VUCA(ブーカ)とは・意味
VUCAとは?
VUCA(ブーカ)とは、「未来が予測しにくい状態・先行きがわからない状態」を意味する言葉だ。「Volatility(変動)」「Uncertainty(不確実)」「Complexity(複雑)」「Ambiguity(曖昧)」という4つの単語の頭文字をつなぎ合わせた造語である。
スマホの台頭やSNS、メタバースなどテクノロジーの急激な進化や、新型コロナのパンデミック、2022年2月からのウクライナ侵攻による世界情勢の不安定化、気候危機、異常気象の多発などのさまざまな出来事が複雑に絡み合い、とにかく不確実な今は「VUCA時代」とも言われている。
VUCAという言葉は、古くは1987年にアメリカ陸軍戦略大学の文書ですでに使われており、同国の学者ハーバート・バーバーが論文『Developing Strategic Leadership: The US Army War College Experience』のなかで登場させた。1990年代には、アメリカとソ連による冷戦の終結と、当時のアフガニスタン紛争後の状況など「(戦争の)戦略が不透明な時代」を説明する言葉として使われている。
VUCA時代を生き抜くために必要なマインドセット
「VUCA時代」という言葉は、先行き不透明なこの時代のあるべきリーダーシップ論や、マネジメント論などの文脈で使われることが多い。トレンドが移り変わり、一度立てたビジネス戦略もすぐに「時代遅れ」になってしまうなかで、私たちはどう生き抜いていけばいいのか。
経営学誌『ハーバード・ビジネス・レビュー』は、VUCA を形作る4つのワードそれぞれの特徴と、乗り切るために必要なマインドセットを説いている。
- Volatility(変動):予想もしない出来事が世の中の大きな変動のきっかけとなる。だから混乱に備えて、在庫やリソースの確保をしておくなど、ゆとりを持っておくことが大切だ
- Uncertainty(不確実):出来事について何もわからなくても、基本的な要因や、その影響は知られている。質の高い情報に投資し、翻訳し、共有せよ。情報を分析できるネットワークを持っているのも大切だ
- Complexity(複雑):物事のさまざまな側面が、非常に複雑に絡み合っている。専門性を見つけ、現在の状態を再構築し、複雑性に対応できるリソースを持っておくことが大切だ
- Ambiguity(曖昧):人と人、モノと人の関係性は、ますます曖昧な時代に突入していく。突破に必要なのは、実験である。常に新しい方法を試し、要因を特定して自分なりの理論を構築できるようにすることが大切だ
また、VUCA時代に対応するためのスキルやマインドセットとして、「デザイン思考」が注目されている。これは、つまり顧客のニーズを観察したうえで仮説を立て、プロトタイプを作成し、実際に何度もユーザーテストを行いながら新たな商品やサービスを作り出す過程のことだ。
VUCA時代を生き抜くような世界の事例たち
英国ロンドンにある芸術大学、RCA(ロイヤル・カレッジ・オブ・アート)と東京大学生産技術研究所(IIS)が協同で立ち上げたデザインラボ「RCA-IIS Tokyo Design Lab」では、先端のテクノロジーをデザインの力でプロトタイプ化することで、私たちに未来の社会のありかたを考えさせる事例を多く生み出している。
01. 「BIoT」バイオ×IoT×AIで、自然と人間との関わりを可視化する
環境省が推進する、地球温暖化防止に向けて環境に優しく賢い選択を呼びかける取り組み「COOL CHOICE」のためのアイデアとして生み出されたのが、「BIoT – Associated Nature / よりそう自然」だ。BIoTは「バイオ」と「IoT」を掛け合わせた造語で、このプロジェクトの目的は「自然」という曖昧な対象について、またその自然に人間がもたらしている影響に対して私たちがより意識的になり、結果として行動変容を起こすことにある。
BIoTプロジェクトでは、「ファンガルネットワーク」と呼ばれる、多くのキノコ類が植物同士をつなぐ地中のネットワーク、いわば自然界に存在するインターネットに「BIoT」デバイスを接続し、自分が住む近隣エリアの「自然の健康状態」を可視化するという仕組みが構想された。BIoTデバイスを通じて近隣の樹木のCO2吸収量や水分・栄養の状況、天候によるストレスなどをデータとして収集し、AIにより可視化、デバイス画面上から常時モニタリングできる仕組みとなっている。
また、このデバイスに冷蔵庫や暖房器具といった自宅のIoTデバイスを接続し、自身の生活から生まれるCO2排出量と周囲の自然のCO2吸収量を比較することもできる。このBIoTによって自分が自然にどれだけの影響を与えているのかが可視化されるため、省エネなどの具体的な行動をとるきっかけになるだけではなく、その結果もしっかりと分かるのだ。
その滑らかな流線型のフォルムとは裏腹に、キノコをモチーフとして3Dプリントで形作られたBIoTデバイスの内部には自然科学の知見と最先端のIoT、AIテクノロジーが詰め込まれている。
02. 「JINZO SKIN」人がロボットを着るのか、ロボットが人を着るのか?
2018年2月から4月にかけて行われた、RCA-IIS Tokyo Design LabのメンバーとIISの研究者らがチームとなって短期集中で取り組むマイクロラボの3回目のテーマ、「Re: Thinking the robot(ロボットを再考する)」から生まれたのが、非常にユニークなロボットの肌、「JINZO SKIN」だ。
コンセプトは、「表現するスキン」。プロジェクトでは、スキンを単にロボットの表面にかぶせる肌として捉えるのではなく、人間の肌と同様にその人の感情や状態を表すリアルな肌として捉え、そのありかたを模索した。将来、人とロボットが共存する時代が訪れたとき、両者が自然にコミュニケーションをとるうえでは、ロボットにも言葉では伝えられない微妙な感情を伝える何かが必要なのではないか、という問いかけが出発点だ。
実際のプロトタイプとして作られたのは「GAOH(ガオー)」「ZUKI(ズキ)」「ISHIKI(イシキ)」という3つの肌の動き。例えば、怒りを表す「GAOH」では、ロボットが操作間違えなど「不当な扱い」を受けたと感じたときに肌の表面のとげを逆立て、威嚇する動きを見せる。肌を通じて反射的な怒りを人に伝えるのだ。
このプロトタイプのデザインを手がけたのは、RCAファッションの出身のAbbie Stirrup氏。ファッションデザイナーとしての斬新なアイデアとテクノロジーが融合され、未来のロボットと人との関り方について新たな視座を与えてくれる。
このプロトタイプを眺めていると、テクノロジーが作り出す未来をただ待っているだけではなく、どのような未来が欲しいのかを自分自身で考えながらテクノロジーと付き合うことの大事さを痛感させられる。
まとめ
未来が不確実であるということはリスクであると、同時に多くのチャンスが潜んでいるということでもある。
VUCAの時代をいかに味方につけて新たな機会を作り出せるかが、今後しばらく多くの企業やイノベーターにとっての関心事となるだろう。
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G
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- GovTech(ガブテック)
- Green Climate Fund(緑の気候基金)
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H
I
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- InsurTech(インシュアテック)
- Internet of Abilities(能力のインターネット)
- Internet of Animals(動物のインターネット)
- Internet of Behavior(行動のインターネット)
- Internet of Customers(顧客のインターネット)
- Internet of Human(ヒトのインターネット)
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- Internet of Things(モノのインターネット)
- IPCC
- ISSB
- IUU漁業
J
L
- LAC(Living Anywhere Commons)
- LCA(ライフサイクルアセスメント)
- LEAPアプローチ
- LEED(Leadership in Energy and Environmental Design)
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