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フェーズフリーとは・意味

フェーズフリー

フェーズフリーとは?

フェーズフリーとは、身のまわりにあるモノやサービスを、日常時はもちろん、非常時にも役立てることができる、という考え方だ。

防災用品の多くは、ふだんは災害用としてしまっておき、非常時に取り出し、使う前提で作られている。これに対し「フェーズフリー」の製品は、普段から使うもので、非常時も活用できる。ここが防災用品との大きな違いである。

さらに「フェーズフリー」は、モノやサービスだけでなく、社会の仕組み、アイデアなど、私たちの生活のあらゆるシーンを創り出す際に活用できる。日常と非常時を切り分けず、どんな時でも快適に暮らしていける。さらに、その考え方を軸に私たちの日常生活を変えていく可能性を秘めた考え方だ。

フェーズフリーの歩み

フェーズフリーという言葉や、基本的な概念が誕生したのは2014年である。防災工学を学んだ後、2008年にNPO法人シュアティ・マネジメント協会を、2013年にスペラディウス株式会社等を設立した社会起業家、佐藤唯行氏が提唱した。

提唱の背景には2011年に発生した東日本大震災がある。この震災以降、人々の防災意識が高まり、防災に関する商品・サービスが注目されるようになった。しかし、それまでの歴史を振り返ると、災害の記憶はいつしか消え去られ、危険性の高い地域が開発され、災害への備えが定着しないまま、新たな災害が起こる…… という悲劇が繰り返されている。

もう、これを繰り返したくない。そんな想いから、佐藤氏は発想を転換し「フェーズフリー」を2014年から訴え始めた。そして2015年には任意団体「フェーズフリー総合研究会(PF総研)」を設立した。2014年、2015年には「フェーズフリー」の国内商標、国際商標を取得。2018年には一般社団法人フェーズフリー協会を発足し、普及に努めている。

フェーズフリーの実践例

フェーズフリーの実践例として、フェーズフリーデザイン(日常時にも非常時にも価値を発揮してQOLを 確保する商品やサービスを実現するデザイン)の事例が「フェーズフリーデザイン事例集」というウェブサイト にまとめられている。

たとえば、非常時には家電製品の電源として使うことができる自動車「プリウスPHV」や、温めなくてもおいしく食べられる「ボンカレーGRAN」、QRコードを利用した、多言語対応エンジン・プラットフォームサービス「QR Translator」など12の事例(2020年6月時点)が掲載されている。

フェーズフリーの今後

フェーズフリーは、災害にレジリエントなまちや日常生活を作っていく上でさらに注目され、製品やサービス、まちづくりなどをアイデア段階で、コンセプトの一つとして取り入れられるだろう。

しかし課題もある。認知度の低さだ。フェーズフリー協会は2019年6月に、日常時および非常時の価値を共に有していることを証明するための認証制度、「フェーズフリー認証」の受付を開始。審査の結果、フェーズフリー認証を得た場合には「PF認証マーク」をパッケージなどに使うことができる。しかし、まだ認証の数は2020年3月までに20件と少ない。この状況では「PF認証マーク」を身近に見かけることは、ほとんどないだろう。

今後、フェーズフリーという言葉がより一般的になり、製品、サービス、そして人々の防災意識の中に取り込まれていけば、今後の災害時への備えが変化していく。そんな未来を願いたい。

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