に断るなど)
  • しっかりと情報提供されている(コンドームの有無など)
  • 行為中、したくないことはしなくていい
  • 一つのことに同意したら、他のことにも同意したことにはならない

相手が幼すぎる場合や、アルコールや薬などで正常な判断ができなくなっている場合も、セクシュアル・コンセントが取れる状態ではない。セクシュアル・コンセントを取る最善の方法は、相手に直接聞くことだと下記の動画では解説されている。そして相手がどのような答えをしても、それを尊重するべきだという。

それは当事者同士の関係がカップルや夫婦であっても同様だ。付き合っていることや結婚していることを理由に性的な行為が「いつでもOK」になるわけではないし、「OKしなければならない」わけでもない。

「YES」は必ずしも同意を意味しない

また、望まない場合ははっきりと意思表示をすることが大切だが、相手がはっきりと断らないからといって、「YES」という意味にもならない。同意には、同意する自由と同意する能力が伴わなければならない。

わかりやすい例でいえば、ATMでお金を下ろしている時、背後からナイフを突きつけられて暗証番号を要求され、それに答えたとしても、強盗に同意したことにはならない。

相手を脅したり、圧力をかけたり、いじめたり、操ったりして怖がらせることは、さまざまな状況において、その相手の「YES」と「NO」を選択する自由と能力を奪う。

性的行為の場でも同様だ。たとえば、「第三者に性的な写真を共有する」と脅して「YES」と言わせることは、全くもって同意ではない。

はっきりとした意思で表された「YES」だけが「YES」を意味する。EU(欧州連合)の女性NGOの統括組織であるEuropean Women’s Lobbyが2023年10月に発表した分析によると、スウェーデン、スペイン、クロアチア、ギリシャを含む14の加盟国で、「Only yes means yes(イエスだけがイエスである)」という考え方が適用されている。

同意と同意でないものの具体例

同意とはどのようなものか、このような具体例があげられる。

  • 「YES」の意思をはっきりと熱心に伝える。
  • 自分が望んでいること、望んでいないことを相手に話し、相手の話にも耳を傾ける。
  • 例えば、「これでいい?」、「やめたい?」と尋ねる。
  • 相手が「NO」と言ったら、その選択を尊重する。そして、決して相手の考えを変えようとしたり、プレッシャーをかけたりしない。

同意は100%その人の権利だ。昨日は「YES」でも、今日は「NO」かもしれない。また先述した通り、誰かと付き合っていようが結婚していようが、その人の権利に違いはない。性的行為を行う「前」には、毎回、両者が同意を確認する必要がある。

一方で、同意ではないものの例を以下にまとめる。

  • 「NO」と言った時の相手の反応が不安なあまり、性的行為に同意しなければならないと感じる。
  • 眠っているか意識がない相手に性的行為を行ったり、性的な方法で触れたりする。
  • 性的行為を続けてほしくないなどの非言語的な合図(たとえば、身を引いたり、固まったり、不快そうにしている場合など)を見せているにもかかわらず、性的な行為を続ける。
  • 相手の行動や服装から、相手が性的行為をしたいと思い込む。
  • 過去に性的行為を行った関係があることから、その関係があった相手が性的行為に肯定的だと思い込む。
  • 性的行為の1つに肯定的だったから、他の性的行為にも肯定的だと思い込む。
  • コンドームをつけて性的行為を行うことに同意した後、その行為の最中にコンドームを外す。

加えて、同意がないことを示す語句の例にはこのようなものがある。

  • いいえ(NO)
  • やめて
  • したくない
  • わからない
  • そう思わない
  • したいけど……
  • 不快に感じる
  • もうやりたくない
  • これは間違っている
  • 待ったほうがいい

同意がないことを示す行動、ボディランゲージの例は以下の通り。

  • 話題を変える
  • 首を横に振る
  • 押しのける
  • 引き離す
  • 衣服を脱がない
  • 泣く
  • 沈黙する
  • 目を合わせない
  • 怯えたり悲しんだりする
  • 物理的な反応を示さない – ただ動かずに横たわっている

上記はあくまでも一例だ。

とにかく忘れてはならないのは、自分や相手が何かを望んでいないのであれば、それは同意を与えたことにはならないこと。また自分や相手にそれを望むかどうかを決定する能力がなかった場合、それは同意を与えたことにはならない。

もし同意がなければ、それは性的暴力に値する。

意思表示の具体例

同意、あるいは同意でないものがどのようなものかは先述した通りだ。次に同意の取り方や「NO」の意思表示の具体例をあげる。

同意の取り方の具体例には以下のものがあげられる。

  • 自分は(性的な行為を)したい。あなたはどう?
  • (性的な行為が)週1回は少ないと思ってる。あなたはどう?
  • キスしてもいい?
  • もし嫌なことをしてしまったら言ってね。
  • 途中で嫌になったら言ってね。

また同意は継続的に行われる必要がある。つまり、たとえあなたがキスやボディタッチを含む性的行為を行っている最中であっても、次の段階に進む前には相手が同意する必要があるということ。

相手が心地よいかどうか、それを望んでいるかどうか、さらに続けたいかどうかを尋ねることが重要だ。

「NO」の意思表示の具体例には以下のものがあげられる。

  • あなたのことは好きだけど、今日は(性的な行為を)したくない。
  • キスだけにしたい。
  • (断りにくいときに)今日は体調が悪い。

言葉による確認が好ましいが、どうしても言葉では伝えにくいと感じる場合もあるだろう。

その場合には、「YES」「NO」の意思を表す決まり事を作るとよい。眠る前に、枕の上にハンカチを置くなど、「YES」「NO」の意思表示をあらかじめ共有しておく。言葉で示すと重くなりがちだと感じる場合にはSNSのスタンプを活用するのもおすすめだ。

なお、相手から「NO」という意思表示を受け取った時、「なんで嫌なの?」「パートナーなのに断るの?」と相手を責めるような態度をとることは、同意を得る行為にはならない。

意思の尊重が大切

近年は、アメリカやカナダ、イギリスの小学校から高校にかけて、セクシュアル・コンセントについて教えられる機会がある。レイプの数が問題視され、性教育に組み込まれているのだ。お互いの人権を守るために、そして望まない犯罪を防ぐためにも、セクシュアル・コンセントは必ず必要なものである。

セクシュアル・コンセントにおいては、「NO」と言われた時の対応をトレーニングすることも大切だ。お互いに好意を抱き、関係を築いたうえで「NO」と示された場合に、ショックを受ける人がいるかもしれない。だがその「NO」は、性的行為をしたくないという意思表示であって、相手の人格を否定するものではない。

最後に、イギリス警察が制作したセクシュアル・コンセントを「紅茶のすすめ方」に例えた動画を紹介する。セクシュアル・コンセントが広く知られるようになった代表的な動画だが、あらためて参考にしてみてほしい。

【参照サイト】Sexual Consent
【参照サイト】What is sexual consent? | Rape Crisis England & Wales
【参照サイト】EU fails to agree on legal definition of rape – DW – 02/07/2024
【参照サイト】『必ず知ってほしい、とても大切なこと。性的同意』 | 京都市男女共同参画推進協会
【参照サイト】性的同意ハンドブック 慶應
【参照サイト】Your Guide to Sexual Consent
【参照サイト】‘No means no’ consent training overlooks nuances of sex: experts – National | Globalnews.ca
【参照サイト】ちゃんととれてる?性的同意 | セイシル
【参照サイト】「性的同意」とは?どうとればいい?素朴な疑問を専門家が解説




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