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QOL(クオリティ・オブ・ライフ)とは・意味

QOL

QOL(クオリティ・オブ・ライフ)とは

QOL=Quality of life(クオリティ・オブ・ライフ)とは、「生活の質」を示す概念であり、主に医療や福祉の分野で用いられる。QOLの定義自体は明確には定まっておらず、いまだに議論を生んでいる概念だが、「健康」の概念と大筋で一致している。1947年にWHO(世界保健機構)によって人の健康は「病気がない状態」から「身体・心理・社会関係・自立・経済・宗教の側面から満たされている状態」と再定義されており、QOLもこれにのっとっていると捉えていいだろう。

また、QOLの概念は、ソクラテスの「なによりも大切にすべきは、ただ生きることでなく、よく生きることである」といった哲学的追求にも関係している。QOLは、物質的な豊かさに満たされた生活ではなく、心身が満たされた生活に焦点をあてた考え方であるといえる。

QOLが重視される背景

医療や福祉の分野でQOLが重視されるようになった背景として、がん患者への化学治療を初めとする慢性疾患の治療の普及、そして高齢化が挙げられる。公衆衛生の向上や医療の発達により、従来死因の多くを占めていた結核や肺炎などの急性疾患を治療する必要が減少した。その反面、慢性疾患や加齢に伴う身体機能の低下に対応するための医療・介護のニーズが上昇している。

それによって、疾患の治療による治療率や生存率などの客観的な指標よりも、患者自身の意志や満足感などの主観的な側面が重視されようになっている。このような医療や介護の変化にあたって、重視するべき指標となるのがQOLだ。

QOLの測り方

患者自身の主観的な幸福感や生活の質を示すQOLは、WHOが作った尺度「WHOQOL-100」で測定することができる。WHOの「健康」の定義にある「身体・心理・社会・自立・経済・宗教」の6分野合計100問の質問が設けられており、患者が満足度に合わせて1から5で回答する形式だ。

医療や介護のケアを受ける患者のQOLを測定することで、ケアの質向上や患者と支援者の信頼向上につなげるなどの活用が推奨されている。

QOLとADL

ADL(Activity of Daily Life)とは、日常生活を送るために必要な基本的な動作である、食事や排泄、入浴、金銭や薬の管理、移動などを指す。

ADLとQOLには、密接な関係がある。高齢になると、運動能力の低下や健康状態の悪化は避けられず、ふさぎ込む機会も増える。次第に自分自身を悲観してしまうケースも見られ、ADLとQOLが同時に損なわれてしまう。ADLを維持することは、QOLを高めることにもつながるといえる。

これまでの医療や介護、リハビリテーションの目的はADLの自立だったが、1980年以降はQOLを大事にし、被介護者の精神的な充実を図ろうという考えに変化してきている。

QOL向上のイノベーションとビジネス活用

近年は医療や福祉の分野でQOL向上のためのテクノロジー活用も進んでいる。

特にターミナルケアや終末期医療分野でのQOL向上は大きな課題となっており、AIによって正確な死期の予測を行う技術も開発されている。

介護の現場でも歩行困難によって生活の自立性や社会関係が低下することが課題になっているが、トヨタ・モビリティ基金が歩行困難な人のQOLを上げる先端研究に対して選考会を開催したり、デザイン性と機能性に優れた電動車いす「WHILL」が開発・発売されたりといった、QOLとテクノロジーに関連するイノベーションも起きつつある。

近年ではワークライフバランスに関連して、ビジネス分野でも従業員のQOLを重視する動きも活発化している。勤務形態の多様性確保や心理的安全性を重視した職場の雰囲気作りなども、ビジネス分野におけるQOLの一種だといえる。

今後も、QOLを向上させるためのサービスや製品、QOLを向上させる職場づくりは様々な分野で広まっていくだろう。

【参照サイト】WHOQOL: Measuring Quality of Life
【参照サイト】総論-QOL の概念と QOL 研究の重要性
【参照サイト】超高齢社会のフロントランナー日本:これからの日本の医学・医療のあり方
【参照サイト】重度・重複障害者におけるQOL評価法の検討

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