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MSC認証とは・意味

漁業

MSC認証とは?

MSC(Marine Stewardship Coucil:海洋管理協議会)認証とは、水産資源と環境に配慮し適切に管理されたサステナブルな漁業で獲られた水産物の証として、審査をクリアした漁業者のみが取得できる認証制度だ。SDGs(国連の持続可能な開発目標)の目標14「海の豊かさを守ろう」等の達成に貢献する取り組みの一つとしても世界で注目されている。

MSC認証を受けるためには、独立した審査機関による審査で、以下3つの原則に基づく厳格な規格を満たすことを認められる必要がある。

  • 資源の持続可能性(対象としている水産資源が豊富であり、枯渇の心配がないこと)
  • 漁業が生態系に与える影響(海鳥やウミガメ、絶滅危惧種を混獲したり生態系を破壊したりしない)
  • 漁業の管理システム(国際ルール・国内法・漁業の取り決めなどにより有効に管理されている)

NGOなどのステークホルダーが審査プロセスに参加する機会なども複数回にわたって設けられているので、審査自体の公平性も保たれていると言える。

また、MSC漁業認証を取得するまでは何年にも及ぶ改善が必要とされる場合もあり、取得後も審査員による年次監査や5年ごとの認証の更新を受けなければならない。漁業の最優良事例とされるレベルに達するための改善が一定期間なされていないと判断されると、MSC漁業認証で求められるレベルに達するまで認証が停止されることもある。

MSC認証が生まれた背景

国連食糧農業機関の「世界漁業・養殖業白書 2020年」によると、現在世界の魚の34%は持続可能なレベルを超えて漁獲されており、残りの66%のうちまだ資源量が十分な魚はわずか6%しかないと言われている。このように、魚が自然と繁殖するスピードを超えた漁獲を続けていくと、今まで食べていた魚が食べられなくなる・水産物をタンパク源とする地域の人々に重大な食糧危機をもたらすなどのリスクがある。

過剰漁業に加えて、海洋生態系や水産資源の生息域へ変化をもたらしている気候変動の影響も深刻化している。北東大西洋での海水温の上昇に伴うサバ資源の北上など、すでに異変が確認されている地域もある。

また先進国を中心として、巨額の漁業補助金が、重い網を海底に引きずったり遠方の漁港にアクセスしたりするための燃料代に充てられているという現状がある。こうした実態も乱獲や過剰漁業を招く要因の一つと捉えられており、海洋管理協議会の観点からは廃止すべきと考えられている。

水産資源を守るために私たちができること

2050年に世界人口は100億万人に達すると言われており、限りある水産資源を持続可能な形で利用していくことはもはや必須である。持続可能な方法で漁業を適切に管理することができれば、水産資源の枯渇を防ぎ豊かさを取り戻すことは可能だ。

そのためにまず消費者である私たちができることは、サステナブルな漁業によって獲られた製品を積極的に選ぶことだろう。

MSC認証を受けた漁業によって獲られた認証水産物にはMSC「海のエコラベル」が付けられ、非認証水産物と混合しないように厳密に管理されて漁場から店頭へと送られる。こうした仕組みは「MSC CoC認証(※1)」と呼ばれ、MSC CoC認証を取得した事業者のみが認証水産物の製造や流通を管理するため、消費者も安心して選ぶことができる。

※1 CoC:Chain of Custodyの略で「加工・流通過程の管理」という意味。

こうした「海のエコラベル」のついた水産品は、世界約100ヵ国で4万6,000品目以上、日本で約900品目が承認・登録されている。MSCジャパンによると、私たちの生活に身近な日系大手企業では、イオングループ、生協・コープ、セブン&アイグループ、西友、ライフ、マクドナルドなどで「海のエコラベル」が付いた鮮魚や水産加工品などがすでに販売されている。

海の資源を守ることは、人間の明るい未来を築くことにもつながる。一人ひとりがサステナブルな社会実現のために行動することが求められている今、「サステナブルな製品を選ぶ」という手軽な取り組みから始めてみてはどうだろうか。

【参照サイト】Marine Stewardship Council HP




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