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スリープテック(SleepTech)とは・意味

寝ている女性

スリープテック(SleepTech)とは?

スリープテック(SleepTech)とは、IoT技術やAIなどの技術を活用して睡眠状態をモニタリング・分析し、科学的に睡眠の質を改善または向上させる機器、システム、サービスのこと。

仕事の生産性向上や心身の健康を保つ重要な要素として「睡眠の質」が注目されるようになったこと、そしてIT技術が進化しコンパクトなウェアラブル端末などが普及したことにより、近年さまざまなスリープテック製品が開発されている。

Global Market Insightsによると、スリープテック・デバイスの市場規模は2021年に約150億ドル(当時約1.8兆円)となり、2022年から2030年にかけてさらに約18.1%の成長が見込まれるという。

また、日本のスリープテック市場も2021年に約4600億円にも発展しており、今後も拡大するといわれている。

世界的に問題視される睡眠不足

近年、先進国を中心に睡眠不足が社会的な問題となっており、睡眠時無呼吸や不眠症といった睡眠に関連した障害も世界的に増えている。

2021年に電子機器メーカーフィリップス社が行った世界睡眠の日グローバル調査によると、世界で自身の睡眠に満足している人はわずか55%で、日本にいたっては29%だったという。

またグローバル企業Zepp Healthが2021年に行った調査によると、2021年の世界の平均睡眠時間は2020年に比べ男女ともに短くなっており、平均睡眠時間が7時間未満になる日数も52日から59日に増加したという。

近年では新型コロナパンデミックの影響でストレスが増加したことにより、睡眠不足の傾向はより深刻化している。

睡眠不足は肥満、糖尿病、高血圧といった生活習慣病や、心臓病、認知症、うつ病といった精神病など様々な疾患の原因になるともいわれることから、健康的な睡眠をサポートするスリープテックへの需要が高まっている。

スリープテックを使った睡眠の記録・分析

スリープテックで睡眠の記録・分析に活用されるのは、最新のセンサー技術やAIだ。

センサーを利用して体動や呼吸、体温、いびき音、脳波などを計測して眠りの深さや睡眠状態をモニタリングし、AIなどを活用しながら睡眠パターンなどを解析した上で睡眠の質改善のアドバイスを提供する。

スリープテック製品は国内外で数多く開発されているが、現時点では大きく分けると以下の3種類の製品・サービスがある。

  • ウェアラブル端末
    スマートウォッチなど手首や腕、頭などに装着するデバイスを使って脈拍数や脳波を計測し記録する。パジャマ型のものもある。
  • 寝具一体型
    センサー付きベッドやマットレス、枕などで、体温や寝返りなど睡眠時の体の状態を検知し、アプリと連動させることで睡眠パターンなどを記録する。
  • スマートフォンアプリ
    スマートフォンアプリを使って呼吸音や体の動きを検知・記録する。また、いびきを録音して睡眠時無呼吸の状態を確認することもできる。

睡眠の質改善のアプローチ

またスリープテックではこうした記録・分析に加え、IoT技術により寝具や空調機器、照明、スピーカーなどを連動させることで、温度や、光、音、香りなどを通して科学的に入眠や起床をサポートしたり、睡眠の質を改善したりする。

温度によるアプローチ

センサーなどを搭載したマットレスなどで睡眠を計測し、エアコンと連動させることで睡眠に適切な温度や風量に調整する機器・サービスなどがある。また、マットレス内に水を循環させ、温度調節することで睡眠をサポートする寝具や、アイマスクタイプのウェアラブル端末で目元を温め、快適な睡眠をサポートする製品などもある。

光によるアプローチ

天井に映し出す光で呼吸を整え、心身のリラックスを促す入眠サポートデバイスや、照明やカーテンとアプリを連動させることで、入眠や起床をサポートするデバイスなどがある。

音によるアプローチ

アラーム機能付きの睡眠記録アプリや、体の状態に合わせて音楽を流すことで入眠前のリラックスや深い眠りを促すデバイスがある。センサーで脳波を読み取り、検知すると睡眠の質を高める音が流れるデバイスも発売されている。音量や音域も自動で調整される。また就寝中にいびきや歯ぎしりの音を検知し、マスキング音を再生する機能がついたヘッドバンドなどもある。

その他のアプローチ

センサーでモニタリングし、眠りの深さによってベッドの角度を自動で変えることで、入眠や起床をサポートするベッドが発売されている。また、首につけるウェアラブルデバイスで、いびきと無呼吸状態の時に振動を与え軽減してくれるものもある。

スリープテックの今後

日本でも海外でも、スリープテック市場は今後ますます発展すると予想されており、技術の進化とともにさらに多様な製品・サービスが現れるだろう。

しかし現時点では、製品によって睡眠状態の計測方法やデータが正確でないという専門家の声もある。また日常的に睡眠をデータとして記録することで、端末上のデータに過剰にとらわれる人が増えてしまうとの指摘もある。

スリープテックは私たちのウェルビーイングをサポートし、生活をより健康的に、豊かにしてくれるものだが、テクノロジーを活用する際は機械上のデータとの適切な付き合い方についても考えていかなければいけない。

【参照サイト】Sleep Tech Devices Market Share and Statistics – 2030
【参照サイト】2021年世界睡眠ホワイトペーパー【完全版】 | PR TODAY
【参照サイト】Seeking solutions: how COVID-19 changed sleep around the world | Philips
【参照サイト】睡眠不足はITで解消!? 加速するスリープテックの開発・研究 | Medical DX
【参照サイト】睡眠偏差値 調査結果報告 2022 | ブレインスリープ (最高の睡眠で、最幸の人生を。)
【関連記事】寝ないことが民主主義を妨げる?知られざる「睡眠格差」とは
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