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スポンジシティとは・意味

スポンジシティとは?

スポンジシティとは、都市の地表面に水を貯めて大雨から街を守り、暑いときには土や植物から水が蒸発して涼しさを生み出す、スポンジのような機能を持つ都市づくりのコンセプトのこと。都市の雨水管理と冷却を体系的に行うことを目的とする。

スポンジシティの概念の背景には、近年世界で頻繁に起きている集中豪雨と都市のヒートアイランド現象がある。大雨の際には下水道システムが水を取り込めなくなり、下水道が溢れて洪水が起きるとともに、川や湖が汚染されることもある。また都市はヒートアイランド現象により気温が高くなる傾向があり、不快感や熱中症などの健康被害の拡大や生態系の変化などが懸念される。

ヒートアイランドの主な原因として、空調や車などによる排熱のほか、アスファルトやコンクリートなどで道路を覆うことにより、水の蒸発に伴う温度低下が生じにくいこと、建物の密集化や高層化により風速が弱まり、地表熱が発散しにくいことなどが挙げられる。

スポンジシティで適用される設備と機能、事例

都市の雨水管理と冷却を行うべく、スポンジシティで適用される主な6つの設備と機能、および事例は以下である。

1. 建物屋上の植栽:植栽を施すことにより、保水機能を持たせ、蒸発により冷却する
例)タイの大学の屋上に誕生したアジア最大のオーガニック農園
2. 建物の壁の植栽:植栽を施すことにより、蒸発により冷却する
例)ヨーロッパ最大級のグリーンウォールを備えたホテル
3. 反射率の向上:建物の壁や道路などに明るい色を用いることで、太陽光を反射させて温度上昇を避ける
例)ロサンゼルスに白い道路が誕生
4. 冷却用都市湿地:都市に湿地を設け、蒸発により冷却する
例)大京が提案する、環境も教育も大事にしたい「サステナブル・マンション」
ドイツに誕生した世界最大のパッシブハウス・エコ再開発地区「Bahnstadt」
5. 洪水防止のための雨水管理:下水道設備への負担を軽減するべく雨水を処理する
・道路や緑地を緊急水路として使用する
・公園や緑地、建物や道路の雨水を緑地に浸透させる、もしくは透水性舗装を施す
例)雨水を自然循環させるデンマークの歩道
・建物屋根や道路、道路脇や公園、および緑地に遊水・保水機能を持たせ、下水道への流入を遅らせる
例)洪水から市民を守るコペンハーゲンの「気候公園」
6. 時間帯に合わせた冷却:一日の時間帯によって、温度上昇を防ぐための適切な対策を施す。芝生は夜に、植物は日中冷却し、木などの植物は日中日陰を提供するといった特性を上手に利用する

スポンジシティ設計の今後

スポンジシティは都市開発の状況や経済状況、関係者の意向などに応じて場所ごとに適した方法で設計される必要がある。個々の建物や道路、広場などの公共施設との体系的な連携も求められるが、災害に強く緑豊かなスポンジシティは、今後の街づくりにおける重要なコンセプトとなる。今後、より多くの街で取り組みが進むことが期待される。

【参照サイト】Stadtentwicklungsplan Klima KONKRET Klimaanpassung in der Wachsenden Stadt
【参照サイト】ヒートアイランド対策
【参照サイト】Los Angeles paints streets white to stay cool




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