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サーマルリサイクルとは・意味

リサイクル

サーマルリサイクルとは?

廃棄物を焼却処理した際に発生する排熱を回収し、エネルギーとして利用すること。たとえば、地域の発電や、ボイラー、温水プールなどに使われている。焼却に主に用いられるのは、焼却時の発熱量が石油と同程度に高いプラスチック類の廃棄物だ。

一般社団法人プラスチック循環利用協会が収集した2005年~2019年のデータによると、日本はプラスチックのリサイクル率を2019年時点で85%としているが、そのうち、60%はこのサーマルリサイクルが占めている。

プラスチック基礎知識2021 - プラスチック循環利用協会

プラスチック基礎知識2021 – プラスチック循環利用協会 より

サーマルとは英語で「熱」という意味。ただし、サーマルリサイクルという言葉は日本で作られ、海外ではこれを「エネルギー回収」や「熱回収」と呼び、そもそもリサイクルとみなしていない。

これに対し、政府の定める「循環型社会形成推進基本法」では、廃棄物・リサイクル対策の優先順位を、①リデュース②リユース③マテリアルリサイクル・ケミカルリサイクル④サーマルリサイクル(熱回収)と定めており、サーマルリサイクルはあくまでもリデュースやリユースができなかった場合の廃棄物活用法という位置付けになっている。

サーマルリサイクルのメリット

サーマルリサイクルを行うメリットとしては、以下があげられる。

  • 完全に分別することができない廃棄物を有効活用できる
  • 新たな化石燃料を使わないため、CO2排出量を抑えられる
  • ケミカルリサイクルに比べると少ない設備投資額で行える

サーマルリサイクルのメリットは、現在の技術的では再資源化が困難なものや、分別の工程が繁雑で再資源化に非常に大きなコストがかかってしまう廃棄物などを有効活用できる点だ。コスト面を見ても、大規模な工場を必要とするケミカルリサイクルに比べ、サーマルリサイクルは比較的低コストでさまざまな廃棄物を有効活用できる。

また、サーマルリサイクルを行うことで火力発電に必要な石炭や石油といった天然資源を一定量節約することができ、結果的に排出されるCO2の量を削減することができる。

さらに、食品が付着したプラスチック類を埋めると、それが腐敗した際に二酸化炭素の21倍の温室効果があると言われるメタンガスが発生するため、埋め立て処理をするよりは焼却した方が最終的な環境負荷を抑えることができるとの見解もある。

サーマルリサイクルの事例

「プラスチックの基礎知識2021(一般社団法人プラスチック循環利用協会)」によると、日本全国のごみ焼却施設の約70%は何らかの形で余熱を利用しており、ボイラーで発生させた温水や蒸気を、近隣の施設の暖房や浴場、温水プールなどに活用している。

具体的な事例としては、たとえば大阪広域環境施設組合のごみ焼却工場では、ボイラーで作った蒸気を工場内の暖房や給湯に利用するとともに、蒸気タービン発電機で発電し、工場の運転に利用している。さらに、近隣施設への蒸気供給や電気事業者への電気の売却も行っています。

また、新潟県柏崎に拠点を置く産業廃棄物処理業者のシモダ産業株式会社は、廃棄物処理の際に出る排熱を活用し、国産バナナブランド「越後バナーナ」を栽培している。

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サーマルリサイクルの問題点と今後

サーマルリサイクルの問題点としては、プラスチック類を焼却すると発ガン性のあるダイオキシン類が発生することが一番に挙げられる。近年では800度以上の高温で完全燃焼させることでその発生を防ぐことができるというが、それでも微量のダイオキシンの発生は防ぐことができないとの指摘もある。

また、燃焼後に残る灰には強い毒性があり、大量の鉛や水銀が生成されることもあるため、その点も今後考慮していく必要がある。

政府としては、より効率的なサーマルリサイクルを推進しており、エネルギー回収効率の高い施設への更新や、十分なエネルギー回収量を確保するための施設の大規模化、小規模施設での地域特性に応じた効果的なエネルギー回収技術の導入などの取組が必要であるとしている。

2022年4月に施行されるプラスチック新法(プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律、プラスチック資源循環促進法)でも、使い捨てプラスチックをごみにしないために、小売店や自治体に対し「合理化(=有料化するなど、提供方法を工夫すること)」が求められている。

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まとめ

現段階では、そもそもの廃棄物の削減や、マテリアルリサイクル、ケミカルリサイクルなどの比率をあげていくことを目指しつつ、どうしても出てしまう廃棄物はサーマルリサイクルでエネルギーや熱に転換するという選択肢を取るのが良さそうだ。サーマルリサイクルをより安全に行うための今後の技術開発にも期待したい。

【参照サイト】 Pros & Cons Of Waste Incineration & Waste To Energy (Benefits & Disadvantages)
【参照サイト】プラスチックリサイクルの基礎知識2021(一般社団法人プラスチック循環利用協会)




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