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ボディポジティブとは・意味

ボディポジティブと笑顔

ボディポジティブとは?

ボディポジティブ(Body Positive)、またはボディ・ポジティビティとは、社会や大衆文化が理想的な体型やサイズ、外見をどのように見ているかにかかわらず、すべての人がポジティブなボディイメージを持つに値するという主張のことを指す。「痩せた体型=キレイ」という従来の美の定義から外れ、プラスサイズの体をありのままに愛そうというムーブメントそのものを指す言葉でもある。

ボディポジティブムーブメントの目標には、以下のようなものがある。

  • 社会の身体に対する見方に挑戦する
  • あらゆる身体を受け入れることを促進する
  • 人々が自分自身の身体に自信を持ち、受け入れられるようにする
  • 非現実的な体型基準に対処する

ボディポジティブは、社会の身体に対する見方だけでなく、人種、性別、セクシュアリティ、障害に基づいて判断されることへの挑戦も目標に含まれる。

また、大衆的なメディアのメッセージが、人々の身体との関係にどのような影響を与えているかを理解する手助けをすることも目的としている。メディアによる影響をよりよく理解することで、人々がより健康的で現実的な身体との関係を築けるようになることが期待されている。

ボディポジティブの歴史

ボディポジティブの運動が最初に登場したのは、1960年代後半のファット・アクセプタンス(脂肪受容)運動にある。これは肥満体型に対する差別をなくすことに焦点を当てたものだ。

イギリスの公共放送局BBCの記事「From New York to Instagram: The history of the body positivity movement(ニューヨークからインスタグラムまで:ボディポジティブ運動の歴史)」によると、1969年、肥満体型に対する世間の仕打ちに強い憤りを感じていた人たちが全米脂肪受容推進協会(National Association to Advance Fat Acceptance、NAAFA)を設立し、運動を始めた。

またニューヨークでNAAFAが発足したように、カリフォルニアでも肥満体型の人々に対する仕打ちに憤りを覚えたフェミニストたちによって、ファット・アンダーグラウンド(the Fat Underground)が結成。ファット・アンダーグラウンドはNAAFAが「脂肪受容(Fat Acceptance)」と呼んだものを「脂肪解放(Fat Liberation)」と呼び、1973年までに「脂肪宣言」を発表した。その内容は「生活のあらゆる分野において、太っている人にも平等な権利を」というものである。

「ボディポジティブ」という言葉は、1996年に心理療法士のエリザベス・スコットと摂食障害になった経験があるコニー・ソブザックが、The Body Positiveを設立し、thebodypositive.orgというウェブサイトを立ち上げたときに生まれた。このサイトでは、不健康な食事や運動の努力によって体重を減らすことに焦点を当てず、人々が自分の体について良い気分になれるようなリソースや教材を提供している。

70年代、80年代、90年代にはボディポジティブという言葉は使われていなかったが、活動家たちによる運動は続いていた。90年代後半から2000年代前半にかけて、より多くの人々がオンラインで交流するようになると、ネットいじめやボディシェイミングが常態化した。しかし活動家たちは声をあげるのをやめなかった。掲示板やチャットルームがソーシャルメディアに取って代わるのと同じように、活動家たちのコミュニティもまた、オンライン・フォーラムからTumblrやインスタグラムへと移っていく。

現在の形のボディポジティブムーブメントが始まったのは2012年頃である。作家であり活動家であるソーニャ・レニー・テイラーのスポークン・ワード・ビデオ「The Body is Not An Apology(身体は謝罪ではない)」が大流行したことで、2012年には多くのボディラブのためのデジタル・メディア企業やソーシャル・ネットワーキング・サイトが設立された。

当初は非現実的な女性の美の基準に挑戦することに焦点を当てており、体重を受け入れることに重点を置いていたが、運動の人気が高まるにつれ、“すべての身体は美しい”というメッセージへと変化していった。

ボディポジティブな取り組み

近年では、パーソナル・ケア製品で有名なダヴや、バービー人形を手掛けるマテル社などが、ボディポジティブに取り組んでいる。2016年には、プラスサイズのバービー人形も発売された。このように、プラスサイズ体型の排除と戦い、どんな体型でも美しいと訴えかける行動は #bopowarrior と呼ばれる。

要約:私は「私が好き」と言った。なのにみんなは「勇気ある!」「活動家みたい」と言う。何が?私は「私が好き」だと言っただけなのに!ボディポジティブの運動が終わっても、痩せた白人系の女性にはなれない。私はこのまま、黒人の太った女性でいる。世間は「自分を愛せ」と言うけれど、口だけだ。私はどう生きようか模索している。

ダヴのセルフエスティーム・プロジェクト

ダヴの「セルフエスティーム(自己肯定感を高める)プロジェクト」は2004年から始まった。2017年に行われたセルフエスティーム・プロジェクトの調査によると、50%以上の女子が身体に自信がなく、10人に8人は自分の容姿に自信が持てないと友人や家族に会わず、医者にさえかからないことがわかった、と書かれている。ダヴは若者の自己肯定感を高めるための教育を提供することで、世界中の若者に、潜在能力を最大限に発揮するために必要な自信をつける手助けをすることを目的としている。

プラスサイズのバービー人形

2013年12月にPlus-Size-Modeling.comがプラスサイズのバービー人形の写真をFacebookに投稿したことが話題となった。プラスサイズのバービー人形は賛否両論を呼んだ。この投稿に17万人を超える人々が「いいね!」を押した一方で、「二重あごはおかしいと思う!」「三重あごはひどすぎる。太っている人のほとんどは(私も含めて)、どんなサイズでも二重あごにしかならない。このバービーは不正確だ」と極端なサイズを批判した人たちもいた。

なお、マテル社は従来のボディの他に、「平均的な」19歳の女性から採寸された「normal body proportions」を採用したり、小柄、長身、カーヴィーという新しいボディを登場させたりと、定期的にモデルチェンジを行っている。近年では頭髪のない人形や義足、白斑(皮膚の色が抜ける病気)、車椅子に乗ったバービー人形など、バービーで遊ぶ子供たちをよりよく反映させるために、肌や髪、体型、障害など、バービー人形の特徴を増やしている。

ボディポジティブとボディニュートラルの違い

ボディポジティブに似た言葉にボディニュートラルがある。ボディニュートラルとは自分の体型に関する自分の考え方を、そのまま受け入れようというムーブメントである。

ボディポジティブとボディニュートラルは焦点が異なる。前者は外見に関係なくすべての身体が美しいことを強調する。ボディニュートラルは外見に焦点を当てない。身体に対するポジティブでもネガティブでもないニュートラルな感情を強調するため、「自分の体型が気に入らないときがあってもいい」と中立的に許容するような考えでもある。

ボディポジティブに対する批判

ボディポジティブのメッセージは、人々が自分自身についてより良く感じられるようにすることを意図しているが、問題や批判がないわけではない。

例えば、問題点のひとつに、ボディポジティブは人々が自分の見た目をポジティブに感じるために必要だと思うことは何でもするべきだという考え方であることが挙げられる。

医療専門家による健康とウェルネスに関する情報を提供するウェブサイト「Verywell Mind」は以下のように解説する。

残念なことに、人々が浴びせられる一般的なメッセージには、より細く健康的な人はより幸せで、より健康的で、より美しいという考えが含まれている。このような痩身の理想化は、「ボディポジティブ」を感じるという名目で、過度な運動や極端なダイエットなど、不健康な行為に手を染める一因になりかねない。

ボディポジティブが太りすぎや肥満であることを常態化し、それに伴う健康上の懸念を無視していると批判する者もいる。

米国疾病予防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention、CDC)によると、肥満は以下の病気にかかる確率を高めるという。

  • 糖尿病
  • 高血圧
  • 関節疾患
  • 喘息などの呼吸障害
  • 胆嚢疾患

またボディポジティブが非包括的でありうることへの批判もある。ボディポジティブムーブメントのハッシュタグを使用したインスタグラム投稿のほとんどは、若く、白人系で、障害のない、シスジェンダーの女性を描いているというのだ。他の民族や男性、LGBTQ、ノンバイナリー、高齢者は十分に表現されていない。ボディポジティブのメッセージの描写は、そのような人々を排除する傾向があるといわれている。

ボディポジティブは美の概念を広げるものであるが、ボディニュートラルとの違いでも紹介した通り、外見に焦点を当て続けることへの批判もある。人の価値が少なくとも外見に多少なりとも基づいていることを暗示することとなり、有害と見なす人もいるだろう。

自分の体を受け入れる

ボディポジティブにはさまざまな定義がある。視点によっては、上記で紹介したようなネガティブな側面が指摘されることもあり、時にはボディポジティブへの誤解が生じることもある。だが、誰に尋ねるかにもよるが、ボディポジティブには次のような意味があるといえる。

  • 欠点があっても自分の体を認めること
  • 自分の体に自信を持つ
  • 自分自身を愛する
  • 自分の体の形や大きさを受け入れる

ボディポジティブとは、加齢や妊娠、ライフスタイルの選択によって自然に起こる変化に対して自分を責めず、今ある体を楽しむことも意味する。

欠点もあるボディポジティブだが、その目的は、自分の身体に対する自尊心を向上させることにある。健康に焦点を当てたセルフケアを試し、自分の身体に敬意を払うようにしたい。今ある自分の身体について良い気分になれることをすることに重点を置こう。

他人と自分を比べ、自分をよく思えないことがある場合には、ソーシャルメディアのフィードから、自分を良く思えなくするアカウントを一掃すること、自分の興味をかき立て、前向きな気持ちにさせてくれるアカウントをフォローすることも効果的だ。

【参照サイト】The Body Positive
【参照サイト】What Is Body Positivity?
【参照サイト】FAQ – The Body Positive
【参照サイト】From New York to Instagram: The history of the body positivity movement
【参照サイト】Body Positivity vs. Body Neutrality – Cleveland Clinic.
【参照サイト】The Dove Self-Esteem Project
【参照サイト】Plus size Barbie slammed for not representing larger ladies – NZ Herald
【参照サイト】Barbie Has a New Body Cover Story
【参照サイト】Barbie recreated in ‘normal body proportions’ – because apparently the original ruins lives
【参照サイト】Meet the New Wave of More ‘Diverse’ Barbie Dolls | Smart News| Smithsonian Magazine
【参照サイト】Body positivity movement: Benefits, drawbacks, vs. body neutrality




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